New Food Industry 2018年 9月号
総 説
高日持ちトマトの謎が明らかに
-半世紀にわたる成熟制御因子の誤解を解く
伊藤 康博 (ITO Yasuhiro)
成熟した果実類は,赤,黄色,オレンジ等,鮮やかな外観を呈し,華やかな芳香を放ち,また食べても甘く適度に酸味があり,日々の食卓に豊かな彩りを与えてくれる食品といえる。ただしこれらの特徴は果実が適度に成熟したときに得られるもので,未熟な緑色の果実は硬くて酸味がきつく,時に渋みやえぐみがきつい等,食品として適さないことが多い。また過熟になると食品としての品質が低下し,時には腐敗に至ったりする。これらのことから,成熟という現象が果実を食品として摂するには重要な要因であるといえる。多肉果のタイプの果実が成熟期に大きな変化を示すのは,広範囲に子孫を拡げる一つの戦略と考えることができる。果実が十分に肥大生長した後,種子が完成してから果実全体の成熟過程が開始する(図1)。成熟することで明るい色合いになり芳香を発することで動物に発見されやすくなり,味がよくなることで採食され,そして果実に含まれていた種子は動物とともに移動し新しい土地で芽吹く,という戦略である。ただし,種子の完成前に動物に食べられては目的が達せられない。種子が完成した後に成熟過程を一気に進めるというのは,理に適っているといえよう。
成熟が始まると果実の生理状態は,それ以前の肥大期の状態とは全く異なった様相を示す。特にバナナやリンゴ,それに本稿で紹介するトマト等,成熟ホルモンとしてよく知られるエチレンの発生を伴う果実類ではこの期間の変化が明快である。エチレンの作用により前述の色素,糖,有機酸,あるいは芳香成分の代謝経路,細胞壁の分解等が,一挙に引き起こされる。同時に,しかも多様な変化を一気に進める成熟過程の制御は,生物学的にも古くから注目されてきた興味深い現象であり,その仕組みを明らかにするための研究が数多くなされてきた。本稿では,成熟制御の研究が最も進んでいるトマトについて,そのメカニズムに関するこれまでの考え方を大きく揺るがすような知見を得たので,その概要を紹介したい。
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カシスの魅力と健康機能性
前多 隼人 (MAEDA Hayato),西山 広亮 (NISHIYAMA Kosuke),小舘 めい (KODATE Mei),福田 覚 (FUKUDA Satoru),七島 直樹 (NANASHIMA Naoki),堀江 香代 (HORIE Kayo),冨澤 登志子 (TOMISAWA Toshiko),藤田 俊文 (FUJITA Toshifumi),北島 麻衣子 (KITAJIMA Maiko),加藤 陽治 (KATO Yoji)
カシス(Ribes nigrum L.)は,ニュージーランドやヨーロッパ,カナダなど比較的涼しい地域で栽培されている果実である(図1)。日本でのカシス栽培は,1960年代に当時の弘前大学農学部の望月武雄教授がドイツより取り寄せて開始されたとされる。現在,青森県での生産量が日本一である。平成27年には農林水産省が定める地理的表示保護制度(GI)の記念すべき第1号として「あおもりカシス」が認定された。GIとは地域で長年育まれた特別な生産方法によって,高い品質や評価を獲得している農林水産物・食品の名称を,品質の基準とともに国に登録し,知的財産として保護する制度である。平成30年4月の時点で「あおもりカシス」の他に,「夕張メロン」,「松坂牛」,「下関ふぐ」など62品目が認定されている。
カシスの黒紫色の成熟果実中には約0.2%のアントシアニンが含まれており1),他の果実には余り含有していないアントシアニンである,デルフィニジン-3-ルチノシド(D3R)とシアニジン-3-ルチノシド(C3R)を多く含有していることが特徴である。これらの特徴的なアントシアニンによる健康機能性の研究が進められている。また,地域農産物のカシスを使った高付加価値化の取り組みが広がっている。本稿ではカシスに含まれるアントシアニンの特徴,機能性研究,高付加価値化に関する取り組みについて紹介する。
徳島県特産のスダチ ─果皮成分の機能性について─
酒井 徹(SAKAI Tohru),中本 晶子(NAKAMOTO Akiko),新居 佳孝(NII Yoshitaka)
スダチ(Citrus sudachi Hort. Ex Sirai)はミカン科柑橘属の常緑樹で,ユズやカボス等と同じ香酸柑橘類である。スダチの名前の由来は,果実に多く含まれている果汁を食酢として使用されたことより,酢橘(すだちばな)に由来するという説がある。スダチは直径3〜5センチほどの球形であり,ビタミンCやクエン酸が豊富に含まれる。スダチは香味があり,刺身,焼き魚,豆腐料理などに搾りかけると,すっきりとした味わいとなる1, 2)。
スダチは全国で5,500トンほどの収穫があるが,そのうち約98%は徳島県産が占める2)。スダチは生果用と加工用がそれぞれ約半分程度となっている。スダチの果汁は搾汁により得られるが,主に果皮である搾汁残渣は大半が堆肥化される。柑橘類の果皮にはポリフェノールが含まれていることが知られており,その有効利用方法が期待されている。
解 説
産官学連携による地産地消商品の開発
曽矢 麻理子(SOYA Mariko),小林三智子(KOBAYASHI Michiko)
近年,農産物に付加価値を付けた地産地消商品が,道の駅やアンテナショップ等で多く販売されるなど,地域活性化を目的とした加工食品の開発が盛んになっている。農林水産省でも2010年に「六次産業化・地産地消法」を制定し,食料自給率の向上を目的に地域の農林水産物の利用促進を推進している。また,地域を拠点とした大学の取り組みも多くみられ,地域社会での産官学連携プロジェクトの動きも盛んになっている。
そのような動きの中,十文字学園女子大学は平成26年に文部科学省の「地(知)の拠点整備事業」に採択された。この事業を通して本大学では,自治体とともに地域社会と連携し,全学的に地域を志向とした教育・研究・地域貢献に取り組んでいる。「地域のための大学」として,地域の課題(ニーズ)と大学の資源(シーズ)をマッチングさせ,産官学が協力して地域の課題解決に臨みながら,地域に必要な人材の育成も目指している。この機会を利用し,本研究では本学の位置する新座市において,地場野菜を有効活用した加工食品の開発に取り組み,地産地消商品として販売することで地域の活性化に繋げることを目的に活動した。その結果,平成29年度に地場野菜のにんじんと新座市の天然水から製造した酢を材料とした「にんじん畑ドレッシング」を商品化し,製造販売に至ったので,その取り組みをここに報告する。この取り組みにより得た,学生の人材育成の側面からの成果と,地産地消商品を企画,製造する上での留意点についても述べる。
食品資源としてのロシア産コンブの可能性
─日露共同研究プロジェクトから見えてきたもの─
Perspective of Russian seaweeds as a new bioresource;
An outline of the Russia-Japan collaborative research project.
鳥居 恭好(TORII Yasuyoshi),宮内 浩二(MIYAUCHI Koji),廣海 十朗(HIROMI Juro),Elena Dobrynina,Svetlana Minenko,Tatyana Kalenik
Abstract
Kelp (Laminaria japonica), "Konbu" in Japanese, grows in coastal area in the northern part of Japan (Hokkaido and Tohoku area). 90 % of Japanese aquaculture production of kelp is from Hokkaido. Dried kelp is used to prepare “Dashi” (basic soup stock in Japanese cuisine), for it is rich in Glutamate, a major umami component in foods. Thus, this is the most important aspect of utilizing Kelp in the Japanese cuisine. Extraction residue is also used as an important food material. Kelp is also known to be rich in alginate, fucoidan and other polysaccharides. These contents are suggested to have many roles in health promotion in many reports. Alginate is also used as multi-purpose food additives in wide variety of processed foods nowadays.
Natural kelp also grows in the coastal area of the far-east Russia, including Primorskiy Krai and Sakhalin Island. Kelp harvesting and processing has been industrialized in these areas. There are some enterprises here which manufacture certain kinds of kelp products. The largest of them is situated in Preobrazhenie town in Primorye. It is well known for its kelp products. However, consumption of kelp and other seaweeds is not going well these days. Meanwhile Russian people are paying more attention to healthy life style and longevity of Japanese people. With a kind and generous support from the Far Eastern Federal University (FEFU), Russia, Nihon University RRIAP Kelp project has been carried out since 2014 to 2016. Within the framework of this collaborative project, Japanese members visited FEFU in Vladivostok city for three times to hold meetings, tasting events and lectures to the University students and Russian citizens to prevail information about seaweeds and promote kelp consumption in Vladivostok, Russia. In addition, FEFU and Nihon University College of Bioresource Sciences signed the collaboration Agreement in 2015.
Here in this article, the outline of this Russia-Japan collaborative project is reported and the perspectives of the Russian Kelp utilization as a new bioresource are discussed.
日本大学国際地域研究所(Regional Research Institute of Agricultural Production, 略称:RRIAP)は昭和60年度に日本大学生物資源科学部(神奈川県藤沢市)内に創設された研究所である。当学部(旧・農獣医学部)は昭和初期設置の「日本大学専門部拓殖科」が母体のひとつであり,学部の発足当初から農学を通じた国際連携に力を入れてきた1)。
同研究所は生物資源科学分野,すなわち農学関連分野の地域研究や研究教育交流を促進することを目的とし,「海外からの研究者招聘」,「海外への研究者派遣」および3年間の「海外の研究機関との共同研究プロジェクト」事業を実施している。共同研究プロジェクトは年度あたり一件が採択され,プロジェクトの終了に当たっては,派遣・招聘研究員による公開研究会やプロジェクトメンバーを中心とした国際シンポジウムを開催しており,プロジェクトの成果を総括し紹介するための叢書の刊行も行っている。
筆者らはRRIAPの事業として平成26年度より三年間,日-露間交流プロジェクト研究として北方圏 海藻バイオマスの評価および昆布食文化のロシア国における普及に向けた総合研究プロジェクトを実施した。本稿ではこの概要と今後の展望について述べる。
食用シアノバクテリア ─ノストコプシス─
竹中 裕行(TAKENAKA Hiroyuki),山口 裕司(YAMAGUCHI Yuji),榊 節子(SAKAKI Setsuko)
世界で最も有名な食用シアノバクテリアはスピルリナ(Spirulina)である。アメリカや日本ではスーパーフードと称されて,健康食材や美容食材として人気がある1)。一方,アフリカでは栄養補給の目的でスピルリナが利用されている。余談ではあるが,近年の分類学的研究から,これら食用にされているスピルリナのほとんどはスピルリナ属ではなく,近縁のアルスロスピラ属(Arthrospira)であることが明らかになった。しかし,すでに一般名として定着しているためスピルリナの呼称が用いられている2)。
中国やペルーでは,その地特有の食用シアノバクテリア(Nostoc sphaericum:中国では葛仙米,ペルーではクシュロと呼ばれている)が採取され,市場で売られている。近年,中国科学院(Chinese Academy of Sciences)が葛仙米の人工栽培に成功し,高級食材として北京等の都市部ホテルのレストランに出荷されている。
わが国で有名な食用シアノバクテリアは,万葉集で大伴家持に詠まれたアシツキ(Nostoc verrucosum)や全国に分布していて沖縄県や滋賀県では古くから食されていたイシクラゲ(Nostoc commune),そして九州でのみ栽培されている高級食材のスイゼンジノリ(Aphanothece sacrum)がある3)。
ところで,これらの食用シアノバクテリアの他にノストコプシス(Nostochopsis)という食用シアノバクテリアがある。最近,ノストコプシスの人工栽培法が確立されたので,今後わが国において,食材として市場で認知される期待が高まってきた。そこで,本稿では,この食用シアノバクテリア・ノストコプシスについて概説する。
世界の学食(3) School cafeteria in the world (3)
―上海交通大学
-Cafeterias in Minhang Campus of Shanghai Jiao Tong University
史 海 霞 (SHI Haixia),阎 泽 昆(YAN Zekun), 韦 博 森(WEI Bosen),坂上 宏 (SAKAGAMI Hiroshi)
上海交通大学は中華人民共和国教育省直轄の国家重要大学であり,上海市と共同で設立されました。旧南洋公学として知られており,1896年に有名な現代中国の実業家・教育者である盛宣怀によって設立され,中国の高等教育の複数の源の一つです。大学には,経済学,法学,文学,理学,工学,農学,医学,管理学,美術などの9つのキャリアをカバーする64の専攻があります。現在,徐汇,闵行,黄浦,长宁,七宝,浦东のキャンパスがあり,総面積は300万m2以上です。そのうち,闵行キャンパスは最大のキャンパスであり,学生寮は94棟,総建築面積は30万9000m2です。東地区と西地区の2つの地域に分かれ,合計2万人以上の学部生と大学院生がいます。このエリアには,病院,郵便局,銀行,映画館,学生活動センター,様々なタイプのスタジアム施設があり,比較的独立したコミュニティを形成しています。
Shanghai Jiao Tong University is a national key university directly under the Ministry of Education of the People's Republic of China and jointly established with Shanghai. Formerly known as Nan Yang Public School, founded in 1896 by the famous modern Chinese industrialist and educator Sheng Xuanhuai, it is one of the multiple sources of Chinese higher education. The University has 64 undergraduate majors, covering nine careers such as economics, law, literature, science, engineering, agronomy, medicine, management and art. The University currently has campuses of Xuhui, Minhang, Huangpu, Changning, Qibao and Pudong, covering a total area of more than 3 million square meters. Among them, Minhang Campus is the biggest Campus which has 94 student dormitories and total construction area is 309,000 square meters. It is divided into two regions: the East district and the West district, with a total of more than 20,000 undergraduates and graduate students. There are hospitals, post offices, banks, cinemas, student activity centers, and various types of stadium facilities in this area, forming a relatively independent community.
連 載
デンマーク通信
デンマーク夏のHygge(ヒュッゲ)
Naoko Ryde Nishioka
デンマークは,数年にわたり世界で一番幸せな国に選ばれたこともあり,世界一幸せな国民とし て,日本でも世界でも広く認識されています。デンマーク自身もその事実を誇らしく思っており, 自慢はしないものの(デンマーク人は謙虚さを美徳とするところがある),誇りに思っているこ とは確かなようです。さて,世界一幸せな国民として注目のあつまったデンマークですが,その生 活面では,デンマーク流ヒュッゲ(Hygge)が世界で注目されています。Hyggeは,デンマーク人 に深く根差すコンセプトで,心地のいい素敵な時間を過ごす,ことをさします。ヒュッゲは,数々 の本にも登場し,世界各地に紹介されており,デンマーク人が世界一幸せであることに一役買っ ている概念のようです。
今回は,デンマークの夏のヒュッゲについて少し紹介したいと思います。
野山の花 — 身近な山野草の食効・薬効 —
クコ Lycium chinense Miller(ナス科 Solanaceae)
白瀧 義明(SHIRATAKI Yoshiaki)
夏が過ぎ,朝夕,涼しくなる頃,道端を歩いていると,紫色をした小さな花をつけた灌木を見かけることがあります。これがクコです。クコは,東アジアの熱帯から温帯にかけて分布するナス科の落葉小低木で,海岸,河原,田畑の畦,空き地の周囲など,人の手が加わりやすく,高木が茂っていない環境によく合い,北アメリカなどにも分布を広げています。枝は長さ1m以上,太さは数mm~1cmほどで,地上部は束状をなし,細くしなやかで上向きに多くの枝を伸ばします。枝には2~5cm程度の葉と1~2cm程度の棘が互生しますが,あまり枝分かれはせず,垂直方向以外にも匍匐茎を伸ばし繁茂します。
Life with Nutrition てるこ先生のこころの栄養学
-蚕からの贈り物 2-
中村 照子(NAKAMURA Teruko)
桑は古来より日本国内に自生しており,現在世界では2000〜3000品種もあり熱帯から亜寒帯にまで広く分布しています。日本にも200種類ほどの桑があります。
今でこそ桑は蚕の飼料樹という概念が定着していますが以前はそうではありませんでした。桑は薬草中,不老長寿の妙薬として伝えられ,古く西暦500年頃に纏められた中国最古の本草学の書物「神農本草経」では,桑をお茶代わりに飲めば口喝をとめる,即ち糖尿病に効果があると書かれています。日本では臨済宗の祖,栄西禅師が鎌倉時代に著した医書「喫茶養生記」の下巻はほとんどが桑の効用について書かれています。【飲水の病,中風・手足心に従わざる病,不食の病,脚気の病は皆末世鬼魅の致すところなり。皆桑を以って治することは口伝を東医に受くるあり。又桑の樹は是,諸仏菩薩の樹なり,この樹を携えれば,天魔を猶お以て競わず,呪んや諸余の鬼魅,附近せんや。】先人は経験的に桑の薬効の高さに注目し,糖尿病や動脈硬化,脳梗塞などに効果があることを説いていたのです。さらに桑の樹を植えれば厄払いとなり災いから守られるとも書かれています。昔から御神木と崇められ尊ばれてきた所以が納得できます。私も我が家の守り神の樹として大切にしています。
解 説
グルテンフリ−穀物 食品と飲料,セリアック病−3
瀬口 正晴(SEGUCHI Masaharu),竹内 美貴(TAKEUCHI miki),中村 智英子(NAKAMURA chieko)
本論文「グルテンフリ−穀物 食品と飲料,セリアック病−3」は, “Gluten-Free Cereal Foods and Beverages” (Editted by E. K.Arendt and F.D.Bello) 2008 by Academic Press (ELSEVIER), の第1 章 Celica disesse by Carlo Catassi and Alessio Fasanoの一部を翻訳し紹介するものである。
ニジマス用飼料,アユ用飼料の適切なα澱粉添加量
酒本 秀一 (SAKAMOTO Shuichi)
炭水化物の栄養素としての主要な役割は解糖経路とクエン酸回路を経てエネルギーを産生することである。ところが魚の糖利用能は一般に低く,魚の食性によって著しく利用能が異なることが知られている1)。植物食性や雑食性の魚ではアミラーゼ活性が高く,肉食性の魚では低い2, 3)。
多くの魚では肉食性が強く,タンパク質やアミノ酸の要求量は哺乳類に比べて遥かに多い。魚では全エネルギー生産量の40%以上をタンパク質の分解によって得ている。さらにタンパク質の分解によって生じたアミノ酸が糖新生や脂肪酸合成の基質として利用されている4)。
一方脂質はエネルギー源として消費されるが,残りは貯蔵脂質あるいは組織脂質として魚体内に蓄積される5)。
炭水化物を食べることによって合成されるグリコーゲンはエネルギー源として重要であるが,その蓄積量は少なく,成魚では脂質の1/10以下である。絶食時には貯蔵炭水化物であるグリコーゲンは直ぐに消費されてしまうため,その後は脂質が主たるエネルギー源になる。さらに長期の絶食になると体タンパク質,特に筋肉のタンパク質を分解して生じたアミノ酸を使ってエネルギーを得ることになる。