New Food Industry 2019年 10月号

原著論文 

新規食事調査票「栄養価日記(Calorie and Nutrition Diary; CAND)」の開発

鈴木 直子/Naoko Suzuki,馬場 亜沙美/Asami Baba,柿沼 俊光/Toshihiro Kakinuma,佐野 友紀/Yuki Sano,田中 瑞穂/Mizuho Tanaka,大内 幸子/Sachiko ouchie,渡辺 健久/Taku Watanabe,山本 和雄/Kazuo Yamamoto


A novel dietary questionnaire: The Calorie and Nutrition Diary (CAND)

Authors: Naoko Suzuki*, Asami Baba, Toshihiro Kakinuma, Yuki Sano, Mizuho Tanaka, Sachiko Ouchi,
Taku Watanabe, Kazuo Yamamoto
*Corresponding author.
Affiliated institutions: ORTHOMEDICO Inc.
2F Sumitomo Fudosan Korakuen Bldg., 1-4-1, Koishikawa, Bunkyo-ku, Tokyo, 112-0002, Japan.

Key Words: Dietary surveys, meals, calories, computer-scored answer sheet, Japanese Food Guide Spinning Top

Abstract
Background and aims:
 A recently developed simple dietary survey method based on nutritional assessment by meal units calculates the nutritional value for a meal by the prior allocation of meal component values, requiring the respondent simply to give the name of the meal and state the presence or absence of fish, meat, or tofu. This reduces the burden on the respondent compared to that associated with completing a weighed-food dietary record survey. However, Japan’s 2017 National Health and Nutrition Survey Report noted that many people, especially men, did not cook their own meals at home, which could result in uncertainty in accurately describing meals and the names of dishes. In this study, we developed, and tested the validity and reliability of, a new diet questionnaire, the Calorie and Nutrition Diary (CAND), which enables people who are unfamiliar with cooking to provide sense-based answers.
Method:
 CAND was used to conduct a dietary survey of 151 Japanese men and women aged 18–89 years. This was completed on any day during the survey period in which the participant ate breakfast, lunch, and dinner. The participants were provided with a booklet that classified the names of dishes based on the Japanese Food Guide Spinning Top; referring to the booklet, the participant completed a computer-scored answer sheet that recorded the contents of meals consumed over the day. The validity and reliability of the CAND were examined by comparing the results with nutritional calculations obtained from a photographic dietary assessment. In total, 48 nutrients were included, including calories, total carbohydrates, protein, and total fat.
Results and discussion:
 There were statistically significant strong positive correlations between the nutritional values determined from the CAND and the calculations based on photographic dietary assessments, confirming the validity and reliability of the CAND. This study demonstrated that the CAND provided a feasible method for the investigation of dietary nutrient intake by age and meals per day.

抄録
背景・目的
 近年,簡便な食事調査法として料理単位による栄養評価を仕組みとした方法が開発され,その調査法は事前に料理成分値を充当し,該当する食事から栄養素を計算する仕組みとなっている。この方法では,対象者は料理名と魚や肉,豆腐のいずれかが入っていたかを記載するため,従来の秤量法にくらべ対象者の負担は軽減される。しかしながら,平成29年国民健康・栄養調査報告の一人世帯における自炊率をみると,男性は女性に比べて自炊をしない者が多く,このような対象者がいた場合に料理名を正確に記載できるか定かでなはい。そこで,本研究では料理に馴染みのない者でも感覚的に回答できる食事調査票「栄養価日記 (Calorie and Nutrition Diary; CAND)」を開発し,その妥当性と信頼性を検討した。
方法
 CANDを用いた食事調査は,10代から80代の日本人男女を対象に実施した。調査日は調査期間のうちの任意の1日,かつ朝・昼・夕の食事を摂る日とした。対象者には食事バランスガイドを基に料理名を分類した専用の冊子を配布し,対象者はその冊子を見ながら,その日に摂取した食事内容を専用のマークシートに回答した。CANDの妥当性および信頼性は,写真記録法から得られる栄養計算結果との比較により検討した。調査した栄養素は,エネルギー,炭水化物,たんぱく質,脂質などをはじめとする48栄養素であった。
結果・考察
 写真記録法とCANDによる栄養計算結果を比較したところ,対象としたほとんどの項目において有意な正の相関が認められ,CANDによる食事調査に妥当性および信頼性が確認された。CANDは年代別に料理を構成する食品,および1日当たりの食事の摂取量を調査する上で利用可能な方法であることが示された。

研究解説

cat’s clawと酵素処理cat’s clawの免疫増強作用と
抗炎症作用に関する臨床試験研究

具 然和/Yeunhwa Gu


Clinical trial research on the immunopotentiating and
anti-inflammatory effect of cat's claw and enzyme treated cat's claw

Yeunhwa Gu*
*Chairperson International Affairs Department of Radiological Science,
Graduate School of Health Science, Faculty of Health Science Junshin Gakuen University

Key Words: Lymphocytes, TNF-α, IL-4, Total IgE, Anti-inflammatory effect

Abstract
 In the present study, among the effects of cat's claw, the present invention was examined focusing on the immune enhancing action and the anti-inflammatory action.
 In this study, the increase in the number of leukocytes in the UT group (cat's claw) and the UTE group (enzyme-treated cat's claw) suggested the possibility of increased immunity.
 Ig-E is involved in many allergic reactions that prevent parasite infection in the digestive tract. In this study, IgE-RIST did not change in UT group (cat's claw) and UTE group (enzyme-treated cat's claw), and Ig-M and Ig-G increased gradually.
 It was suggested that it could be suppressed. With regard to blood TNF-α levels, significant increase was observed at 4 weeks compared with 0 week in UT group (cat's claw) and UTE group (enzyme-treated cat's claw), and therefore anti-cancer effect can also be expected. The UT group (cat's claw) and UTE group (enzyme-treated cat's claw) agents are indirectly linked to increased immune ability as a result of the absorption of active ingredients such as α and β-glucan being promoted along with the intestinal function of dietary fiber.
It was suggested that anti-allergic effects such as chronic histamine decrease appeared.

*To whom correspondence should be addressed.
Chairperson International Affairs Department of Radiological Science,
Graduate School of Health Science, Faculty of Health Science Junshin Gakuen University
1-1-1 Chikushigaoka, Minami-ku, Fukuoka 815-8510 Japan

要旨
 本研究では,cat's clawの緒効果の中でありとりわけ免疫増強作用と抗炎症作用に着目して検討した。本研究では,UT群(cat's claw)と UTE群(酵素処理cat's claw)に白血球数増加したことから,免疫増加の可能性が示唆された。
Ig-Eは消化管内の寄生虫感染を防ぐ,多くのアレルギー反応に関与している。本研究では,UT群(cat's claw)およびUTE群(酵素処理cat's claw)にIgE-RISTは変化がなく,Ig-M,Ig-Gは緩やかに増加したことから,外部からの細菌等の侵入を抑えられる可能性が示唆された。血中TNF-α値についてもUT群(cat's claw)とUTE群(酵素処理cat's claw)では,0週と比較すると4週目において有意な増加が認められたことから抗がん作用も期待できる。UT群(cat's claw)およびUTE群(酵素処理cat's claw)剤は,食物繊維の整腸作用と伴ってαおよびβ-グルカン等の有効成分の吸収が促進された結果,免疫能の増加により間接的なヒスタミン減少等の抗アレルギー作用が現れたと示唆された。

食としての機内食の固有性とグローバル社会における新たな展開
−多様化する利用形態と特別機内食における乗客実践からの考察−

元村 明日香/Aska Motomura,三好 恵真子/Emako Miyoshi


 近年,ヒト・モノの移動が活発化するとともに,宗教・文化・思想等もグローバルな規模で交錯し合っている。このようなグローバル社会は,飛行機での移動によって成り立っていると言っても過言ではない。アーリは,『モビリティーズ―移動の社会学』1)の中で,航空移動が活発になったことによる空港や航空旅行の形態の変化に伴い,グローバルな階層システムにおいて利用客間に大きな格差が生じていると言及している。すなわち,現代社会では,より自由で快適な航空サービス*1が提供されるようになったものの,それらのサービスを享受できるものとできないものとの格差が拡大していると指摘されている。それに加えて,近年,ローコストキャリア(LCC)の台頭により,こうした状況はより一層多様化していると考えられる。
 本稿では,航空移動において提供されるサービスの中で,特に利用者の健康や信条と深く関わる食事である「機内食」に焦点を当てることとする。グローバル化の進展に伴い,世界中の人々が飛行機を利用する機会が増え,多文化性に配慮した特別機内食等,機内食に求められる要請が益々高まっている。それと同時に航空空間自体が,グローバル秩序が招き入れている「場所」の典型をなしており,世界中の街や都市との多くの共通点・類似点を見せ,それらのその境界が不明瞭になるにつれて,日常性への要求がより増大している1)と考えられる。また機内サービスを排除して低運賃を追求する格安航空会社(LCC)と航空輸送のサービスの特性を標榜して顧客満足とエクセレントサービスを追求する大手航空会社との二極化が進む航空業界では,機内食は航空機に常備されている「プロダクト」というよりも,高品質化,多様化して,「コミュニケーションツール」として変貌していくこと2)が展望されている。
 ただし,機内食の提供される環境は,同じ移動媒体である鉄道や船の場合3)と異なり,空の上という特殊な航空空間であるゆえに,機内食自体,乗客の身体変化や技術的制限を伴う等の食としての固有性を有する点をまず押さえておく必要がある。それゆえに,航空機関連の科学技術の進歩が機内食の向上を後押ししてきたのだが,プロダクトまたはコミュニケーションツールとしてのみならず,今後は乗客の食事の享受という実践を通じて,科学的知識が進化していくという,いわゆる「作動中の科学」*2の側面がある点4)を,本稿では留意していきたい。
 これまで機内食を扱う先行研究では,グローバル社会における機内食の問題点について,特に宗教機内食を対象にして考察されているもの2, 5-7)が多い。例えば,特別機内食において提供する側の課題として最も大きなものが,コストであり,特に宗教に配慮した食事は,食材だけではなく調理法にまで制限があり,通常食に比べても手間とコストが多くかかるとされる。また,現在は航空会社や路線,利用者の嗜好やニーズの多様化によって,これまでの標準化・大量生産から多品種少量生産へとシフトする傾向が高まっている。必要なときに,過不足なく必要な量だけが,必要な場所に無駄なく納入されることが要求されているので,少なすぎる需要に対応することも難しい。例えば,食事の戒律が厳しいユダヤ教ミールは需要が少なく,製造が困難であるため,関西国際空港ではベルギーの専門業者から食事が輸入されている。一方で,機内食業者によると,東南アジアや西アジアにおけるイスラム教国の経済発展によるムスリムの輸送需要が発展することを考慮して,イスラム教ミールを重視する傾向にある。あくまでも利益を求めなければならない航空会社にとって,需要の規模とコストのバランスを見極めつつ,幅広いニーズに対応していくことが大きな課題となっている。
 ただし,こうした先行研究は,提供される側やマーケティングの視点からの考察が主流であり,食べる側である乗客の享受や経験には触れられておらず,またその研究手法も計量的分析に終始している。しかし,現在,特別機内食へのニーズは宗教機内食に留まらず,健康に配慮した機内食や,健康志向により急増するベジタリアン向けの機内食などにも目を向ける必要があり,そうした複雑な状況の実態を明らかにするためには,実際の「利用者の立場から捉えた特別機内食」についても分析する必要がある。同時に上述の「作動中の科学」の側面に鑑みれば,特にグローバル社会に対応すべく開発途上の機内食においては,利用者がどのように享受しているかという側面にもっと注視する意味が存在すると考えられる。言い換えれば,作動中における変化のプロセス8),すなわち人(乗客)とモノ(機内食)との間の実践についても着目し,そこで形成されつつある知識・事柄を抽出して,考察を深める必要があると考えた。
 そこで本研究では,機内食の固有性について,通常の食事との比較を踏まえつつその特徴を具現化するとともに,主として現在開発途上である特別機内食に着目し,多種多様化する機内食の現状について明らかにすることを目的とする。特に機内食を巡る乗客実践を通じて蓄積されていく知の体系を評価するために,レビュー分析やインタビュー調査等を行い,先行研究では捉え切れていない新たな側面を明らかにしつつ,今後の機内食の展望を模索していきたい。

◆連載解説

新解説 グルテンフリーでのサワードウ/乳酸菌の重要性

瀬口 正晴/Masaharu Seguchi,竹内 美貴/Miki Takeuchi,中村 智英子/Chieko Nakamura


本論文「新解説 グルテンフリー食品でのサワードウ/乳酸菌の重要性」は“Gluten-Free Cereal Products and Beverages” (Edited by E. K. Arendt and F. D. Bello) 2008 by Academic Press (ELSEVIER) の第 12 章 Sourdough/lactic acid bacteria by M.Gobbetti et al.,を翻訳紹介するものである。
 サワードウの利用は,食品発酵中,天然の膨化のスタート剤として最も古いバイオテクノロジー 加工法の一つである(Rocken and Voysey,1995)。サワードウは粉(例えば小麦,ライ麦),水, 他成分(例えば NaCl)の混合物で,天然にある乳酸菌,イーストによって発酵される。これら の微生物は主には粉,加工装置から来るが,サワードウ微生物相の結果的構成は,内部(例えば, 粉の化学成分,酵素成分)と外部(例えば,発酵過程の温度,潜在的酸化還元能,ドウ生成,時 間)要因によって決まって来る(Hammes and Ganzle,1998)。成熟したサワードウは乳酸菌主体 で,そこには>108 cfu/g が見られ,一方イーストの数はずっと低いオーダーである(Ehrmann and Vogel, 2005)。全体的にはサワードウ発酵には3標準プロトコールがあり,区分がされている(Bocker et al., 1995; De Vuyst and Neysens, 2005)。タイプ I サワードウは,伝統的テクニ ックで生産するもので,連続的に毎日新鮮な状態に微生物を活性状態に維持する特徴があり,そ れらは高活性状態で示される。その加工は室温で(20-30°C)すすめられ,サワードウの最終 pH は約 4.0 である。タイプ II サワードーは主にドウ酸性化剤(acidifier)として用いられる。発 酵は 2-5 日, >30°C,スピードアップしながらその加工は続き,発酵の 24 時間後 pH は < 3.5 になる(Hammes and Ganzle,1998)。微生物は成長のステーショナリー相の後半(late)になり, 制限メタボリック活性を示す。タイプ III は,乾燥サワードウで粉の状態であり,スターターカ ルチャーと明示して発酵する。製パン中の酸性化剤,芳香キャリアーとして用いる。タイプ I, II,III サワードーに対する対照として,ベーカーズイーストの添加(Saccharomyces serevisiae)が発酵に用いられる(De Vuyst and Neysens, 2005)。この分け方を気にせずに,職人および工業 技術者らは,多くの別の伝統的な,あるいは独自のプロトコールを用いている(Gobbetti et al., 2005)。

酒たちの来た道

酒造りの文明史⑬

古賀 邦正/Kunimasa Koga


6.日本酒の来た道(4):記紀神話に見る酒の神々
6-12.記紀神話のあらすじと時代把握
 日本の現代社会は弥生時代以降の水田稲作社会を基盤にして発展してきた。縄文時代の早い時期から人々は定住を始め,住まいの近くでヒエや豆などの栽培をしていたという。しかし,一方で四季折々に山の中を逍遥しながら木の実を採取し,シカやイノシシなどの小動物を捕まえ,川や海から魚介類や貝を取って食糧にしていた。季節や場所の状況に合わせていろいろな物を食べていたのだ。“柔らかな”暮らしの社会に厳しい管理システムは要らない。縄文時代の社会は家族中心の緩やかな上下関係からなる小集団が中心だったと考えられている。紀元前10世紀後半に朝鮮半島から九州北部に水田稲作社会が持ち込まれ,次第に日本列島に拡がっていった。この水田稲作社会はコメが主食であり,その生産の場は水田。水田稲作民は一か所に集まって住み,水田造りに始まって田植え,雑草取り,収穫と共同作業でコメ造りを行う。収穫したコメは互いに分けあうにしても,収穫を増やそうと思えば共同作業の効率化が求められる。そのためには優秀なリーダーのもとでの協力体制の強化が必要となる。その結果,社会に秩序化と階級化が生じて,それが次第に強化されていった。こういった社会のありようは基本的には現代社会へ受け継がれている。
 コメの収穫は天候に大きく左右される。共同作業であるため収穫の良し悪しは集落全体の生活に影響を及ぼす。人々は人智を超えた大きな力を持つものを頼りにして自分たちの生活の安定や日々の安全を願っていたに違いない。人智を超えたものを崇める風習は縄文時代からあっただろうが,縄文時代は大きな力を持つものとして自然そのものを畏れ敬っていた。水田稲作社会になって願いが具体的になってゆくにつれて神々の姿も明確になってゆく。こうして日本の神々の多くは稲作農耕生活の中で定着し,庶民とくに農民の信仰を集めていった。酒の神も農耕の神々のなかの一つとして位置づけられ,崇められていた。
 8世紀初頭に編纂された古事記と日本書紀の初めに神話(記紀神話)が記されている。古くから伝わる「帝紀」,「旧辞」を天武天皇が稗田阿礼に命じて読み習わせたものを元明天皇が太安万侶に筆録させたのが712年に編纂された古事記である。720年に編纂された日本書紀は,舎人親王らが中国の史書の体裁にならって国家の正史として完成させたものである。古事記は皇室の起源と歴史をまとめた歴史書であるのに対し,日本書紀は正史としてオフィシャルな記述がなされている。どちらも天皇家の支配の根源と正統性を主張する政治的要素が働いているだろうが,それ以前から語り伝えられてきた説話を基にまとめた部分もあるだろう。酒の神や酒に関しての記述は,当時の酒について知るうえで重要な情報だろう。
 古事記と日本書紀はよく似た記述内容が多い。とくに記紀神話の部分は共通する部分が多い。しかし,文章量において大きな差があり,古事記は全3巻だけど日本書紀は全33巻。初の日本の正史として対外的に主張するスタンスに立ち,分かって欲しいことについては説明的な叙述も多くなりがちであった結果もその一因だろう。素朴な記述という点から言えば古事記ということになるが,酒の記述に関して日本書紀でのみ記述されている箇所もある。
 加藤百一氏が酒神と神社について詳細に調べておられ,多くの著書や論文が残されている。近年,考古学の進展で縄文時代は16000年前から3000年前までの13000年間続き,その文化レベルが想像以上に高かったこと,3000年近く以前に始まった弥生時代(水田稲作社会)は時間をかけて日本列島にゆっくりと広まっていったことなど古代社会に関して新たな知見も多く得られている。加藤氏の著書をたどりつつ,新たな知見を参考にして著者の感想や意見も交えながら古代の酒の旅を続けたいと思う。
 古事記の場合,神話と言われている箇所は上巻に記載されている。蓮田善明氏の現代語訳「古事記」に記載されている上巻の目次を図1に示した。まず,これを参考にしながら神代について記されている概略を述べることとする。いささか“神がかっている”ことはご容赦戴きたい。

特別寄稿評論

なぜ日本近海で魚が減少したか なぜ地球温暖化がおきているか

尾崎 庄一郎/Shoichiro Ozaki


Abstract
NOx is produced about 1/25 of produced CO2 when some thing is burned.
This NOx is fertilizer.and promotor of plant growth. But officials of many country dislike NOx as pollution substance and eliminating with ammonia. Then CO2 assimilation is retarded. Food production is retarded. And global warming is progressing. NOx should be released to air as it is NP in drainage is good promotor of CO2 assimilation. NP in drainage should be used for the promotion of CO2 assimilation of plant and plankton.

要旨
 これまで30〜40年の間に日本近海の漁獲量が1/10 に減少し,魚が高騰した。温暖化が進み気候が変わり,CO2の増加が続いている。現在,地球で510 億トンのCO2が発生し,CO2同化反応により385億トンのCO2 が固定され,残る149億トンのCO2 が地球温暖化の原因となっている。物を燃やすとCO2が発生するがCO2 の1/25 の量の窒素酸化物(NOx)も複生する。この窒素酸化物は植物が成長するためにCO2の1/25が必要とされる。多くの先進国がNOx,排水中のNPを汚染物質として排除している。そのため同化作用が妨げられCO2 が増加し続けている。そのため日本近海のプランクトン,海藻類の生育が妨げられ魚が激減している。NOx,排水のNPの除去をやめて同化反応を盛んにすることが,魚の減少と地球温暖化を防ぐ最良法である。

◆連 載

野山の花 — 身近な山野草の食効・薬効 —

チャノキ(チャ)Camellia sinensis (L.) Kuntze var. sinensis
(ツバキ科 Theaceae)

白瀧 義明/Yoshiaki Shirataki


 真っ青な空に白いうろこ雲(巻積雲)がたなびき,頬に心地よい秋風の中,野山を歩いていると,きれいに刈り取られた茶畑や,時には林の中で1本のチャノキ(チャ)に会うことがあります。チャは,「チャの木」,「茶樹」とも記される常緑低木で,葉は革質,光沢があり有柄で互生し,10〜12月初旬,葉腋に白い花をつけ,果実は翌年秋に熟します。原産地はインド,ベトナム,中国西南部とされていますが詳細はよくわかっていません。茶畑で栽培される他,野生化した樹木を含め熱帯から暖帯のアジアに広く分布しています。チャには,大きく分けてチャ(チャノキ)Camellia sinensis(L.)Kuntze var. sinensisとアッサアムチャ C. sinensis (L.)Kuntze var. assamica(J.W.Mast.)Kitam.の2変種があり日本のチャは前者です。前者のシネンシス種は高さ2〜3mの灌木で中国南部に自生し,丈夫な枝,短い茎,小さな丸い葉を持ち,藪や岩だらけの傾斜地などに生え,短い期間なら霜にも耐えられるためインド北東部のダージリン地方,台湾やセイロン島中央の山地などでの栽培に向き,主に日本,中国で栽培されています。後者のアッサム種はインドのアッサム地方に自生し,主に熱帯地域で栽培される高木で高さ10mほどになり大きな葉をつけます。花は径2〜2.5cm,花弁は白色で,枝の途中の葉柄基部から1つずつ下を向いてつき,短い柄でぶら下がるように咲きます。果実は花と同じくらいの大きさで2〜3室あり,それぞれに1個ずつの種子があり,種子の数だけ外側に膨らみをもっています。

デンマーク通信 デンマークのベリー類

Naoko Ryde Nishioka


 デンマークは8月に夏の終りを迎えます。日本では8月はまだ真夏ですが,デンマークでは,真夏のピークを6月下旬に迎え,8月になると,寒い日が多くなり,20度を超える日は少なくなってきます。しかし,近年のグローバルウォーミングの影響なのか,夏の気候がやや異常化しているとも言われています。例えば,従来のデンマークは,夏でも30度を超えることが少なく,湿度も低いため,室内のエアコンが不要でした。暑くて寝苦しい夜などは,あっても数日程度なため,エアコンが設置されている一般家庭は稀です。しかし近年,暑苦しい夏の日数が増えてきており,エアコン設置を検討する建物も多く,また,社会的にも環境に対する関心が非常に高まってきています。そうはいっても9月になるとかなり涼しくなってくるデンマークですが,夏を通してたくさん出回るベリー類の旬も終盤を迎えます。今回はそれらベリー類にまつわる話をしたいと思います。
 ベリー類といえば,まずイチゴや,ラズベリーやブルーベリーを思い浮かべると思いますが,ここデンマークでもこれらの果物は定番の人気アイテムです。日本ではブルベリーやラズベリーを見つけるのにちょっとだけ苦労することもありますが,ここデンマークではごく当たり前の,どこにでもある果物です。特にラズベリーは,お店で売られていることはもちろん,近所の森や林で取れることも珍しくないため,「裏の林にたくさんラズベリーがなってるから,取りに来たら?」などという会話が交わされることもあります。また,日本でも冬から春にかけて,イチゴ狩りの季節になりますが,デンマークでも,夏にはラズベリーピックング(ラズベリー狩り)を行なっているところも少なくありません。イチゴ,ラズベリー,ブルーベリーが主流ですが,その他,グーズベリーやフサスグリ,ブラックベリーなども,品揃えのいいスーパーや,果物野菜専門店に行くとほとんどのものを見つけることができます。