New Food Industry 2007年 1月号

新春巻頭言 食品開発における柔軟な発想

伊藤 敞敏

食品に関する研究では,最近は機能性に関するものが大はやりである。昨年8月に開催された,日本食品科学工学会の一般講演のおよそ70%がこの範疇に入るものであった。機能性に非ずんば食品科学に非ずと言った風潮には,いささか抵抗を感じている。日本の伝統的食品とか,主食の米とかを中心に据えた,本質的食品研究が,主要な大学などでもっと行われてよいのではないだろうか。研究の種が尽きているわけではあるまい。今回はそれは横に置くとして,食品機能の範疇に限ってみても,新規な機能性や新規な素材ばかりを追っかけなくとも,もっと頭を軟らかくすれば,まわりには商品開発のヒントが幾らも転がっていそうに思われるので記してみたい。

特許法の一部改正について

高橋 詔男、工藤 力

第164回通常国会において,権利保護の強化及び模造品対策の強化を目的とした「意匠法等の一部を改正する法律」(平成18年法律第55号。平成18年6 月7日公布1))が成立した。特に,意匠法についてはこの法律の第1条で大幅な改正があり,意匠の定義の見直し,意匠権の効力の拡大,意匠登録要件の見直し,意匠権の存続期間の延長,意匠権侵害の罰則の強化等がなされた2)。

食品に残留する農薬等のポジティブリスト制度の概要

高橋 正弘

消費者に食の安全について不安なことをアンケート等で調査すると,必ず上位にランクされるのは農薬と輸入食品である。食品安全モニター・アンケート調査「食の安全性に関する意識調査」(食品安全委員会:平成15年9月)においても第一位は農薬で,モニターの67.7%の方々が安全性に不安を感じていた。こうした課題に応えるため,平成15年5月,食品衛生法が改正され,食品中に残留する農薬等に対する規制が,いわゆるポジティブリスト制度に移行することになった。平成17年11月29日付けで関係告示が公布され,平成18年5月29日から本制度が施行された。

望まれる加工食品の表示改革

藤田 哲

健康維持の条件は適切な食生活であり,食品表示は,消費者の商品選択と健康にとって重要な情報源である。食品表示は,主に食品衛生法とJAS法の規定に従って行われる。現在農林水産省では,消費者の視点に立ったJAS制度のあり方を検討し,食品表示ルールの見直しを行っている。すでに生鮮食品や穀類の原産地表示がなされ,外食事業者が用いる原料の原産地表示も始められた。

日本の食料事情その七 食品表示は進化する

橋本 直樹

忙しい生活であるから加工食品や調理済み食品を利用することが多くなり,外食を楽しむことも多くなった。食材も大半が海外からの輸入であり,国産の食材であっても北海道や九州など遠隔地から運ばれてくる。生鮮食材を家庭で調理して食べることは少なくなり,食物は作るものからスーパーマーケットで買うものに代わった。われわれは作る人の顔が見えない人任せの食生活をしているわけである。

乳製品にたよらないカルシウム摂取の方法について

冨田 教代

日本人の食事摂取基準〔2005年版〕の中で,生活習慣病の一次予防を専ら目的として設定された栄養素であるカルシウムは,平成15年の国民栄養調査によれば1),男女とも基準量を下回っている。カルシウムの摂取量はここ30年間増加がみられず,飽食時代,カルシウム不足といわれながらもこの状態にあることは,カルシウムはよほど心掛けない限り,いかにとりにくい栄養素であるかを示している。特にカルシウム摂取量が所要量の80%未満の人々が40.9%も存在する事実は2),カルシウム不足に起因する不足病(たとえば骨粗鬆症)を示す人々が確実に出現することを示しており3-4),カルシウム摂取量を高める効果的な方策が立てられなければならない状況にあるといえよう。

がんに対するハタケシメジ配合物の抗がん効果の検討及び放射線治療時の副作用に関する防護剤の研究

具 然和

現在,死亡原因の第1位は悪性腫瘍で,その推移は年々増加で傾向あり,国民の3人に1人は悪性腫瘍で死亡する12)と言われその原因として日本人の長寿命化・ストレス,環境の変化,化学物質の増加,生活習慣の変化などが考えられている。いずれにせよ悪性腫瘍の克服は急務であり,現在その治療法として病巣あるいは悪性腫瘍細胞を直接的に死滅させる3大療法が主流である。3大療法は心身的負担が大きく,その副作用と免疫低下が重大な問題なのは明らかであり,それによる治療の中断や,生への意欲の喪失も少なくない。このことから最近では外科療法であっても内視鏡や体腔鏡を用いた縮小手術,その他に免疫療法など,心身的負担のできるだけ少ないような治療法の研究が進められ,また同時に,東洋医学の観点から病を根本的原因から改善するという研究もなされている。

南米産ハーブ(パロアッスル)のヒト試験腹囲・アディポネクチン・HDL・中性脂肪に及ぼす影響

長谷川 秀夫

男性を対象とした群内比較試験において,アディポネクチン,メタボリックシンドロームの診断指標となる腹囲,中性脂肪及びHDLコレステロールに及ぼすパロアッスルの影響を検討した。その結果,パロアッスルを2ヶ月間連日摂取することで,摂取後の数値が,腹囲と中性脂肪では減少し,アディポネクチンと HDLコレステロールでは増加することが有意差をもって認められ,パロアッスルがメタボリックシンドロームの予防に寄与し得ることが示唆された。なお,パロアッスルの摂取に関連すると考えられる重篤な有害事象は認められなかった。

伝える心・伝えられたもの −かてもの−

宮尾 茂雄

9月最後の金曜日,能登半島輪島市にある白米(しろよね)千枚田を訪れた。すでに刈り入れは終了し,田を取り囲むように建てられた木組みに「はさ掛け」された稲穂1)は,陽光をいっぱいに吸い込み,暖かい香りが辺りに漂っていた(写真1)。波静かな日本海に沈む夕日を受けて,稲穂や刈り残された10cmほどの稲の株が黄金色に輝いていた。北国の潮風をうけて生育した米はことのほかおいしいという。高い崖の上から波打ち際までの急斜面に広がった千枚田(写真2)は,夕日に向って今年の実りを感謝しているようにみえた。

薬膳の知恵 (7)

荒 勝俊

六腑とは胆・胃・小腸・大腸・膀胱・三焦を指す。六腑はいずれも中空の構造を持ち,水穀の出納・腐熟・伝化などの機能を有し,“六腑は通をもって用となす”と言われ,精気を貯蔵せず伝導変化を主とするのが機能上の特徴とされている。

中国食品通信◆1.漢方薬・保健食品の輸出が順調

馬 桂 華

中国医薬保健食品輸入輸出商会は,医薬品・保健食品の今年の第1四半期における輸出入が順調に推移していることを報告している。税関の統計によると第1四半期の輸出総額は,2.31億ドルで,同増加率は25.11%に達したことが報告されている。輸出相手国は主に日本,香港,アメリカおよび韓国で,輸出総額の59.03%をそれらの国で占めている。輸出品の中では,抽出物,漢方薬,保健品および薬材の輸出が増加している。なお,企業では,北京同仁堂,?州片仔?薬業公司,広州市医薬貿易公司,上海医薬有限公司,哈薬集団三精医薬商貿易有限公司,山東東阿阿膠公司,上海雷允上進貿易有限公司の輸出額が大幅に増加している。