New Food Industry 2007年8月号

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New Food Industry 2007年 8月号

ブラジル産パフィア・パニクラッタの 生理活性に関する研究

鈴木 郁功、高木 康之、大山 陽子、山本 肇

パフィア・パニクラッタ(マルチウス)クンツPfaffia PaniculataMartiusKuntzeはヒュ科の多年生植物で原産地はアマゾン流域でブラジル,エクアドル,パナマ,ペルー,ベネズエラ等の南米に自生している。一般的に滋養・強壮,鎮痛,関節炎,糖尿病,エネルギー源の強化,免疫増強作用等に有効とされている1〜4)。このパフィア・パニクラッタ塊根中の成分はパフィア酸パフォサイドなどのサポニン,グルコサイド,ステロールなど18種類のアミノ酸,電解質,ミネラル類(Mg, Co, Si, Zn)及びビタミン類(A, B1, B2, E, K)が含まれている5)。また癌に関しては,自然白血病発生抑制あるいは胸腺リンパ腫肥大抑制効果を有することがすでに報告されている6)。

ラブレ死菌による腸年齢改善及び感染防御効果

長谷川 秀夫

ラブレ死菌摂取による腸年齢並びに感染防御に対する効果を,プラセボ食を対照とする二重盲検試験によって検証した。試験は,年齢20歳〜57歳の女性75 名を,プラセボ摂取群,ラブレ死菌1日180億個摂取群,ラブレ死菌1日1,800億個摂取群の3群に無作為に分け,腸年齢スコアと血清IgAを指標として試験食を2週間連日摂取させた。その結果,試験期間が2週間という短期間であったにもかかわらず,プラセボ摂取群では有意な変化は認められなかったが,ラブレ死菌摂取群においては,摂取量に依存して統計学的な有意差をもって腸年齢スコアは減少し,血清IgA量は増加した。この成果より,ラブレ死菌が腸年齢の改善並びに感染防御に寄与し得ることが示唆された。なお,ラブレ死菌摂取に関連すると考えられる重篤な有害事象は認められなかった。

アブラナ科野菜類のイソチオシアネイト類と大根の4 -メチルチオ- 3 -ブテニルイソチオシアネイトについて(1)

馬上 元彦、大石 清三、小谷 明司

近年,アブラナ科の野菜類に含まれるイソチオシアネイト類(ITCs)の機能性が世界的に注目され,特に化学予防(Chemical Prevention/Chemoprevention)の観点から発癌抑制効果についての研究が盛んである。大根は日本で大量に栽培・消費されるアブラナ科の野菜であり大根にはITCsのひとつである4 -メチルチオ-3-ブテニルイソチオシアネイト(MTBITC)が豊富に含まれている。本稿では野菜としての大根の特徴,ITCsの化学的性質,分析,機能性等について概説する。

健康寿命を延ばす食事−適切なタンパク摂取量を例にして考える−

山下 洵子

日本人の平均寿命は,第2次世界大戦後の飢えの時代を脱け出てから急に延び,ここ20年ぐらい,国際比較でトップクラスの座を維持している。それを反映して,2005年には,国民のほぼ5人に1人が高齢者(65歳以上)という「超高齢社会」に入った。100歳以上の老人も,既に,2万人を越える。しかし,寿命といわゆる健康寿命(支援や介護を要しない期間)との差が,数年以上ある例は多い。10年以上も寝たきりになり,そのうえ認知症になりそのまま死期を迎えた,という話もしばしば見聞きする。
ここ当分,ますます高齢者は増えるだろう。健康で長寿な世づくりにどう取り組むのか,現在健康な私たちがその答えを問われている。

伝える心・伝えたいもの —島渡り—

宮尾 茂雄

昨年9月に訪れた能登半島の白米(しろよね)千枚田で,全国から集まったボランティア500名余りの方による田植えの様子がテレビニュースで放映されていた(平成19年5月12日)。今年3月25日に起きた能登半島沖地震でも幸い千枚田には大きな被害はなかったという。田植え機などの動力を使うことが出来ない急斜面にある棚田での米作りのすべてが手作業である。「島渡り」という言葉を初めて耳にしたのは輪島市内から千枚田に通じる国道249号線沿いにある岩崎吉光(よしみつ)さんの作業場であった。いしり(いしる)は日本の代表的な魚醤油の一つである。

第三回日本臨床機能性素材研究会レポート

伊藤 まゆ、小泉 美樹

今回は、お茶の旨み成分「テアニン」について「緑茶に含まれるユニークなアミノ酸、テアニンの機能」というテーマで太陽化学株式会社 研究推進室 大久保 勉氏が講演を行った。
 テアニン(L-Theanine)は、茶に多量に含まれるアミノ酸の一種でグルタミン酸の誘導体。植物の中でもお茶とそのごく近縁種にしか見つかっていないアミノ酸であり、茶の旨味成分の一つである。テアニンは乾燥茶葉中に1〜2%含まれ、特に上級なお茶に多く含まれている。1950年に玉露から分離精製され構造が明らかになり、日本では1964年7月に食品添加物として指定された。テアニンはお茶に含まれるアミノ酸であることから、茶の学名“Thea sinensis”にちなんで“Theanine(テアニン)”と命名されたといわれている。

築地市場の魚たち(2)

山田和彦

日本人は,魚食民族として古くから魚に親しんできた。歴史や文化の中で,あるいは日常生活でも食,文学,絵画,釣りや飼育まで魚に関するものが多く見られる。このように私たちにとって身近な存在である魚とは,どんな生き物なのだろうか。
 まず,魚の定義を考えてみよう。古今東西の多くの学者が,その定義を試みている。古くは陸上の生物に対して水中にすむ生き物のとされていたようである。今日でも英語では貝をShell fish(Shellは貝殻) ,コウイカをCuttle fish,ヒトデをStar fish,クラゲを Jerry fishと呼んでいる。また漢字にも“魚”の付くものは多く,鯨(くじら),鯆(いるか),?(とど),鮹(たこ),鰕(えび),鮑(あわび)などがある。その後,鰭(ひれ,これも魚偏の漢字)を使って泳ぐものが魚となったようである。

エッセイ 楊枝の歴史と文化−仏教の伝来と共に−

稲葉 修

同じことが回教でもいえるのである。マホメット(570〜632)も歯木(MISWAK)を使うことを大いに薦めている。「歯木は歯を清浄にする道具であり,これを用いることは神を喜ばす」といい,また「丁寧に口を漱ぎ,身を清めてからの礼拝は清めないでする75回の礼拝より遙に神を喜ばす」ともいっている。今も祈りの前に口を清めることが行われている。そのためにこの歯木が寺院に奉納されることも残っていて寺院の前で歯木が売られている。
 そして,たいへん興味深いのは,サウジアラビア・インド・パキスタン等で今も日常的に使われていることである。いつも胸のポケットに入れて,仕事の合間に歯を磨くのである。房状の部分が少なくなると次の部分を噛めば良いのである。

薬膳の知恵 (15)

荒 勝俊

中医学では,その理論に基づいて病邪の位置,病邪の性質,病邪の勢いを明確にする事で個人の病状を総合的に判定(弁証)し,個人の状態に合った治療方針(証)をたてる事が重要となる(図1)。そして,この証のたて方として最も基本的な考え方が前号において紹介した“八綱弁証(はちこうべんしょう)”という方法である。“八綱弁証”とは,病邪の位置,性質,勢いから体の状態を「陰/陽」「表/裏」「寒/熱」「虚/実」の8種類に分類(基本的には4組)する事である。その中で「陰/陽」は病気の類型を大きく二つに区分けしてまとめる総称ともいえる。

中国食品通信

馬 桂 華

中国と日本の糖果(砂糖菓子,飴,キャンデーなど)製造業界相互の市場開拓,技術交流および合弁などの企業協力を促進するために,中国糖果業界は日本食品流通経済研究所の協力のもとで,2007年8月に広州で中日糖果業界企業協力交流会を開催することになった。この交流会では,糖果,チューインガム,チョコレート,膨化食品,糖果原料,糖果チョコレート製造設備などの各分野での交流が行われる予定である。交流会の主な目的は,双方による合弁・協力企業の設立,製造技術の導入・販売や製品の輸出入などである。交流は1対1で行う形式が採用されるという。中日双方がそれぞれ10余企業を選定し,2日にわたり交流が行われる。この交流会は参加企業にとって,良い機会となることが期待される。なお,中国糖果業界は中法(中国とフランス),中意(中国とイタリア)の交流会も計画している。