New Food Industry 2018年 7月号

総 説

微量金属元素の摂取
Oral Intake of Trace Metal Elements

古川 真衣(FURUKAWA Mai),立石 一希(TATEISHI Ikki),勝又 英之(KATSUMATA Hideyuki),金子 聡(KANECO Satoshi)

Summary

Mai Furukawa1), Ikki Tateishi2), Hideyuki Katsumata1), Satoshi Kaneco1, 2),

1) Faculty of Engineering, Graduate School of Engineering, Mie University;
2) Mie Global Environment center for education & research, Mie University;

Oral Intake of Trace Metal Elements

[Key words: Edible plants, Essential element, Metallic element, Atomic spectrometry, Atomic absorption spectrometry]

 The human body is composed of chemical components, though approximately 70% is water. Among them, the major constituents are oxygen, carbon, hydrogen, nitrogen, calcium, phosphorous, sulfur, potassium, sodium, chlorine and magnesium. The eleven elements are understood as the essential major and minor elements, and the total of these 11 elements is 99.4%. The total of other elements except for the eleven elements amounts to about 0.6%. Among these trace elements, the following elements are known to be essential in human; iron, zinc, manganese, copper, iodine, molybdenum, chromium and cobalt. Recently, metallomics concept is reported, which is newly coined terms and defined as a comprehensive analysis of the entirety of metal and metalloid species within a cell or tissue type. In the present paper, the importance of trace metal elements constituting the human body is reviewed and summarized for the healthy conditions.

 脳を使う,体を動かすなど,人間は何をするにもエネルギーを消費する。我々は,主に食べ物から必要なエネルギーを摂取しており,また,人体に必要な元素,いわゆる必須元素の摂取も食べ物や飲み物からと考えて良い。したがって,我々の健康維持と食事には非常に密接な関係があるので,体の健康と元素の摂取には重要な関係があると考えられる1−3)。
 また,近年注目されているのは,計測技術の進歩によって,必須元素以外に,人を含む動物や植物などの生体中に存在するppbレベルの微量元素である4)。一般に,有害元素と思われている元素(Cd, Pb)も生物から完全に除去すると欠乏症が起こる可能性があり,必須元素も健康に気を遣うばかり過剰摂取される可能性もある。将来的に,必須元素,有害元素などの分類が無くなり,全ての元素の必須性が明らかになる可能性もある。
 近年,ゲノミクス,プロテオミクスに続く概念として,メタロミクス(Metallomics)が注目されている4, 5)。メタロミクスは生体金属に関連した研究分野の総合化をはかるための新規な研究領域として提唱されている。メタロミクスの対象となる物質の集合体は,メタローム(Metallome)と呼ばれている。金属たんぱく質,金属酵素,その他の金属結合生体物質をメタロームとしている。一方,植物が含有する金属イオンの総体をイオノームとよび,それを研究対象とするイオノミクスも提唱されている。メタロミクスは生物無機化学の分野から,イオノミクスは植物生物学の分野からそれぞれ成立した経緯があるが,概念はほぼ同一と考えることができる。メタロミクスは,国際純正および応用化学連合会(International Union of Pure and Applied Chemistry; IUPAC)の用語委員会により定義されている。また,英国王立化学会(Royal Society of Chemistry; RSC)からMetallomicsのタイトルで学術雑誌が刊行されるに至っている。このような背景から,食べ物や飲み物からの必須および微量元素の摂取は,重要な事柄として,益々再認識されるであろう。

クルクミン:化学と代謝・吸収,生理機能発現と食品機能研究からの課題

津田 孝範(TSUDA Takanori)

 クルクミンは,ターメリック(Curcuma longa.)に含まれるポリフェノールの一つで,香辛料や食用色素として,さらに生薬としても用いられている。クルクミンは多様な機能,例えば抗酸化作用や抗炎症作用,さらに抗ガン作用や抗動脈硬化作用,脳機能改善などの報告がある。現在では生体内吸収性を高めたクルクミン製剤が開発されており,クルクミンの分解物や代謝物と健康機能の発現との関係も研究されている。しかし昨年,ミネソタ大学の研究者を中心としたグループからクルクミンの多様な効能に懐疑的な論文がJ. Med. Chem.に掲載され1),物議を醸した。その後Bahadori and Demirayから,ACS Med. Chem. Lett.にLetters to the editorとして先に紹介したミネソタ大学の論文に対する反論が掲載されている2)。
 このようなクルクミンをめぐる複雑な状況の中で最近著者は,クルクミンの化学,代謝・吸収と機能および課題と展望について,著者らの研究も含めた総説3),さらにJ. Agric. Food Chem.のViewpoint(Scientific opinion)4)で,クルクミンの健康機能研究に関する課題を述べている。本稿では,多様な健康機能が報告されているクルクミンに関して化学と代謝・吸収,クルクミンの分解物・代謝物と機能について概説し,さらにクルクミンの健康機能の中で肥満・糖尿病予防・抑制作用に関する研究動向と高水分散性,高生体内吸収性のクルクミン製剤を用いた著者の最近の研究事例を紹介する。最後にクルクミンの健康機能研究に関する課題と展望を述べる。

モンゴル伝統食品の脂質栄養学的解析

遠藤 泰志(ENDO Yasushi)

 現代の栄養学ではバランスよく多品目の食品を摂取することが推奨されているが,この考え方と対極の食生活を営むのがモンゴル遊牧民である。モンゴル遊牧民は,農耕が適さない環境に住んでいることもあり,牧畜を主とした生活を営む。そのため,彼らは基本的に牛や馬,羊,ヤギなどの家畜の肉を中心とした食生活を送る。また,小麦粉が流通してからはうどんやボーズと呼ばれる羊の肉入り蒸し饅頭などの小麦粉製品も食べるようになったが,年間を通して野菜や魚介類はほとんど食さない。それゆえ,彼らの食生活では,脂質のうちn-3系およびn-6系多価不飽和脂肪酸(PUFA)の必須脂肪酸の不足が予想される。しかしながら,モンゴル遊牧民は紀元前から今日まで存続してきた。このことから,彼らが利用している日本とは異なる食品に必須脂肪酸が含まれている可能性がある。
 彼らの伝統的食品として,干し肉や臓物の畜肉製品の他,シーバックソーン(seabuckthorn)という植物などがあげられる1)。このうち,シーバックソーンはグミ科ヒッポファエ属(Hippophae rhamnoides)に属し,秋から冬にかけて果実が収穫され,そのまま食するだけでなく,ジュースやジャムなどにも加工して食される。
 これらの食品は脂質を多く含んでおり,n-3系およびn-6系PUFAの供給源となる可能性がある。しかし,これらの食品については脂質栄養学的観点からはあまり研究がなされていない。そこで本研究では,脂質の観点からモンゴル伝統食品の栄養成分を明らかにすることを目的とし,脂質組成,脂肪酸組成,ステロール組成分析を行った。

オメガ3系多価不飽和脂肪酸の作用を再考する(3)
日本人におけるオメガ3系多価不飽和脂肪酸の摂取の状況
Reconsideration of the Effects of Omega-3 Polyunsaturated Fatty Acids (3)
The Status of Omega-3 Polyunsaturated Fatty Acid Intake in Japan

相良 英憲(SAGARA Hidenori),髙橋 徹多(TAKAHASHI Tetta) ,城ヶ瀧 里奈(JYOUGATAKI Rina),石田 智美(ISHIDA Tomomi)

Hidenori Sagara*, Rina Jyougataki*, Tetta Takahashi*, Tomomi Ishida*

*Division of Pharmaceutical information Science. College of Pharmaceutical Sciences, Matsuyama University

Reconsideration of the Effects of Omega-3 Polyunsaturated Fatty Acids (3)
The Status of Omega-3 Polyunsaturated Fatty Acid Intake in Japan

[Key words: DHA, EPA, omega-3 polyunsaturated fatty acids, dietary intake standards, myocardial infarction]


Abstract
It is thought that omega-3 polyunsaturated fatty acids have historically been ingested in large amounts by Japanese people. However, intakes of omega-3 polyunsaturated fatty acids are exhibiting a decreasing trend with recent changes in dietary habits. Cases where the various effects of omega-3 polyunsaturated fatty acids on disease have been investigated suggest that a reduction in their intake can lead to an increase in the number of patients suffering from disease. This paper outlines the physiochemical action of omega-3 polyunsaturated fatty acids in the body and the current state of their intake.


要旨
 オメガ3系多価不飽和脂肪酸は,これまで日本人が多く摂取していると考えられてきた。しかし,近年の食生活の変化に伴いオメガ3系多価不飽和脂肪酸の摂取量は減少傾向にある。オメガ3系多価不飽和脂肪酸の疾病に対する様々な効果が明らかにされている状況において,摂取量の減少は今後の疾病患者数の増加を招きかねない事態である。本稿では,オメガ3系多価不飽和脂肪酸の体内での生理化学的作用の特性と共に摂取状況の現状について概説する。

解 説

グルテンフリ−穀物 食品と飲料,セリアック病−1

瀬口 正晴(SEGUCHI Masaharu),竹内 美貴(TAKEUCHI miki),中村 智英子(NAKAMURA chieko),田原 彩(TABARA aya)

 セリアック病は,グルテンを食することで遺伝的に起こる免疫関与の腸疾患である。ほとんどの素因となる遺伝子はクロモソーム6上のHLAシステムであり,HLA-DQ2とDQ8遺伝子は少なくとも95%の患者に認められる。グルテンは小麦と他の穀物(ライ麦,大麦)中にあり,世界中のほとんどのヒトの重要な食料の中の貯蔵タンパク質で,複雑な混合物である。グルテンタンパク質にはいくつかのユニークな特徴があり,それらが免疫の性質に関与している。それらはアミノ酸のうちプロリンとグルタミンが極端に多い。高プロリン含量のため,グルテンは消化器管中でタンパク質分解酵素活性による分解を受けにくい。それは,胃,膵臓酵素がpost-proline分解活性を欠いているためである。さらに高グルタミン含量はグルテンを酵素tissue transglutaminase (tTG)の良い基質とする。現在,グルテンタンパク質には多くのペプチドがエンコードされていることが知られ,それらはT細胞媒介性及び生来の応答性の両方に刺激を与えることができる。33-merは33残基(α2-gliadin56-88)グリアジンペプチドで正常の胃腸プロテアーゼ分解によってでき,ここには3個のT cell epitope (エピトープ)のオーバーラップコピーされた6個の部分がある。33-mer は免疫優勢ペプチドであり,明らかに強力なT細胞刺激物でtTGによって脱アミド後にそうなる(Shan et al., 2002)。セリアック病は,世界的基準の最も一般的ライフロング病気(一生続く病気)の1つである。この病気はこれまで予期できない範囲の臨床的症状であらわれ,典型的な吸収不良症候群(慢性下痢,体重減少,腹部膨満),及び臓器または身体系に潜在的に影響を及ぼす症状のスペクトル(範囲)があらわれる。セリアック病はしばしば非定または動きがない(silent)ため,多くの症例は未診断のままであり,骨粗鬆症,不妊症,又は癌などの長期間の合併症のリスクをもたらす(Fasano and Catassi 2001)。セリアック病に対する社会的な関心は大きくなり,これまで考えられていたよりもこの病気の負担は大きい(American Gastroenterological Association, 2001)。

イヌトウキの神経保護作用と臨床効果
Neuroprotective action and clinical effects of Angelica shikokiana Makino

斎田圭子(SAITA Keiko),斎田 悟(SAITA Satoru),八幡 由花紫(YAHATA Yukashi),三間 修(MITSUMA Osamu),青木 晃(AOKI Akira),Zhangentkhan Abylaiuly, Bolshakova S.B., Bogenbayeva G.A., Dalenov E.D.,福地邦彦(FUKUCHI Kunihiko),坂上  宏(SAKAGAMI Hiroshi)

Abstract
 Extracts of Angelica shikokiana Makino showed anti-herpes simplex virus activity, weak tumor-specificity and alleviated the amyloid peptide-induced neurotoxicity. Small scale clinical trial demonstrated its anti-diabetic and anti-hypertensive effects.

要約
 イヌトウキ抽出物は,培養細胞を用いた実験では,抗単純ヘルペスウイルス活性,弱い腫瘍選択性を示し,アミロイドペプチドにより誘発される未分化神経毒性を緩和した。少数規模の臨床試験では,イヌトウキ投与により抗糖尿作用,血圧低下作用が確認された。

シロザケ稚魚を無給餌で海中飼育した時の生残率に影響する要因

大橋 勝彦 (OHASHI Katsuhiko),酒本 秀一 (SAKAMOTO Shuichi)

これまでに行った試験1-9)で魚油添加飼料と無添加飼料で飼育したシロザケ稚魚は淡水でも海水でも絶食耐性が著しく異なることを確認している。魚油添加飼料で飼育された魚は無添加飼料で飼育された魚に比べて蓄積脂質量が多い。絶食耐性は魚体の脂質量が関係しており,脂質が多い魚ほど耐性が強い。絶食時にはこの蓄積脂質を主たるエネルギー源として利用することによってタンパク質の消費を抑制し,死亡する時期を遅くしている。ところがたった一例であるが,無給餌であったにも拘らず魚が成長していた海中飼育例6)があった。この事例にはシロザケ稚魚の餌となるプランクトンの種類(種類によって栄養成分含量が異なる)と量が強く関係していたものと考えられる。
 シロザケ稚魚はある程度海水温が高くなってからでないと生存出来ない可能性が有るとされていることや海中プランクトン量等が考慮され,適切な時期に放流するように指導されている。よって,これまでシロザケ稚魚の放流は流氷の影響が無くなって海水温が安定し,プランクトンの発生量も多くなったと思われる時期に集中して行われてきた。ところがシロザケ稚魚の生残率と海水温や餌となるプランクトン量などとの関係は未だ明らかにされていない様である。また,これらの関係は放流される稚魚の質によっても可也違ってくるものと思われる。
 本報告では放流されるシロザケ稚魚の質,海水温,水深,プランクトンなどと生残率との関係を予備的に調べた。水深の影響を調べたのはアサリの垂下飼育で,垂下位置で貝の身入り(貝殻に対する肉の量)が大きく違うことを経験したことによる。魚でも水深によって餌の量が違う可能性が有るのではないかと推測した。

『第2回 食と健康フォーラム』より 基調講演

基調講演 食でつくる健康長寿社会を目指して

渥美 和彦

私は,3.11のひと月くらい後に仙台から石巻に行ってきました。散々たるもので,こんなことが日本に起こるのかと思うほど大変な光景でした。いろんなことを見てきたわけですが,一つはこの自然大災害によって人間の価値観が変わったということです[S-2]。つまり自分の親子あるいは友人,また関係のある人たちが,目の前で波に流されて死んでいくのを見て,人間の命とは,やはり無常で儚いものだということを多くの人が感じたわけで,そのあたりのことを再検討したいと思います。
 また,医療の体制,これからのあり方もだいぶ変わってきたのではないかと思っています。価値観の変化に伴って,医療の変わり方として,おそらく3つくらいあるのではないかと思います。一つは,今までわれわれがやっていた医療というのは,患者を診断して治療するという「治療中心の医療」であったと思いますが,これからはやはり「予防中心の医療」になってくる。つまり患者の病因を未病の状態で発見して,病気にならないように予防する。これはおそらく医療の理想だと思います。そういう方向に行くのではないかと思います。二つ目が「ゼイタクな医療」から「エコ医療」に変わらなければいけない。つまり医療には人も時間も金もかかるわけですが,これからは無駄のないエコ医療という方向へ行くのではないかと思います。三つ目は「セルフケア」。これは自分の健康というのは自分が守るというセルフケアが一番重要で,そういうことを感じたのだろうと思います。
 つまりこれからの医療は「治療中心から予防へ」,「贅沢な医療からエコ医療へ」,そして「セルフケアへ」という方向へいくだろうと思います。笠貫先生のお話しにも「これからは予防だ」ということがありました。私が非常に感動したのは,先生は,単に医者だけではなく「経済学者や地域学者,社会学者といった社会全般にかかわる大きな視点で,これからの予防医学をとらえなければいけない」とおっしゃったことです。私もそのように了解しています。つまり予防医療というのは,医療の中に入るかもしれませんが,人間とか社会を全体としてみる人間学というか,人間社会学というか,そういう範疇でとらえなければいけないのではないかと感じます。

野山の花 — 身近な山野草の食効・薬効 —

クチナシ Gardenia jasminoides Ellis
(アカネ科 Rubiaceae)

白瀧 義明(SHIRATAKI Yoshiaki)

 梅雨も終わりに近づいた頃,野山を歩いていると,民家の庭先などでほのかに甘い香りが漂い,あたりを見渡すと,白い花を付けたクチナシを見つけることがあります。クチナシは,本州の静岡県以西,四国,九州,南西諸島,台湾,中国の暖地にかけて分布し,野生では,森林の低木として自生,または庭園樹,切り花用,あるいは薬用にするために栽植される常緑低木です。本植物は,高さ2~3m,多くの細い枝を出して茂り,全縁で上面に光沢のある葉は対生(時に三輪生)し,質はやや厚く皮革質です。6~7月頃,小枝の先に短い花柄を出し,径6~7cmで,盃(さかずき)状の大きな白い花を開きます。花は開花当初は白色ですが,徐々に黄色に変わっていきます。花冠は質が厚く6つに大きく裂け,裂けた部分は水平に開出し,筒部は長さ2cmほどで細く,強い芳香を放ちます。学名の種名 jasminoides は「ジャスミンのような」という意味をもちます。10~11月ごろ赤黄色の果実をつけ,果実は倒卵形またはだ円形で,縦に6本の稜翼があり,その先に6本の宿存がくを残し,熟すると橙赤色になります。クチナシの名の由来には諸説ありますが,果実は熟しても割れないため,「口無し」になったという説もあります。

連 載
デンマーク通信

デンマークの晴れの日

Naoko Ryde Nishioka

 今回はデンマークの春の祭日にまつわる食べ物について紹介したいと思います。

デンマークでは今年,春以降,例年になく天気のいい日が続いており,過去百十数年来一番暑い5月だとか,農家は雨が少なすぎて大変困っているとか,などのニュースが続いています。一般のデンマーク人は,天気がいい1日1日を,ここぞとばかりにエンジョイしようとしています。というのも,デンマークは,そもそも冬がとても暗くて長く,一年の半分以上は,寒い季節で,木々にも葉っぱがない,寒々とした風景が続きます。夏は通常6月から8月くらいまでをさしますが,常に暑く天気がいいわけではなく,時には秋か初春のように肌寒い天気の悪い日が続く夏もあります。そんなわけで,今年はいい夏になるか,悪い夏になるか,が夏を迎えるまでの日常会話になります。

製品解説

冷水可溶性澱粉 C☆HiForm A 12791(シースター・ハイフォーム・エー 12791)スナック菓子用途への応用 

東川 浩(HIGASHIKAWA Hiroshi)

 2011年以降,スナック菓子市場はアジアで大きな伸びを示している。
 セイボリースナック分野のアジア市場の大きさでは,①パフスナック,②ポテトチップス,③米菓,④トルティーヤチップス,⑤その他のチップス(野菜,ブレッド等),の順である。
 スイートビスケット分野においては,①プレーンビスケット,②フィルドビスケット,③クッキー,④チョコレートコーティングビスケット,⑤ワッフルの順である。
 日本市場に目を移すと,セイボリースナックでは,米菓,ポテトチップス,パフスナック,トルティーヤチップス,その他のチップスの順となり,米菓の占有率が非常に高い。 
 スイートビスケットについては,チョコレートコーティングビスケット,フィルドビスケット,クッキー,プレーンビスケット,ワッフルの順となり,上位二位までの占有率が高い。
アルファ澱粉については,豆菓子のコーティングの寒梅粉の一部代替に利用したり,クッキーの食感改良(しっとり感の付与等)に利用されてきた。
 カーギル社では,スプレークッキングにより製造した冷水可溶澱粉,C☆HiForm A 12791をスナック菓子用途に応用することによって,ユニークな食感が実現することを確認した。本稿ではこの技術について具体的に紹介する。