New Food Industry 2019年 9月号

研究解説 

乳酸菌の経口摂取による肌状態の改善効果 ―腸から肌へ―
Oral administration of lactic acid bacteria improves skin coditions

依田 一豊/Kazutoyo Yoda

 私たちにとって乳酸菌はもっとも身近な発酵微生物の一つである。日本では古くから味噌や醤油,漬物などに乳酸菌を利用してきたし,食の多様化に伴いヨーグルトやチーズなども日常的に食卓に並ぶようになった。これらのような食品に対する乳酸菌利用の目的は,飽くまで発酵による食品の保存の長期化や風味の付加であった。しかし,近年ではプロバイオティクスという概念1)から,乳酸菌自身がもつ保健効果に期待が集まるようになっている。
 そのきっかけとなったのは,100年以上も前にロシアの生物学者メチニコフが唱えた「ヨーグルト不老長寿説」であろう2)。メチニコフは,ヨーグルトを摂取すると腸内環境が清浄化されて,老化が抑えられると考えていた。その後,イギリスの微生物学者フラーは「腸内フローラのバランスを改善することにより,宿主に有益な作用をもたらす生きた微生物」をプロバイオティクスと定義した3)。現在,プロバイオティクス乳酸菌の機能が腸内環境を整えること,つまり整腸作用であることは,多くの研究者で基本的な理解になっているのではないだろうか。一方で,2001年にLactobacillus rhamnosus GGの摂取による乳幼児のアトピー性皮膚炎予防について報告がされたように4),今日ではアレルギーや感染症予防などの機能も当たり前のように認知されている。そして,プロバイオティクス乳酸菌の作用メカニズムは腸内環境を整えるだけでなく,乳酸菌自身が免疫機構や脳神経系に影響することもわかってきている。
 このように乳酸菌は様々な機能性を示すことがわかっているが,本稿では比較的研究の報告数が少なく,未だ明らかとなっていない部分の多い肌への影響を取り上げてみたい。ただし,アトピー性皮膚炎のような疾患に関するものではなく,健常なヒトの肌に対する作用である。ヒトの身体を簡略化して食品の竹輪(ちくわ)に例えると,外側が肌,穴側が消化管となることから,肌と消化管内は互いに外部へ晒された組織であることが解かる。そのため,消化管の上皮をずっと辿って外側に出ると肌に繋がる。そう考えると口を介して腸管内に入った乳酸菌にとっての肌は,いわば日本人にとって地球の裏側にあるブラジルのような場所とも言えるかもしれない。そんな遥か遠い対極な場所に対して乳酸菌がどのように作用しているのだろうか,という疑問を感じる者は少なくないと思う。そこで,これまでに発表されている研究報告に加え,筆者らの研究結果も紹介しながら「乳酸菌と肌」の関連について解説したい。

雪室熟成によるコーヒーの香気と呈味の変化

神山 伸/Shon Kamiyama,押味 真里菜/Marina oshimi,伊藤 美咲/Misaki Ito,大内 彩也夏/Ohuchi Sayaka,磯島 秋穂/Akiho Isojima,曽根 英行/Hideyuki Sone

Evaluating the effectiveness of yukimuro storage for the aging of roasted coffee beans.

Shin Kamiyama*, Marina Oshimi, Misaki Ito, Sayaka Ohuchi, Akiho Isojima, Hideyuki Sone**

Faculty of Human Life Studies Department of Health and Nutrition University of Niigata Prefecture

Key Words: Yukimuro storage to age, coffee, flavor component, off-flavors

Abstract
 Yukimuro, a traditional type of cold storage room that uses snow as its coolant, has long been utilized to preserve fresh foods. Yukimuro storage rooms can maintain a stable low temperature near 0 ℃ and high humidity level of more than 90%. It is also known that conditions produced by yukimuro storage tends to enhance the palatability of foods such as carrots and potatoes. In this study, we studied the effectiveness of using yukimuro storage to age roasted coffee beans. Roasted Brazil and Mandheling coffee beans were packaged and stored for a month under three different conditions: in a storage room without temperature control (at room temperature), in a refrigerated storage room (controlled at 10 ℃), and in a yukimuro storage room. Compared with Brazil coffee beans aged at room temperature, those aged in the yukimuro showed a significantly decreased sensory score for astringency and an increased score for sweetness. No differences were observed in regards to chlorogenate derivatives (bitter compounds) and carbonic acids (sour compounds) content among the beans stored under different conditions. In contrast, aging in the yukimuro remarkably modified the odor constituent composition in the roasted coffee beans. These findings indicate that the yukimuro storage of roasted coffee beans tends to suppress unpleasant off-flavors and thus changes its taste by reducing astringency and inducing sweetness.



雪下貯蔵や雪中貯蔵(雪室貯蔵)などの雪を利用した食品貯蔵は,低温・高湿度(室温0~2℃,湿度95%以上)の環境を保てることから農作物の品質の保持の上で有用であり,北陸・東北地方などの積雪地域で古くから実施されている。雪下貯蔵は収穫時期の野菜類を収穫しないまま雪下で越冬させ,雪解けの早春期に収穫する貯蔵方法であり,新潟県津南市の「雪下にんじん」などが知られている。また,積雪中に埋没させた貯蔵庫や,冬の間に採取した雪や氷を利用して氷室や雪室を作り,それを冷房源として夏の間の食品貯蔵などに利用する雪中・雪室貯蔵も,古くから魚や農産物などの食品保存に用いられてきた。これらの貯蔵方法は電気利用冷蔵庫の普及により次第に利用されなくなり,その多くが姿を消して行ったが,近年では雪や氷を利用する「氷雪冷熱」がCO2を排出しない環境に優しい冷熱エネルギーとして見直されつつあり,この「氷雪冷却エネルギー」は平成14年1月の「新エネルギー利用等の促進に関する特別措置法」の改正により,新エネルギーとして認知されるに至った。それに伴い,平成元年には豪雪地域においてわずか3施設に過ぎなかった雪冷熱エネルギーを利用した施設も,平成28年には169施設に増加しており,その65%が農産物・加工品等の貯蔵に用いられている。
 これらの雪冷熱エネルギーを利用した貯蔵は,低コストの冷蔵システムとして貯蔵温度を0℃付近に維持できるうえ,その高湿度の環境により農産物の乾燥を防ぐことが可能である。また,冷房装置による空気変動や振動などを受けないため,環境ストレスの少ない状態で食品を保存できる利点がある。加えて,これらの雪利用貯蔵を行ったいくつかの農産物では呈味が向上する効果が示されており,高付加価値商品としても注目されるようになった。一般的に,植物類は低温にさらされることにより細胞内の糖類やアミノ酸類などの濃度を高めて凍結温度を下げ,耐凍性を獲得する(低温馴化)。そのため,雪中貯蔵を行った人参(雪下人参)やキャベツ,ジャガイモなどの作物では貯蔵により遊離糖や遊離アミノ酸が増加するなど,その食味が向上することが示されている1–3)。近年では加工食品を含むいろいろな食材について低温貯蔵する試みが行われており,雪利用貯蔵による食味向上が謳われているが,雪利用食品のブランドイメージにもかかわらずその有効性が示されたものは必ずしも多くはない。
 コーヒーは世界で最も好まれている飲料の一つであり,日本においてもその消費量は高く,現在では世界第三位のコーヒー豆輸入国となっている。コーヒーの生豆にはコーヒーらしい味や香りはなく,焙煎による変化により苦味,酸味成分とともに数多くの香気成分が生み出され,コーヒーとしての味と香りを示す。焙煎後のコーヒーは通常常温で熟成と保存が行われるが,焙煎によって生じた香気成分が豆に閉じ込められた二酸化炭素とともに徐々に失われるとともに,長期保存によって劣化臭(オフフレーバー)が増加することにより品質劣化を招く。この焙煎後のコーヒーを雪室により熟成する試みが新潟県内で行われており,現在「雪室珈琲」としてブランド化されて販売されている。この雪室熟成コーヒーは「苦味の角がとれる」「甘味が増す」「すっきりとした飲み口」などと評されているものの,その呈味および成分変化に関する科学的な裏付けは得られていなかった。新潟県立大学では,この雪室熟成によるコーヒーの風味変化について検討しており,雪室モデルを用いた実験により香気成分の構成が変動することを報告している4)。
 本稿では,この雪室熟成コーヒーと常温熟成コーヒーとの風味の違いを官能検査により評価するとともに,雪室熟成による香気成分と味成分の変化を常温熟成あるいは冷蔵庫熟成と比較しつつ検討した結果について紹介する。

リレーショナルデータベースの初歩的解説
-発酵食品データベースを例にして-
ABC of Relational Database

曲山 幸生/Yukio Magariyama

 現代社会では膨大なデータが日々蓄積され,誰もが大量のデータを以前よりも簡単に収集できるようになりつつある。そして,社会のあらゆる分野で,その大量のデータを効果的に活用する者がその分野をリードしていくという状況になっている。情報工学において,「データ」とは客観的に事実を記録したもので,「情報」とは特定の目的のためにデータを加工し利用できるようにしたものと定義されている。この用語を使えば,今日の社会状況の記述を「膨大なデータの海から高品質の情報を産み出した者が成功者になる。」と言い換えることができる。深層学習やデータマイニング等を中心にしたAI技術が注目を集める理由は,膨大なデータの活用方法を提供するからであり,今日の社会状況から当然のことだと言える。
 データを情報化する装置として最も基本的なものがデータベースである。人類が文字を獲得したときすぐに様々な事象を記録しただろうが,これも広い意味ではデータベースかもしれない。しかし,通常は,特定の条件を満足する複数のデータを収集して,利用しやすい形にまとめたものをデータベースと言う。「特定の条件を満足するデータ」は「あらかじめ決められた形式で表現されたひとまとまりの客観的事実」と言い換えることができる。例えば,この解説記事をデータベースとは呼ばないが,一方,住所録,組織図,社員の出勤簿,料理レシピ集等はデータベースである。このようにデータベースの範囲を限定したとしても,昔から社会の運営にはデータベースが必須であった。例えば,国を治めるために戸籍の整備は基本であったし,種々の取引記録をきちんと管理している商人が成功を収めてきた。コンピューターを駆使する現代では,その利用範囲は著しく拡大し,様々な新しいデータベースが生み出され,活用されている。データや低次の情報からより高次の情報を生み出す能力を獲得するために,現代に生きる多くの人にとって,データベースに関する基礎知識が有力な武器だと言えるだろう。
 本稿では,コンピューター上でデータベースを管理するシステム(DBMS; Database Management System)として,現在もっとも広く利用されているリレーショナルデータベース管理システム(RDBMS; Relational Database Management System)について,著者が最近開発・公開した発酵食品データベースを例にして,初心者向けに具体的に解説する。実用上の入門的な知識の獲得を目的としたため,学問的な厳密さは考慮していないことを最初にお断りしておく。

半導体レーザー照射が閉経後骨粗鬆症モデルのオッセオインテグレーションに及ぼす影響

山﨑 崇秀/Takahide Yazaki, 横瀬 敏志/Satoshi Yokose

Effect of Diode Laser Irradiation on Osseointegration in a Postmenopausal Osteoporotic Model


Takahide Yamazaki, Satoshi Yokose *
* Division of Endodontics and Operative Dentistry Department of Restorative and Biomaterials Sciences Meikai University of Dentistry

Key Words: OVX, implant, diode laser, rat

Abstract
Purpose: The aim of this study was to investigate the effect of diode laser irradiation on bone construction around implants after implanting titanium implants a in postmenopausal osteoporotic animal model.

Materials and methods: This study involved 30 female 10-week-old SD rats. A postmenopausal osteoporosis model (OVX group) was prepared by excision of bilateral ovaries under anesthesia, and a non prepared group was designated the sham group. Two weeks later, both tibiae were perforated under anesthesia, and a sterilized titanium screw was inserted. A diode laser (OPELASER Filio) then irradiated the area at 2 W, CW, with irradiation time of 60 seconds, total energy of 120 J, with one irradiation. The irradiation distance was 50 mm from the implant implantation site. The control group was not irradiated with the laser. Then, 2, 3, and 4 weeks after implantation, samples were collected for digital X-ray photography and measurement of torque values. The sample was stained with hematoxylin - eosin by a conventional method and bone morphometry was performed.

Results: In the OVX group at 2 weeks after implantation, the torque value of the laser irradiation group compared with the control group increased significantly. Next, on bone morphometry 2 and 3 weeks after implantation, bone formation around the implant was increased in the laser irradiation group in both the sham group and the OVX group compared with the control group.

要 約
目的:本研究は,閉経後骨粗鬆症動物モデルにチタンインプラントを埋入し,半導体レーザー照射によりインプラント周囲の骨形態にどのような影響を及ぼすかを調べることを目的とした。

材料と方法:10週齢雌性SDラットを60匹用いて,麻酔下にて両側卵巣を摘出し閉経後骨粗鬆症モデル(OVX群)と非摘出群(Sham群)を作製した。2週間後に両腓骨を穿孔させ,滅菌されたチタンスクリューを埋入し,半導体レーザー(OPELASER Filio)を2W,CW,照射時間を60秒,総エネルギー量が120J,照射距離はインプラント埋入部位から50mm離し,1回の照射を行った。レーザー未照射群を対照群とした。インプラント埋入2,3,4週後に試料採取を行い,デジタルエックス線写真撮影およびインプラント体除去時のピーク値をトルク値として計測を行った。試料は通法によりH-E染色を行い,骨形態計測を行った。

結果:インプラント埋入後2週目のOVX群で,対照群と比較したレーザー照射群のトルク値が増加しており,有意差が認められた。次にインプラント埋入後2,3週目の骨形態計測では,Sham群,OVX群共にレーザー照射群におけるインプラント周囲の骨形成が対照群と比較して増加していた.

結論:閉経後骨粗鬆症モデル動物へインプラントを埋入し,半導体レーザー照射を行うことによって,早期にオッセオインテグレーションが獲得できることが示唆された。

◆製品紹介

アンデスのスーパーフード「キヌア Quinua」

大日本明治製糖株式会社

 キヌアは,アンデス原産の雑穀で,紀元前5〜3千年から栽培されはじめ,15世紀〜16世紀には栽培技術も確立されていました。栄養価の高さから伝承的に「母なる穀物」として重用され,インカ帝国の文明を支えた重要な穀物と言われています。ヒエに似た種子にはデンプンが含まれており,粉にしてパン状に焼いたり,また粒のまま粥にして食されるなど,現代でも重要な食用植物として栽培されています。たんぱく質,食物繊維や鉄・マグネシウム,カリウムなどのミネラル,すべての必須アミノ酸を含む,栄養バランスに優れたグルテンフリーの雑穀で,スーパーフードとして世界的にも注目されています。現在ではペルー南部とボリビア西部を中心としたアンデス山脈の高原地帯アルティプラーノ(標高2500m以上)で栽培されています。キヌアは健康食として注目を浴び,北アメリカやヨーロッパ,インドなど世界各国で栽培されていますが,ボリビアとペルーが主要な生産国です。

◆解 説

新解説 グルテンフリー穀物によるケーキ,パスタ,ピザ,幼児食製造

瀬口 正晴/Masaharu Seguchi,竹内 美貴/Miki Takeuchi,中村 智英子/Chieko Nakamura

本論文「新解説 グルテンフリー穀物によるケーキ,パスタ,ピザ,幼児食製造」は、”Gluten-Free Cereal Products and Beverages” (Edited by E. K. Arent and F. D. Bello) 2008 by Academic Press (ELSEVIER) の第14章 Formulation and nutritional aspects of gluten-free cereal products and infant foods by Eimear Gallagher の一部を翻訳し紹介するものである。

エッセイ 伝える心・伝えられたもの

— 都会の中の水田—

宮尾 茂雄/Shigeo Miyao

 今年の東京地方の梅雨は,気象庁の予報どおり6月8日から始まった。灰色の空から勢いよく雨が降り始め,数日来の猛暑で乾いていた地面に大粒の雨が浸み込んでいった。大学の研究室の窓から見える木立の緑が,雨粒を受けていっそう色濃く輝いた。
 米作りは早春の田起こしから始まる。4月上旬の種籾播き,田の水張り,代かき(田ならし),そして5月〜6月頃の田植えと作業が続く。梅雨を迎えて稲はグングンと成長する1)。お米好きの私は,稲の成長を見るのが喜びである。都会暮らしの中で,出会った小さな水田をご紹介したい。

◆連 載

デンマーク通信 デンマークのストリートフード

Naoko Ryde Nishioka

 デンマークの夏は6月くらいから本格的に始まり,7月には多くの人が長い休暇(3週間から4週間)をとります。北緯の高いデンマークでは夏の日が長く,湿度も温度も日本に比べると低いため清々しく,まさにベストシーズンとなります。夏は晴れればビーチや運河沿い,湖など水辺に人が溢れ,太陽の光を楽しみます。
 今回は,そんな夏の晴れた日に人々で賑わうデンマークのストリートフードを紹介したいと思います。

野山の花 — 身近な山野草の食効・薬効 —
ノイバラRosa multiflora Thunb. var. multiflora
(=Rosa polyantha Siebold et Zucc.)
(バラ科 Rosaceae)

白瀧 義明/Yoshiaki Shirataki

 梅雨が明け,真夏の太陽が照りつける7〜8月頃,街路樹の下で小さな薄黄色の蝶形をした花が落ちているのを見かけます。エンジュ(槐)はよく街路樹や庭木として植えられる高さ20mに達する中国原産の落葉高木で,夏場に枝葉を茂らすため,木陰を作る緑陰樹として日本,中国,韓国などで植栽されています。和名は古名「えにす」の転化したもので,学名にjaponicum (japonica) とあるのは日本産と勘違いされたためだそうです。葉は奇数羽状複葉で互生し,小葉は4〜7対あり,長さ3〜5cmの卵形を呈し,表面は緑色,裏面は緑白色で短毛があり,花は7〜8月開花し,枝先の円錐花序に白色の蝶形花を多数開きます。花の特徴としては10本ある雄しべがすべて離生することです。これはマメ科植物の中でも原始的なグループと考えられます。

組織の活性化と人材の育成〜

―分野を超えたコラボの必要性―

坂上 宏/Hiroshi Sakagami,虻川 東嗣/Harutsugi Abukawa,友村 美根子/Minwko Tomomura,大石 隆介/Ryusuke Oishi,白瀧 義明/Yoshiaki Shirataki,中谷 祥恵/Sachie Nakatani,真殿 仁美/Hitomi Madono,小川 由香里/Yukari Ogawa,天野 修司Shuji Amano,刀祢 重信/Shigenobu Tone,飯島 洋介/Yosuke Iijima,肖 黎/Li Xiao ,エンジェル・パウリノ/Paurino Angel


Abstract
 With the rapid progress in science and technology, competition to acquire scientific research funds has become much severe. In research conducted alone, it is difficult to get promising vision, and prepare all the consumables and equipment necessary for research. There is a limit to the development of individual research, and collaboration with many fields is important. The process of forming a collaboration between three adjacent universities and the future prospects will be described.

 急速な科学技術の進歩に伴い科学研究費の獲得は一段と厳しさを増してきた。一人で行なう研究では,ものの見方が十分でなく,研究に必要な消耗品や設備を全てそろえることは難しい。個別の研究の発展には限界があり,コラボが重要である。中国では,中国大陸だけに留まらず,EUやアフリカ大陸における中国の影響,世界における中国の立ち位置,といった複合的な視点に立つことが求められている。
 筆頭著者(HS)は,1997年,明海大学歯学部歯科薬理学講座(現薬理学分野)に赴任した。産学連携の研究所として明海薬医学研究室(MPL)を立ち上げた。2017年,退職と同時にMPLの後継の明海大学歯科医学総合研究所(M-RIO)を創立し,現在に至っている。
コラボの形成の足跡を振り返ってみた(図1)。1990年,ギリシャのマラソンで開催された第3回Anticancer Research会議におけるシンポジウムに招待された。ランチタイムに本橋登先生(現,明治薬科大学名誉教授)御一家と同席することができた。本橋先生のお知り合いの白瀧先生が明海大学と同じ敷地にある城西大学薬学部におられると聞き会いに行った。白瀧先生とは,1997年の論文1)を皮切りに,フラボノイド関連の論文を多数発表している。MPLに兼担勤務されていた友村美根子先生(明海大学歯学部生化学)は,2010年の論文2)を皮切りに,破骨細胞分化を抑制する天然物質の探索を開始した。白瀧研究室の鈴木先生や大学院生が植物から単離した様々な物質が送られてきた。城西大学薬学部の杉田先生,高尾先生の合成したクロモン誘導体が高い腫瘍選択性を持ち,ケラチノサイト毒性が抗癌剤よりも格段弱いこと,明治薬科大学の植沢先生の協力により,腫瘍選択性と分子の形状に相関性のあることが明らかにされた3)。