New Food Industry 2017年12月号

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New Food Industry 2017年 12月号

インスリン誘導性時計遺伝子SHARPファミリーの発現調節機構

塚田 晃子,髙木 勝広,浅野 公介,山田 一哉

要旨
 わが国の糖尿病患者およびその予備軍は約2,000万人にも達し,糖尿病は今や国民病とも言われている。糖尿病のうち95%以上は2型糖尿病である。その原因は,遺伝的素因に加えて生活習慣の悪化に伴う肥満から生じるインスリン抵抗性であり,この状態が長期にわたることで糖尿病が発症する。私どもは,肝臓において,高炭水化物摂食後にインスリンによって誘導される転写因子SHARPファミリー(SHARP-1および SHARP-2) を同定し,これらが血糖低下に関与する重要な転写因子であることを明らかにしている。また,SHARPファミリーは,時計遺伝子の一つであることが報告されている。したがって,2型糖尿病の発症には,概日リズムを刻む体内の生物時計の機能障害が密に関連している可能性が考えられる。概日リズムを有する時計遺伝子の発現調節メカニズム,および時計遺伝子が糖代謝調節に関与するメカニズムを明らかにできれば,2型糖尿病の発症およびその予防に大きく貢献できると思われる。
 本稿では,SHARPファミリー遺伝子の詳細な発現調節メカニズムについて論述する。

澱粉の消化性を抑制する多糖類の作用 

佐々木 朋子

 澱粉は我々の主食となる食品であるご飯,パン,麺類の主要な成分であり,重要なエネルギー源として食事には欠かせない成分である。しかし最近では,糖尿病の患者数が増え続けているため,澱粉は食後の血糖値上昇に影響を及ぼす成分として関心が高まっている。イギリスの研究者Englystらは,1990年代に人工消化液による澱粉の消化性を酵素分解の反応時間によって,
①RDS (Rapidly Digestible Starch:易消化性澱粉)
②SDS (Slowly Digestible Starch:遅消化性澱粉)
③RS (Resistant Starch:難消化性澱粉)
に分類し,総澱粉中においてゆっくり消化される澱粉(SDS)が占める割合が食後血糖値の上昇度と負の相関性にあることを明らかにしている1-2)。その後も澱粉中のSDS含量と食後血糖値の関連性については関心が高く,食後血糖値の上昇抑制を期待して緩やかに消化される澱粉素材や澱粉系食品の開発がもとめられている3)。食品に含まれている澱粉の消化速度には澱粉の化学構造および物理化学的特性の他にも,食品の物理特性や食品中に存在する共存成分が影響を及ぼすことが知られている。内的な要因である澱粉自体の特性と消化性の関連性については研究例も多く,澱粉粒の大きさ,澱粉の結晶構造,澱粉中のアミロース含量やアミロペクチンの化学構造等が澱粉消化性に影響を及ぼすことが報告されている4-5)。一般的にはアミロース含量が高く,アミロペクチンの側鎖に長鎖画分が多い澱粉ほど消化が遅くなると考えられている。しかし外的な要因,つまり食品の物理特性,食品中に存在する共存成分,またはマトリクス構造等による影響についてはまだ報告例も少なく,今後の研究が期待されている6)。これらの外的要因は食品の加工技術によってある程度の制御が可能であることから,澱粉の消化性を抑制する要因を明らかにすることができれば,血糖値の上昇抑制効果をもつ食品の加工技術への応用が期待できる。
 そこで筆者らは,澱粉系加工食品の高機能化をめざし,パンや麺などの加工食品に増粘剤(増粘多糖類),ゲル化剤,安定剤として使用されている非澱粉性多糖類に着目して,澱粉に対して消化遅延作用を示す多糖類の探索を行った。さらに,消化遅延作用を示した多糖類についてはその制御要因を解析したので,その結果をご紹介する。

ビタミンB6の関わる代謝異常:
ビタミンB6欠乏時のホモシステイン蓄積と肝臓脂質蓄積およびその改善
Vitamin B6-related metabolic disorder :
Mechanism of accumulation of homocystein and lipids in liver under vitamin B6-deficiency, and their amelioration

早川 享志

Abstract.
 Vitamin B6 (B6) is one of the water soluble vitamins and involves in methionine metabolism. When rats were made B6-deficient, methionine metabolism was disturbed and homocysteine was accumulated in liver and plasma. We observed lipid deposition in liver and decreased lipids in plasma of these rats especially with B6-deficient diet supplemented with 0.9 % of methionine (D diet). Pteloylmonoglutamate (folate) fortification in diet ameliorated increase in plasma homocystein and liver S-adenosylhomocystein (SAH), and accompanied by reduction of liver lipids deposition and recovery of plasma lipids profile. Folate fortification recovered 5-methyltetrahydrofolate in liver which was reduced by D diet. Phosphatidylcholine (PC) supplementation to the D diet was effective in ameliorate liver lipid deposition by B6-deficiency. Increased lipids in liver accompanied by reduced (LDL + VLDL) cholesterol and triacylglycerol and phospholipids in plasma, and these were ameliorated by PC supplementation to the D diet. It was speculated that PC supplementation recovered PC synthesis in liver and normalized VLDL secretion into blood.


要旨
 ビタミンB6(B6)は,水溶性ビタミンの1つであり,メチオニン代謝に関わっている。ラットがB6欠乏になると,メチオニン代謝が乱れ,肝臓や血漿にホモシステインが蓄積する。B6欠乏で0.9%のメチオニンを添加した飼料(D食)では特に,こうしたラットの肝臓脂質蓄積と血漿脂質の低下が観察された。飼料中プテロイルモノグルタミン酸(葉酸)の強化は血漿ホモシステインとS-アデノシルホモシステイン(SAH)の増加を緩和し,それに伴い肝臓脂質の低減下と血漿脂質プロフィールの回復が認められた。葉酸の強化はD食で低下した肝臓の5-メチルテトラヒドロ葉酸レベルを回復させた。D飼料へのホスファチジルコリン(PC)添加は,B6欠乏による肝臓脂質蓄積の緩和に有効であった。肝臓脂質増加は,血漿中(LDL+VLDL)コレステロール,トリグリセリド,リン脂質の低下を伴っており,これらはD飼料へのPC添加により緩和された。PC添加は,肝臓でのPC合成を回復し,血中へのVLDL分泌を正常化したと推定した。

地域の食資源から抗酸化作用と生理機能の探索6.カワラケツメイの肝機能と脂質に対する生理作用

岩井 邦久

 カワラケツメイ(Cassia mimosoides, 図1)はマメ科カワラケツメイ属の1年草で,日本では本州から九州に,国外では朝鮮半島や中国東北部に分布しており,主に河川周辺域に群生する。全長40〜50 cm程度でシダ様の葉をつけ,夏に黄色い花が咲き,秋に鞘状の果実ができる。秋に刈り取られたカワラケツメイは陰干しされ,軽く煎じて煮出しお茶のように飲用される。青森県野辺地町では,カワラケツメイが肝臓や胃腸に効くと言われ,茶粥にして食されてきた。また,民間伝承的にも利尿,強壮,緩化作用があるといわれている1)。
 多くの生活習慣病には肥満の関与が指摘されており,脂質の吸収抑制や,体脂肪の減少に役立つ食品成分が注目されている。食品中に含まれる脂質の多くはトリアシルグリセロール (TG)であり,これは膵リパーゼによって消化管内で脂肪酸とグリセロールに分解されてから吸収され,その後に小腸細胞内でTGに再合成されて生体内に移行する。したがって,リパーゼの阻害はTGの分解を抑制することで脂質の吸収を減少させ,体内の脂肪蓄積抑制につながることが期待できる。カワラケツメイにはリパーゼ阻害活性が見出されており2),その豆果に含まれる有効成分が肥満患者の体重や血清TGを低下したことが報告されている3)。また,カワラケツメイの愛用者からは飲酒後の摂取で体調が良いという体験談もある。ここでは,機能性が期待されるカワラケツメイの生理作用とそれに関わる部位を紹介する。

過去20年間の食中毒事例から見た原因食品と病原微生物の関連性

髙橋 正弘

 2017年2月24日,東京都保健福祉局は立川市内の複数の小学校で児童や教職員1,098人がおう吐,下痢,発熱等の症状を呈した食中毒が発生した旨の報道発表を行った。同月28日,給食に使用した刻みのりからノロウイルスを検出し,病因物質と原因食品が特定できた旨の発表を行った。
 刻みのりは加熱・乾燥して袋詰めした焼きのりを加工したもので,病原微生物の汚染リスクが少ない食品と考えられていた。当時,刻みのりがノロウイルス食中毒の原因食品と誰が予想したであろうか。
 事件の原因は, 加工時に従事者の手指からノロウイルスが刻みのりを汚染したことであった。小規模の委託加工業の衛生管理や増殖適性のないと思われる食品に対する汚染防止の重要性が示唆された。
 さて,一次汚染を受けた食材は,調理加工過
程や加熱殺菌過程を経て食品(food)や食べ物(diet) (これらを以下「食品」という)となる。この間,食品は一次汚染の残存菌が増殖したり二次汚染を受ける。病原微生物の中には,特定の食品だけに優位に増殖する,すなわち,増殖適性をもつものもある。
 いずれにしても,一次・二次汚染,調理加工後の長期の保存などで食品中の病原体(病原微生物)が発症するのに必要な病原体数を超え,食中毒が発生するものと考えられる。しかし,刻みのりの事例のように発症するのに必要な病原体数が比較的少ない場合には,食品に存在(付着)しただけでも食中毒が発生する可能性もある。現状では,このような事例は顕在化し対応が重要視されている1)。
 食品を媒介とする健康被害は厚生労働省が食中毒統計や食中毒原因食品別発生状況2)として公表している。

グルテン不耐性,セリアック病,および小麦アレルギー

瀬口 正晴,木村 万里子

 小麦粉を信用し,あるいは理解して,その害を受けることなくふつうに食べている人にとって,セリアック病,グルテン不耐性,あるいは小麦アレルギーをもっているヒトの生活を理解することは難しい。食品店に行ってちょっとでもその棚を覗いてみると,何と多くの小麦,その他大麦,ライ麦といった穀類と我々の生活が大きく関わっているのかとよくわかる。小麦と人の歴史は実に不可分であるが,小麦,ライ麦,大麦,とこれら一般的穀類成分を含む食品を食べられない人にとっては愛想のない食品の供給体制ということになるであろう。しかしながら,第1のマーケットは,グルテンを食べられるけども他の理由でグルテンフリーの食品を求める人の急増のためだが,セリアック病患者あるいはグルテン不耐性の人にとって最近のグルテンフリー食品への関心は,グルテンフリー食品の選択肢と品種増加してきたことである。
 セリアック病患者に対するマーケット上の食品の要求性と,グルテン不耐性患者のマーケット上の食品要求性には特別のちがいはない。だけれども,食品加工業者はセリアック病,グルテン不耐性,及び小麦アレルギーの違いをよく理解しておくことが重要である。その理由は各最終利用者の要求性にそれぞれ内容上の違いがあるからである。グリテンフリー食品の利用者は,多分セリアック病患者の基準にあった食品を購入するであろう。というのは食品加工業者は一般には基準のあいまいなグルテンフリー加工食品などはつくらないからである。この章では各病気の全体像を示す。さらにこれらの病気の理解のために,とくに重要なことは,“グルテン”と言う言葉の意味で,それが医学的には一般にどのように理解されているか,同時に食品分野ではどのように理解されているか,とその違いは何かという点も理解しておく必要がある。

食品害虫のDNAによる同定手法

古井 聡

 著者が所属する農研機構 食品研究部門 食品害虫ユニットでは,食品へ混入する異物としての害虫防除を研究テーマとしている1)。主な研究対象としては,当部門の前身である農林省米穀利用研究所の流れを汲んで,貯穀害虫を長年に渡って取り扱っている。貯穀を食害する害虫は,田畑に代表されるフィールドに植えられている段階で侵入する(プレハーベスト害虫)例はあまり見られず,主に収穫後や加工・運送・貯蔵中に侵入する(ポストハーベスト害虫)ことが知られている。ポストハーベスト害虫の研究は,フィールドで植物体への直接的な病害や食害・品質低下を防ぐことを目的とした防除とは対象昆虫種のみならず手法や成果へのアプローチ法等が大きく異なる。当研究室は,高圧二酸化炭素を用いたクリシギゾウムシ(Curculio sikkimensis (Heller))防除の例2)を除き,ポストハーベスト害虫の防除を専門に研究している。
 消費者の「食の安心・安全」に対する関心は,人間の生存本能に直結する事項である。農産物を含む“食品”に混入した虫,毛,金属片,小石などは,食品衛生法上においては異物として分類されるが,食品への異物混入事例の中で消費者からのクレームが最も多いのは害虫である3)。このような事例が発生すると,消費者は食品が不衛生な環境で扱われていたと疑い,安全性に疑念を持つ。食品への疑念は,食品関連事業者(生産者, 流通・加工業者,生産国)にとって商品そのものの価値やイメージが損なわれるだけでなく,消費者への謝罪・説明責任が生じると共に,商品の回収・賠償等による金銭的負担が生じる場合もある。このため,ひとたび食品への異物の混入事例が発生すると,食品関連事業者は消費者への安心を確保するためにまず異物の同定を行う。同定された異物が昆虫であれば,その生態に関する知見を基に,現場の状況等から総合的に考察して混入原因や経路を究明し,再発防止に努めることが求められる。
 この一連の過程のうち,昆虫の同定は,虫の特徴的な形態を含む部分を熟練した専門家が目視で鑑定しているのが現状であるが,食品関連事業者は消費者の安心や再発防止策を確保するため,適用性が広く,迅速性や精確性の高い同定結果を常に求めている。
 この一連の過程のうち,昆虫の同定は,虫の特徴的な形態を含む部分を熟練した専門家が目視で鑑定しているのが現状であるが,供給者は消費者の安心や再発防止策を確保するため,適用性が広く,迅速性や精確性の高い同定結果を常に求めている。
 DNAを用いた分析は,操作に慣れればルーチン作業で実施が可能であるため,目視鑑定のように高度な専門知識や経験は不要である。また,DNAを含む昆虫の一部が残存していれば検査可能であり,一般に形態的な特徴が少なく同定が難しいとされる幼虫においても精確に同定できる利点がある。本稿では,DNA分析を行う際の留意点を記すと共に,DNA分析による昆虫の同定法を2例紹介する。

低エネルギー電子線を利用した貯穀害虫の殺虫技術

今村 太郎

 貯蔵害虫は貯蔵期間の長い穀物,穀物加工品などを加害する害虫群である1)。それらは主に小型のコウチュウ類やガ類であり2),貯蔵穀物の害虫コクゾウムシ,小麦粉製品の害虫で精米所でもよく見られるコクヌストモドキ,貯蔵アズキの害虫アズキゾウムシ,玄米や乾燥食品の害虫であるノシメマダラメイガなどがよく知られている(図1)。
 貯穀害虫の防除は安価で安定した効果が得られる化学農薬,特に臭化メチルによるくん蒸に大部分を依存してきた。しかしながら大部分の化学農薬は毒性の問題で使用できなくなり,また臭化メチルにはオゾン層を破壊する恐れのあることが指摘され,国際連合環境計画(UNEP)モントリオール議定書により,先進国では2005年までに,開発途上国では2015年までに検疫用途,緊急用途,不可欠用途を除き原則的に禁止された3)。さらに植物防疫法のポジティブリスト化により,検疫の際に生きた害虫が発見されても,それが非検疫対象害虫であれば臭化メチルによるくん蒸の必要がなくなった。そのため,非検疫対象害虫に汚染された輸入品は,輸入業者が臭化メチルくん蒸以外の方法で自主的に殺虫処理を行う必要が生じた。このような状況から,臭化メチルに代わる殺虫技術の開発が早急に必要とされている。
 放射線の利用は有力な代替手段である。貯穀害虫の防除にはコバルト60およびセシウム137のガンマ線(実際にはコバルト60の方を用いる),加速電圧が1,000万ボルト以下の電子線,加速電圧が500万ボルト以下のエックス線が利用可能である。これらのうち,電子線,とくに低エネルギーの電子線を利用した殺虫技術について紹介する。

野山の花 — 身近な山野草の食効・薬効 —

サフラン Crocus sativus L.(アヤメ科 Iridaceae)

白瀧 義明

 北から冬の便りが届き,木枯らしが吹き始める頃,山里を歩いていると,民家の畑で淡い紫色をした可憐な花を見かけます。これがサフランです。サフランはヨーロッパ南部,小アジア原産の多年生草本で,ヨーロッパでは3000年以上も前から栽培されていたそうです。おそらく原種のCrocus cartwrightianusから選別が行われ,C. sativusへ品種改良されたものと考えられます。雌しべは紀元前から世界各地で香辛料・染料・香料・薬用として利用され,古代ギリシアではサフランの黄色を珍重し,王族だけが使うことを許されるロイヤルカラーとされた時代もあり,日本へは江戸時代に伝えられました。その後,明治19年に本格的に球根が輸入され,神奈川県で栽培が始められた後,大分県竹田市へ伝わり,現在,日本国内の約8〜9割が竹田市で生産されています。

デンマーク通信

デンマークの米

Naoko Ryde Nishioka

 今回はデンマークのお米にまつわる話を紹介したいと思います。

 デンマークの主食といえば,まずは,じゃがいもです。デンマークの伝統的な食卓には,豚肉などの肉料理に,ジャガイモが主食として並ぶ,というのが一般的です。ジャガイモと言っても,小さめのじゃがいもを煮たものや,マッシュポテトにしたもの,オーブンで大きなじゃがいもをまるごと料理したベークトポテトなど,さまざまです。しかしデンマークでも食卓の多文化化はすすんでおり,米も多くのデンマーク人の食卓で使われる食材となっています。もちろん,じゃがいもや,パン,パスタなどに比べると,まだまだその普及率は低いですが,珍しい食材ではないことは確かです。

ポビドンヨード液を基準にしたOTCの口臭・口腔内細菌・口腔細胞に与える影響の検討
Investigation of the effect of OTC on the halitosis, oral bacterial and oral cells, based on Povidone Iodine Solution used as reference drug

小島 百代,坂上 宏

Abstract
 In order to evaluate the ability of "over-the-counter" (OTC) drugs (that are sold at the drug store) to improve the oral function, it is necessary to in clude an appropriate reference drug, and then measure the relative potency of OTC to it. However, most of previous studies have not considered this point.
 Povidone Iodine Solution (abbreviated as PI) (Third-class OTC drugs) having potent antibacterial and antiviral activity, are popular and therefore is a potential candidate of such reference drug. We propose that if anti-halitosis, anti-bacterial and cytotoxic activity of PI is quantifiable, efficacy of other OTC drugs can also be evaluated. Halitosis, bacterial number and viable cell number were measured by volatile sulfur compound (VSC) concentration, bacterial counter and MTT method, respectively.
 PI showed potent cytotoxicity against various normal oral cells. Since the cytotoxicity of PI declined with increasing concentrations of fetal bovine serum, non-specific binding of PI to serum proteins was suggested. Gargling with PI reduced the bacterial number more markedly in the buccal mucosa, as compared with tongue. PI alone did not produce VSC, but gargling with PI produced extremely higher level of VSC. PI may have caused some biological reaction, by yet unexplained mechanism.
 Therapeutic index (=safety margin), defined as the ratio of CC50 (a concentration that reduces the viability of oral keratinocyte by 50%) to IC50 (a concentration that reduces the bacterial number in the buccal mucosal membrane by 50%), may be useful to quantitatively evaluate the ability of OTC drug to improve the oral function.


要 旨
 薬局で販売されているOTC(over-the-counter)医薬品の口腔機能改善効果を判断するためには,適切な基準薬を選択し,基準薬との相対的な強さを測定することが必要であるが,これまでの研究ではこの点の配慮がなされていなかった。
 第3類薬品に属するポビドンヨード液(以下PIと略)は,高い抗菌性と抗ウイルス性を有するため,多くの人が使用しており,基準薬として妥当である。PIの口臭予防効果,抗菌効果および細胞傷害性を定量化できればOTCの効果を客観的に測定できるという仮説を立てた。口臭,口腔内細菌数,細胞傷害性は,それぞれ,揮発性イオウ化合物(VSC)の濃度,細菌測定機,MTT法により測定した。
 PIは強力な細胞傷害活性を示した。PIの傷害性は血清の存在で弱くなることから,非特異的にタンパク質に結合することが示唆された。PIの含漱により,頬粘膜における細菌数は,舌表面の細菌数と比較して,より顕著に減少した。PI単体ではVSC値を高めることはないが,PIで含漱すると,瞬間的に高いVSC値を示した。PIが何らかの生体反応を引き起こす可能性が考えられた。
 ヒト口腔粘膜ケラチノサイトに対するCC50と,頬粘膜の細菌数を50%減少させる濃度(IC50)との比から計算される化学療法係数は,OTC薬の口腔機能改善効果への定量に有用であると思われる。

機能性物質の養魚用飼料への添加効果−1.ブロメライン,グルタチオン

酒本 秀一

 最近は機能性物質という言葉をよく見聞きするが,機能性物質とはどの様な物質であろうか。ヒトの食品では保健機能食品制度が制定されて以来可也整理されて来ており,特定保健用食品や栄養機能食品がその代表的な物である。食品には第一次機能(栄養素としての働き),第二次機能(人間の五感に訴える働き),第三次機能(人間の健康,身体能力,心理状態などに好ましい影響を与える働き)が有るが,主に第三次機能を発現出来る食品を一般に機能性食品と呼んでいる。従って,機能性物質とは必須栄養素には含まれないが,その生体調節機能によって健康維持や病気予防等にプラスの効果を有する物といえるであろう。
 魚の食べ物である養魚用飼料ではこの様な整理は全くなされていない。よって本報告では,機能性物質とはタンパク質,脂質,炭水化物,無機質,ビタミンの五大必須栄養素には含まれず,必ずしも必要な物ではないが,摂取することによって何らかのプラス効果を発揮する物質で,薬剤以外の物と規定する。魚にとってのプラス効果は当然であるが,養殖は事業であるので,事業者にとってのプラス効果も含むことにする。また,魚は水中に生息するので,何らかの物質を飼育水に溶解することによって魚に取り込ませることも有り得るのであるが,経口摂取する物に限ることにする。
 第一報ではブロメラインとグルタチオンについて説明する。