New Food Industry 2019年 4月号
レスター・パッカー教授追悼 —特集 代替医療としての抗酸化物質
—レスター・パッカー教授追悼号— 巻頭言
松郷 誠一/Seiichi Matsugo
日本でも著名であり,世界のフリーラジカル科学の先頭を走って来たカリフォルニア大学バークレー校のレスター・パッカー元教授(南カリフォルニア大学教授)が7月27日心疾患により他界された。レスター・パッカー教授は600報を超える論文ならびに,数多くの本を上梓された。また,オーガナイザーしても優れた能力を発揮し多くの国際会議の運営にも携わって来られた。
レスター・パッカー教授は大変な親日家でもあり,日本にも数多く訪問し,その土地の食事や文化を楽しまれた。時には温泉に入ることもあり,和室での滞在も楽しんでいた。日本にいる彼の研究室にいた研究者を訪ねることも彼の喜びの一つであったように思う。
彼の卓越した科学に対する姿勢ならびに,深い洞察は彼の研究室で学んだ多くの研究者(日本人を含め)に影響を与えている。パッカー研究室からは多くの著名な科学者を輩出しており,これはひとえに彼の人柄と科学者としての姿勢によるものであり,彼が若い研究者の長所を伸ばすことに長けていたからだと思われる。彼の初期の仕事はミトコンドリアの生化学的な研究が主であったが,その後ミトコンドリアのエネルギー代謝に関わる活性酸素,酵素群,さらにはミトコンドリア内に存在するエネルギー代謝に関わる抗酸化物質などに展開していき,近年は抗酸化物質のシグナル伝達にも興味を抱き,研究を進めて来られた。
私自身も彼の影響を強く受けた人間の一人であり,彼のコンセプトである『生理学的条件』と『Keep Moving』という言葉を座右に研究を行なって来た。彼の逝去は彼の研究室で学んだ多くの研究者に深い哀しみを与えたが,立ち止まることは,彼の教えに反すると思われる。彼の足跡をたどり,学んだことを伝承していくことこそが,彼の喪失感を埋めることになると考えていた。彼の仕事は上記のように多岐にわたり,一つ一つのテーマが頂きをなすものであり,一つのテーマに収斂することは難しいと考えていた。
この度,ニューフードインダストリーの編集長今西和政氏より,『代替医療としての抗酸化物質』と言うテーマでまとめてみたいという申し出を受けた。このテーマはレスター・パッカー教授が体現しようとしていた抗酸化物質の将来の可能性につながるものであると思われる。この企画に賛同いただき,寄稿いただいた方々に感謝する次第である。この特集号が抗酸化物質の新可能性を見出そうとする研究者の一助になることを願う次第である。
酸化ストレス研究の変遷と現状―
酸化ストレス研究の先駆者としてのLester Packer 先生を偲んで
河野 雅弘/Masahiro Khono,小澤 俊彦/Toshihiko Ozawa
抗酸化研究の先駆者であったカリフォルニア大学バークレー校のLester Packer教授に導かれて,日本でも多くの研究者が酸化ストレス研究に携わっている。Packer 教授は親日家と言われているが,日本側の窓口として,岡山大学医学部神経情報学部門の森昭胤名誉教授がご尽力されたことを知る人は少ない。1980年代初め,酸化ストレス研究は,自動酸化と呼ばれる脂質の過酸化反応を停止あるいは抑制することを目的としていた。森先生は,てんかんモデルラットを使った酸化ストレス研究に取り組まれていた。化学反応としては,過酸化水素と鉄イオンを組み合わせた酸化傷害を発症させる実験であった。一方,生体内の酸化ストレスを知る手段としては,名古屋大学医学部の八木国男先生の開発した過酸化物計測法(八木法と呼ばれた)が重要な役割を果たしていた。どのような研究分野においても大切なのは評価計測技術であることは否めない。この3名の著名な教授がOCC(Oxygen Club of California )会にて出会ったことが,今日の酸化ストレス研究の幕開けであった。本稿では,酸化ストレス研究が,どのような変遷を経て発展を遂げてきたかについて紹介する。
きのこ菌糸体の機能性研究と代替医療への応用
Application for alternative medicine in functional research on cultured mycelia of the higher Basidiomycetes mushrooms
中村 友幸/Tomoyuki Nakamura
Abstract
We investigated the anti-oxidant activity of cultured mycelia components in various mushroom and discovered that Phellinus linteus shows the highest activity. Therefore, we focused on P. linteus and investigated application for alternative medicine in anti-oxidant effect. P. linteus, a well-known traditional medicinal mushroom, has been shown to exhibit potent biological activity. Recently, functional foods using cultured mycelia of P. linteus have been widely produced. This review on P. linteus presents current uniform and stabilization technology using genetic analysis, establishment of a culture technique, and various function properties of its mycelia. In particular, functional research on various assays is presented that examine anti-oxdant, and anti-allergy, including some novel findings suggesting that the cultured mycelia of P. linteus and its effective components have the potential to be applied to future therapies of various diseases.
近年,我々を取り巻く社会環境は疾病構造の変化,ストレス社会,さらに高齢化社会の進行などの大きな変化が見られる。そこで重要となるのが健康の維持増進に必要となる健康食品などがあげられる。そこで注目されている素材としてきのこがあり,きのこは植物と同様にカロリーなどの栄養面での働き(一次機能),嗜好面での働き(二次機能)のほかに,人間の生理機能を活性化させる働き(三次機能)をもっており,このような三次機能を効率よく発現できるよう設計した食品を「機能性食品」としており,本稿で紹介するきのこも重要な「機能性食品素材」として期待されている。特に,昨今ではこのきのこに含まれる成分の機能は科学技術の進歩から様々なアッセイ方法が確立され,また化学構造解析の進歩により急速に活性成分が発見され,きのこ類は人体にとって有用な未知なる成分が存在する可能性が示されてきている1-10)。ここではきのこの生活環で大きく二つに分けることができる菌糸体と子実体(キノコ)のなかで安定的に均一な管理が可能である菌糸体を用いて試験を進めた。
まず予防医学の観点から抗酸化活性に注目した上で生体系における老化や発ガンの原因となるスーパーオキシドアニオンラジカルの消去活性試験を食用きのこ,薬用きのこを含めた12種類のきのこ菌糸体を用いて調査した。さらに抗酸化活性試験の結果から,最も高い活性を示した薬用きのこのメシマコブにおける代替医療への利用価値を調査した。代替医療への展開を目指した各種機能性研究としては抗がん効果を除いた機能性研究に絞り,抗アレルギー試験としてはNC/Nga.,/miceを用いた動物実験,また抗アレルギー試験のひとつの指標としてのヒスタミン遊離抑制試験を行い,活性物質の単離・同定を行った。最新の機能性研究としては「インフルエンザワクチンに対するアジュバント作用」および「脳血管障害(脳梗塞)の改善作用:実験的局所脳虚血巣縮小効果」,さらには将来に向けた医療分野での活用として「iPS細胞の樹立効率改善作用」に関する成果をまとめることができた。今回,各種きのこ菌糸体の中から抗酸化活性が最も高いきのこであるメシマコブ菌糸体を研究素材として機能性研究を進めるにあたり,最先端な研究手法を用いることで抗酸化作用と代替医療への一つのつながりを示すことができたので紹介する。
カフェインを低減化した緑茶(低カフェイン茶)と後発酵茶の開発および機能性
Health benefits of post-fermented green tea with reduced caffeine as a functional food
斎藤 貴江子/Kieko Saito,中村 順行/Yoriyuki Nakamura
Abstract
Many kinds of tea are produced and consumed worldwide. One reason for tea’s popularity is that it exhibits various physiological functions. Green tea contains catechins, caffeine and theanine as the main components, with each component imparting a distinct taste. However, caffeine exhibits some side effects, such as sleeplessness. In this study, green tea with reduced caffeine (low caffeine tea) was manufactured using a hot-water spray process. In adding, we developed a post-fermented tea using the low caffeine tea to exhibit positive functions to maintain our health. The low caffeine tea leaves were fermented with lactic acid bacteria (Lactobacillus plantarum) for four weeks. As fermentation progressed, theanine and catechin contents tended to decrease, though caffeine level was unchanged. The infusion of the post-fermented tea exhibited high antioxidative activity during fermentation, while important antioxidant catechin content was decreased. In addition, the preadipocyte differentiation-inhibitory test showed the inhibition effect of the post-fermented tea infusion on adipogenesis in a dose-dependent manner. These results showed that the fermentation did not affect the antioxidant and anti-adipogenesis activities. Fermentation denatured the structure of leaf tissue, and some novel molecules might have been produced, exhibiting positive effects. These results showed that the post-fermented tea we developed was a unique tea product showing antioxidative activity and adipogenesis inhibitory effect and may prove to be a functional food for our health.
代替医療素材としてのR-α-リポ酸の科学
生田 直子/Naoko Ikuta,松郷 誠一/Seiichi Matsugo
α-リポ酸の研究は1930年代に始まり,1951年にReedら1) によって酸化型α-リポ酸が単離・同定された。Reedら2) は,約10トンのウシの肝臓から複数回の抽出プロセスを経た後に,約30mgのα-リポ酸を結晶として取り出していることから,α-リポ酸の単離は容易なものではなかったことが想像できる。α-リポ酸は6位に不斉炭素を有するキラル分子であり,天然に存在するα-リポ酸はR体(R(+)-α-LA,あるいはR-α-リポ酸)である。(以下,これをR-リポ酸と略す。)鏡像異性体であるS体は化学合成により生成するが天然には存在しない。市場で利用されているα-リポ酸は化学合成されたものでR体とS体とを等量ずつ含むラセミ体である場合が多いが,最近では高純度のR体のα-リポ酸もわずかながら利用されている。リポ酸は別名チオクト酸とも呼ばれるが,これはR-リポ酸の基本骨格がオクタン酸であり,分子内に2個の硫黄(チオ)原子がついていることに由来する。アメリカ生化学会がLipoic acidという物質名を採用したため,今日では『リポ酸』という名称がより一般的になっている3)。リポ酸についてはこれまでに筆者らが本雑誌に掲載したものを含め数多くの研究報告がなされているが4-6),本稿ではリポ酸の科学と代替医療素材としての可能性について最近のトピックスを交えながら紹介する。また,リポ酸の研究の中で抗酸化物質に関する箇所は故レスターパッカー教授が1990年代に活発に研究を展開することにより,研究が大きく進展したことを特に付言しておく。
L -カルニチンとセルフメディケーション
L-Carnitine on self-medication
王堂 哲/Satoshi Odo
Abstract
L-carnitine is a water soluble amino acid derivative distributed mainly in muscle tissue. It shuttles fuel long chain fatty acids into mitochondrial matrix through its highly selective inner membrane to be catabolized on β-oxidation. The molecule is endogenously synthesized from protein bound L-lysine in specific organs, liver, kidney etc. About 50 – 75 % of amount vs. total requirement is supplied by daily diets such as lean meats. L-carnitine is provided not only as countermeasures on pharmaceutical area for congenital deficiency patients but also available as dietary supplements for diverse applications. Under the condition on excessive fat oxidation or acute glycolysis bring surplus acetyl CoA resulting in metabolic inertia caused by free CoA shortage. L-carnitine supplementation mitigates the stuck condition by forming acetylcarnitine to resume free CoA status. L-carnitine may give health benefits on diverse situations: metabolic syndrome, athletes, elderly populations, weight management program etc. It was reported on Japanese subjects that 500 mg of daily dosage for four weeks brought significant weight loss when favorable motivation training was accompanied. Recent researches show L-carnitine reduces muscle soreness after strenuous exercise on wide range of subjects, e.g. untrained middle aged population and athlete as well through reducing damages from reactive oxygen species (ROS) being generated from xanthine oxidase process. Also many studies demonstrate effects of L-carnitine on moderating oxidative stresses through activating endogenous enzymes such as SOD and / or glutathione peroxidase etc. which are responsible for ROS quenching events. A part of L-carnitine is converted into acetylcarnitine to facilitate acetylcholine turnover in central nervous system synaptic area to improve cognitive capabilities. As body content of the substance decreases along with aging, L-carnitine supplementation may give benefits to elderly people both on physical and mental aspects. In sum, L-carnitine could be one of the efficient tools on self-medications in wide variety of people.
要約
L-カルニチンは主に筋肉に含有されている水溶性のアミノ酸誘導体であり,カルニチンシャトル機構によりエネルギー源としての長鎖脂肪酸をミトコンドリア内に運搬するために必須の成分である。肝臓や腎臓でタンパク質中のリジンから生合成されるが必要量の50~75%程度は赤身肉を中心とした一般食品からから摂取されるほか,医薬やサプリメントとしても補給される。L-カルニチンの摂取はミトコンドリアにおけるβ-酸化を活性化することのみならずアセチルバッファー作用によって遊離CoA量を確保することを通じてエネルギー代謝の渋滞を緩和する作用がある。健常人ではメタボリックシンドローム,アスリート,高齢者,ウエイトマネジメントなどにメリットをもたらすことが期待される。健康上好ましい方向にモチベーションを伴いながら摂取を行った場合に500 mg/日といった低用量でも体重減少の効果が現れることが日本人被験者で示されている。アスリートにおいては身体能力の単純な向上よりもむしろ活性酸素の低減を通じた筋肉疲労の低減により実践的な意義が見いだされている。L-カルニチンによる活性酸素種の低減はグルタチオンペルオキシダーゼやSODなど内因性の抗酸化システムを亢進させることによると考えられている。L-カルニチンの一部はアセチルカルニチンとなってアセチルコリンの代謝回転に寄与し,認知力の向上や脳神経細胞の保護作用を表す。加齢に伴って体内のL-カルニチンが減少する高齢者にとってはL-カルニチンの補給を行うことによって身体的,精神的双方のメリットが見込まれるため,今後の高齢化社会におけるセルフメディケーションツールの一つとして研究開発の促進が望まれる。
海藻カロテノイド「フコキサンチン」による抗肥満作用
前多 隼人/Hayato Maeda
カロテノイドは野菜や果実の他,海産物にも含まれる黄色から赤色を呈した色素成分であり,光合成の補助色素として植物体内で合成される。動物は摂取した植物体に含まれるカロテノイドを体内に取り入れ,そのものおよびその代謝物を体内に蓄積している。これまでに自然界には750種類のカロテノイドが存在することが確認されており1),その内食品中には100種類ほど見出されている。β-カロテン,α-カロテン,リコペンはカロテン類に分類され,プロビタミンA活性を有しヒトにとっては欠くことのできない栄養素である。ルテイン,ネオキサンチン,ビオラキサンチン,β-クリプトキサンチン,アスタキサンチン,フコキサンチンは分子内に酸素分子を有するキサントフィル類に分類される。
フコキサンチンはワカメ,コンブ,モズクなどの褐藻類に特徴的に含まれており,光合成において青緑色域(480〜540 nm)の光を吸収する補助色素として働いている。フコキサンチンの分子構造中には,3つの炭素原子の間に2重結合が連続した構造を含む(図1)。このアレン構造を有するカロテノイドはフコキサンチンの代謝物やネオキサンチンなどごくわずかな種類しかない。 フコキサンチンの生理機能としては,抗酸化作用2)や,白血病3),前立腺癌4),結腸がん細胞増殖抑制作用5),血管新生抑制作用6),抗炎症作用7),肝臓でのDHA合成促進作用8)などが報告されている。本稿ではこれらのフコキサンチンの機能のうち,肥満に関係する疾患の予防改善作用について解説する。
解 説
養魚飼料原料としての食品廃棄物やバイプロ-3.
ウェハース屑,ゴマ油粕,廃棄マヨネーズ
酒本 秀一 /Shuichi Sakamoto
食品廃棄物やバイプロの中には食品としては提供出来ないが飼料原料として利用出来る物が沢山有る。賞味期限切れや包材の破損などで製品として供せなくなった物,製造ラインでの壊れや粉化などで製品に出来なかった物,目的物を抽出した後の残渣などである。
既に菓子粉,出汁粕,パン屑1),再生大豆油,ラーメン屑,ビール粕2)などの養魚飼料原料としての可能性を調べたが,本報告ではウェハース屑,ゴマ油粕,廃棄マヨネーズの養魚飼料原料としての適性を調べた。
連 載
野山の花 — 身近な山野草の食効・薬効 —
オキナグサPulsatilla cernua (Thunb.) Bercht. et C. Presl
(=Anemone cernua Thunb.)
(キンポウゲ科 Ranunculaceae)
白瀧 義明/Yoshiaki Shirataki
日に日に暖かくなる春爛漫の4月,最近では,山の中でほとんど見かけなくなった植物の一つにオキナグサ(翁草)があります。日本,朝鮮半島,中国東北部に分布し,日本では本州,四国,九州の山地の日当たりのよい草原や河川の堤防などに生育しています。根出葉は2回羽状複葉で,長い柄があり,小葉はさらに深く分裂しています。茎につく葉は3枚が輪生し,葉や花茎など,全体が白い長い毛に包まれています。花の咲く頃,花茎は10cmくらいの高さですが,花後の種子がついた白い綿毛がつく頃は30〜40cmになります。花期は4〜5月で,暗赤紫色の花を花茎の先端に1個つけ,ややうつむいて咲きますが,次第に上向きに変化します。長さ2〜2.5cmのがく片が6枚あり,花弁のように見え,たくさんある雄しべのうち最も外側のものがこん棒状に膨らんだ仮雄しべとなり蜜を分泌します。名前の由来は,白く長い綿毛のある果実の集まった様子を老人の頭にたとえたもので,ネコグサ,ネコバナともいわれ,その他,日本各地でオバシラガ,ババシラガ,カワラノオバサンなどとよばれ,かつては日本中で親しまれた植物だったようです。しかし,現在,その数は,激減し,絶滅危惧II類 (VU)(環境省レッドリスト)に指定されています。オキナグサが減少した要因としては,自然環境の変化や園芸目的の採集などがあげられます。
デンマーク通信 デンマークのオンラインスーパー
Naoko Ryde Nishioka
今回は,デンマークの多様化する食料品の購入方法,特にオンラインスーパーについて紹介したいと思います。
日本でも近年インターネットやスマートフォンの普及,共働き夫婦の増加やオンラインスーパーの利便性などの背景から,インターネットで食料品を購入し,家まで配達という方法を使って日々の買い物をしている人が多くなっています。ここデンマークでも同じように,家のドアまで宅配してくれるサービスが続々と登場し,普及しています。
インターネットで買い物して宅配するサービスは,スーパーに行く時間の取れない忙しい共働き家族には大変助かるサービスです。また,スーパーまで出向いてたくさんの買い物をできない老人や,小さな子供のいる家庭などにも,大変便利です。さらに,一般の会社でも,社員の誰かが外出する必要がないため,オフィスで使う食料品(コーヒーやスナックなど)のオーダーなどにも利用されています。デンマークは最低賃金が先進国の中でも高いため,宅配などの労働集約的なサービスは,消費者にとって高額になってしまうのでは?と思いがちです。しかし,オンラインスーパーの大手,Nemlig.Com(ネムリドットコム)の宅配料金は9クローネから40クローネ(200円から800円)ほどの範囲です。宅配の需要が集中するような時間帯や,宅配する家庭の少ない地域などは値段が高くなったり,直前のオーダーは,数日前にオーダーしておく場合に比べて割高になったりしますが,注文時に,自分の好きな時間帯と配達料金を選ぶことができます。出社する前の早朝に宅配してもらったり,夕飯を作る前に配達してもらったりと時間帯も幅広く,1時間単位で選択することができます。
漢方の効能
(6)薬酒について
YAKUSHU
鈴木 龍一郎 / Ryuichiro Suzuki
読者の皆さんは薬酒をご存知でしょうか。薬酒と聞いて真っ先に養命酒製造株式会社が製造している「養命酒」を思い浮かべた人も多いと思います。もしかしたら,お正月に頂く屠蘇散を思い出した方もいたかもしれません。今回はこの「薬酒」について少しお話をしたいと思います。
薬酒とは,その字が示すように酒からなる薬のことです。つまり酒でもあり,薬でもあるということになります。酒は昔から百薬の長といって,気分を高揚させたり,血行・血流を促進させたり,食欲を増進させたりと様々な効果がありますので,お酒そのものが薬でもあります。お酒好きのひとにとっては,お酒を飲む理由には事足りないと思いますが,このようにお話しすると新たな飲む動機を与えてしまいそうですが,もちろん飲み過ぎは逆に健康を害してしまいますので注意が必要です。