New Food Industry 2009年8月号

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New Food Industry 2009年 8月号

沖縄県産カンキツ シイクワシャー果実由来 ノビレチン高含有原料『ビレチンTM』

佐々木 貴生

シイクワシャーは沖縄県特産のカンキツで,学名はCitrus depressa HAYATAと称し,シークワーサー,クガニなどの愛称で呼ばれており,最近では果汁を利用したジュースや菓子などの商品を見かけるようになってきた。
 沖縄以外のカンキツ産地でも栽培は可能だが,沖縄以外ではほとんど栽培されておらず,沖縄の農家ではこのカンキツをよく庭先に植えている。このシイクワシャーは沖縄県北部,名護市の北隣に日本一の長寿村として有名な大宜味村という村があり,ここが最大の産地として全生産量の70%以上を占めている。最近は,前述のようにジュースや菓子類に活用されることが多くなったことから生産量が増え,2005年には2,500tを,2008年には3,000tを超えるといわれている1〜3)。

プロポリスの機能性抗酸化活性と血管新生抑制活性を中心に

太田 敏郎、熊澤 茂則

プロポリスは,ミツバチが巣の周辺にある植物の滲出物などを集め,自分の巣に持ち帰って蓄えた樹脂状物質である。ミツバチは,それを巣箱の壁,出入り口などに塗布して巣の補強や修理,水や冷気の浸入防御に利用する以外に,雑菌の繁殖を抑える用途にも利用していると考えられている。プロポリスの成分として含有量が多いのは樹脂,ろう質や花粉などであるが,その機能性に大きく寄与する成分はミツバチが利用する植物源(起源植物)に大きく左右されることが知られている。したがって,プロポリスの機能性を議論する場合には,その産地および起源植物についての情報が非常に重要である。
 もともとプロポリスは抗菌活性やその他の薬理活性が注目され,世界各地で民間伝承薬として利用されてきた。日本では,1985年に名古屋で開催された世界養蜂会議でプロポリスの研究と効用が紹介され,急速に普及した。

ミツバチ花粉荷成分の新しい生理作用としての骨量増進効果とその骨粗鬆症予防への展開

山口 正義

健康の保持と増進において,食生活がきわめて重要であることは,食品成分中に生体調節機能を有する因子が存在することが明らかにされるにつれ,疾病予防との関連でますます注目されている。その中で,骨量が加齢に伴って減少し,骨粗鬆症をもたらすことから,食因子によるその予防は,高齢化人口が増大する社会において,多くの関心を集めている。
 骨組織は,生体におけるカルシウムの貯蔵器官であり,生体の骨格系支持組織として重要な役割を果たしている。骨組織には,骨を形成する造骨細胞の骨芽細胞と骨塩溶解(骨吸収)をもたらす破骨細胞が存在し,骨量を保持するリモデリングの仕組みが構築されている。これは,骨の再構築とよばれ,新鮮な柔軟性のある骨組織を維持するためのものである1)。その調節の仕組みは,多くのホルモンやサイトカインが関与し,きわめて複雑である。

レシチン,イチョウ葉エキス,ガラナの配合物投与による脳内ホルモンの分泌量,アルツハイマー,記憶改善,脳内海馬の組織学的変化

具 然和

現在,日本では160万人以上の認知症患者を抱えており,2015年には老人人口が全人口の35%以上を占めるようになり,認知症患者は300万人になると推定され,認知症患者対策は緊急を要する現代の社会問題となっている。
 認知症は記銘力障害,思考・判断力の低下など認知機能の低下が中核を占めており,情動性の変化が周辺を占めている疾患で,脳血管性認知症とアルツハイマー病の2つに大別される。前者は脳梗塞,脳出血などの原因によって二次的に神経細胞が障害を受け,その結果発症する。後者は進行性神経変性疾患で未だ原因は確定されていないが,アミロイドβ蛋白(Aβ)の凝集沈着による神経毒性,タウ蛋白の異常リン酸化による神経原線維変化が原因であるという説が主流となっており,他に老化,遺伝なども考えられている。

市販スナック菓子の酸化度

山口 直彦、中川 泰代

スナック菓子は,その製造工程で揚げる,スプレイするなどの油脂で処理することが多い。従って,その製品は含油量は高く,しかも組織はポーラスで水分量は少ない。それ故に流通過程及び保存中での劣化は殆どが油脂の酸化に基づくものである。
 この酸化的劣化が進行すると不快な臭いや味,色の変化,栄養価の低下,さらには有毒物質を生成するようになる。このような酸化油脂の有害性が明らかになるとともに,厚生省は昭和52年11月16日付で環境衛生局長名の通達1)を出し,油菓子の製造・取扱について指導に当ることになった。

災害時の高齢者,乳幼児の健康危機管理と栄養士の役割

奥田 和子

これまでの災害危機は,主に震災を考えればよかった。しかし,今日では,震災,新型インフルエンザ,風水害,広域事故―テロ,毒物ガス,放射能もれなど多様化する。市民が危機的状況にさらされると,まず直面するのが健康被害である。とくに高齢者,乳幼児は,免疫力が弱く病態化しがちで,適切な食生活対応が迫られる1-3)。高齢者,乳幼児に目線を合わせた備蓄と対応策が望まれる。
 被災者は自宅または地域の避難所で事態の改善を待ち望む。その期待に応えるためには,行政と集団施設・給食の栄養士が連携して食事を提供し,食事面からくる二次災害である健康被害を最小限に食い止めなければならない。

電解水および超音波を利用した食品素材の非加熱式洗浄・殺菌

三浦 靖、小林 昭一

品質保持期限表示の改ざん,品質保持期限切れ製品の再利用,原産地表示の偽装,無認可添加物の使用,無登録農薬の使用,許容量を超える残留農薬,補助金制度の不正利用など,食の安全・安心・信用を失う出来事が多発している。このような状況下で,食品の安全性に対する消費者の関心が益々増加しており,食品の安全確保は,食品を製造してから,流通・販売を経て消費されるまでの全ての過程で最優先の課題である1)。
 食品衛生における危害(hazard)には,化学的危害,物理的危害,生物的危害の3つがあるが,そのうち生物的危害を防ぐ最も重要な方法が殺菌(pasteurization)である。殺菌方法は,物理的方法と化学的方法に大別され,物理的方法の代表である加熱殺菌は,古くから最も確実な方法として行われてきた。しかし,食品を加熱すると色や風味,形状,食品テクスチャー(food texture)といった品質特性が劣化する場合が多い。したがって,品質を保持したままで安全確保できる非加熱殺菌方法が注目されている。

バイオ資源の生産量はどのような要因で決まるか

兎束 保之

 第1章では,人間による管理方法さえ間違えなければ,生物は年毎に更新できる資源であると理解した。生物を利用可能な資源として捉えたとき,資源供給可能量に関する基本的な問い掛けが出てくる。第一には,資源を供給できるのはどのような地域なのか,である。第二には,年毎に利用可能なバイオマス量はどれほどと見積もれるのか,である。生物を動物,植物,微生物とに分け,それぞれがどのようにして必要な栄養源を獲得し,生活しているかを観察してみよう。それらを統合して,上掲の基本的な問い掛けに対する答えに近づいてゆきたい。

連載 薬膳の知恵 (38)

荒 勝俊

人体は一つの有機的統一体であり,局所における変化は全身に影響を及ぼし,内臓の変化は五官,四肢,体表などに変化を及ぼす。こうした観点から,中医学における証の診断は,舌を観察し,脈を診断し,声を聞き,症状を尋ねる事で,体の各方面に現れた変化を情報として取り出す事で行われる。具体的には,視覚により全身および局所の状態を観察する「望診」,聴覚と嗅覚により声や分泌物の臭いの異常を知る「聞診」,本人や家族から自覚症状,愁訴を詳しくたずね,病気の経過,熱・汗・食欲など診断に必要な情報を収集する「問診」,直接触れて診察する「切診」の4種類の診断方法(四診)から構成されている。四診で得られた情報を整理・分析し,「証」を見極める事で各々の状態により適した治療方法を選択する根拠(弁証論治)ともなる。

築地市場の魚たち

山田 和彦