New Food Industry 2016年 8月号

海藻アカモク因子の多機能性とその健康増進における役割
Role of marine algae Sargassum horneri bioactive factor in health care

山口 正義

Abstract
Food and botanical factors may play a preventive role in human health care. Marine algae Sargassum horneri (S. horneri) has been demonstrated to have multifunctional role in the regulation of cellular and body functions. Osteoporosis is resulted from decrease in bone mass associated with aging, and it is widely recognized as a major public health problem. Osteoporosis was demonstrated to be prevented by the intake of bioactive factor obtained from S. horneri extract. This effect was not found in Undaria pinnatifida, Eisenia bicyclis, Cryptonemia scmitziana, Gelidium amansii, and Ulva pertusa Kjellman. In various marine algae, S. horneri active factor revealed a unique anabolic effect on bone. S. horneri bioactive factor possessed a stimulatory effect on osteoblastic bone formation and an inhibitory effect on osteoclastic bone resorption in vitro, thereby increasing bone mass. Moreover, the intake of S. horneri extract exhibited preventive and restorative effects on bone loss in animal models for osteoporosis and in healthy human. S. horneri extract may be usefulness as an osteogenic factor in prevention of osteoporosis. Interestingly, S. horneri bioactive factor was found to have preventive effects on diabetes, adipogenesis, and breast cancer, which are related to inflammation conditions. Importantly, S. horneri bioactive component was demonstrated to suppress the activation of NF-κB induced by tumor necrosis factor-α, a cytokine related to inflammation. Thus, S. horneri bioactive factor has been demonstrated to play a multifunctional role in the prevention and treatment of metabolic disorder.

 海藻アカモク(Sargassum horneri; S. horneri)は,日本および中国の沿岸に棲息し,比較的波の穏やかな海底の岩場に,冬から春にかけて成育する。繁殖が著しく,船舶のスクリューに絡み,ほとんど活用されていなかった。一部の地域においては食用に利用されていたが,多くは環境に廃棄されていた。一方,この海藻は,コンブ,モズクやワカメの属する褐藻で,程よいヌメリと独自の歯ごたえのある食感で,古くからおいしくて健康によい海藻として,秋田,岩手,富山,能登半島などで佃煮や生食として食用されてきた(図 1)。アカモクには,他の海藻と比較して,含有量が著しく多い栄養成分として,カロテノイド,ビタミンC,ビタミンB2,食物繊維,ミネラルや微量元素などが知られている。
 筆者は,食品因子の骨代謝調節機能の解明と骨粗鬆症の予防と修復における役割について,強い関心を持ち,国内外に先駆けて研究を遂行していた1-4)。その過程で,日本人が食用している海藻の骨代謝調節機能について調べた。筆者が在籍していた大学の関係で,静岡県近海(下田)で採取した海藻ワカメ(Undaria pinnatifida; ワカメ属),アカモク(Sargassum horneri;ホンダワラ属),アラメ(Eisenia bicyclis;アラメ属),オオバキントキ(Cryptonemia scmitziana;カクレイト属),マクサ(Gelidium amansii; テングサ属)および静岡県浜名湖に生息するアオサを採取して,その抽出成分の骨カルシウム量に及ぼす効果について調べた5)。その結果,食用海藻の中で,アカモクの抽出成分は強い骨形成増進効果が発揮され,新規機能性が見出された(特許第3749978号)。この生理活性は,アカモクに特異なものとして注目された。その後,筆者らはアカモクの抽出成分には多くの生理活性が発揮されることを見出し,その疾病の予防と修復への応用が期待された。
 本稿においては,筆者らがこれまでに解明した海藻アカモク成分の生理活性機能の知見を紹介し,その健康増進を目標にした新規サプリメントの開発について,考察する。

コメタンパク質由来抗菌ペプチドは抗炎症作用を発揮する

谷口 正之,落合 秋人

 近年,従来の抗生物質に対して耐性を示す病原微生物の増加に伴って,新しい治療薬として天然物由来の抗菌ペプチドが関心を集めている。また,殺傷されたグラム陰性菌の外膜に由来するリポ多糖(Lipopolysaccharide, LPS)は,重篤な炎症を引き起こすエンドトキシンであり,その不活性化が大きな課題になっている1-3)。代表的な抗菌ペプチドは,12~50程度のアミノ酸により構成され,両親媒性であり,正味の正電荷を有し,α-へリックスなどの二次構造を有していることが報告されている4, 5)。一方,抗菌ペプチドは,抗菌作用ばかりでなく,LPSに対する中和・解毒,炎症性サイトカインの産生抑制,血管新生促進,細胞増殖・細胞遊走促進などの多くの生体防御機能を有することが報告されている6, 7)。
 筆者らは,コメの酵素cyanate lyaseの部分配列である抗菌ペプチドCL-128)およびコメのheat shock protein 70の部分配列である抗菌ペプチドHsp70-18 9)を見出し,既に報告している。また,最近,X線構造解析によって立体構造を明らかにしたコメのα-amylase (AmyI-1)から新規抗菌ペプチドとして18残基のアミノ酸からなるAmyI-1-18を見出し,歯周病菌,ニキビ菌,う蝕菌,日和見感染真菌(カンジダ菌)などのヒト病原微生物に対して抗菌活性を示すことを報告している10)。さらに,AmyI-1-18のアミノ酸を置換することによって,それらの抗菌活性が増大することも見出している11)。
 LPSはグラム陰性菌の外膜の構成成分であり,発熱作用や細胞傷害作用などの種々の生理活性を有しており,主にO抗原,コア多糖,およびlipid Aから構成されている。このLPSがマクロファージなどの細胞表面に存在するToll-like receptor 4 (TLR4)に結合すると,シグナル伝達経路が活性化され,一酸化窒素(nitric oxide, NO)合成酵素が誘導されて細胞傷害性のあるNOが過剰に産生される12-14)。そこで, TLR4とLPSの結合から始まるシグナル伝達経路をAmyI-1-18によって阻害することができれば,LPS刺激によって誘導されるNO産生を抑制できると考えられる。そこで本稿では,炎症シグナルであるNOの産生に対するAmyI-1-18の抑制効果を測定することによって,AmyI-1-18の抗炎症作用を評価した結果15)を解説する。また,AmyI-1-18のエンドトキシン中和活性,AmyI-1-18とエンドトキシンの結合活性などを定量的に解析し,AmyI-1-18の抗炎症の作用メカニズムを解析した結果15)も解説する。

発酵食品由来抗がん・抗ウィルスおよび抗菌剤
Fermented food-derived anti-cancer, anti-viral and anti-microbial agents.

伊藤 英晃

Abstract
 We have investigated anti-cancer, anti-virus, and anti-microbial properties of Natto, a traditional Japanese food made from soybeans fermented with bacillus subtilis. The protein related ingredient was partially purified from Natto using an ammonium sulphate fractionation and added to HeLa cells. As a result, all cancer cells perished the next day. On the other hand, if only a protein related extract from boiled beans and fermented soybean bacterium was added, there were no changes in cell growth. We purified and investigated amino acid sequence of anti-cancer peptide from Natto using Butyl Sepharose column chromatography of 5-kDa peptide. The peptide appeared to be a new antibacterial peptide. The peptide was effective in herpes virus 1 (HSV1) and Streptopcoccus pneumonia.

 微生物によって食物などが分解されることを,発酵するまたは,腐るという。食物等を常温で放置するとやがて腐敗する。一方,人間の有用になるように微生物をコントロールして食物等を分解させることを「発酵」と呼ぶ。ヨーグルトなどの発酵食品は,洋の東西を問わず,古来より健康食品として広く知られている。発酵食品は身体の免疫力を高めると言われており,我々の健康維持のためには欠かせないものとなっている1,2)。発酵食品の一般的な健康効果は,腸内環境を整えることにより,栄養価の消化吸収がよくなり,便秘予防,血中コレステロール値の低下,免疫力が高まるなどの効果がある。秋田県には,日本酒,納豆,味噌・醤油等の発酵食品関連産業が多い。健康食品の生体にとって有用な未知なる分子を,科学的に解析することとした。我々は,発酵食品の中でも食卓になじみの深い食品の一つである納豆に着目した。
 納豆は,古来より日本の発酵食品の代表格である。納豆には人体に不可欠な必須アミノ酸群をバランスよく含んでおり,ビタミンB2・E・K等のビタミン群,カリウム・亜鉛・カルシウム・鉄などのミネラル成分,食物繊維などの栄養素も豊富である。納豆の効用は,栄養的な面だけでなく納豆菌自体の優れた作用に負うところが大きい。すなわち,納豆菌は胃酸にも耐えて腸にたどりつき,ビフィズス菌や乳酸菌の増殖を促進して整腸作用を発揮し,便通を改善する。また,ウェルシュ菌や大腸菌等がつくる腐敗産物の生成を減少させ,有害物質を吸着して排泄を促すことから肝臓の負担を軽くし,肌や各組織にも良い影響を与えるものと考えられている。
 納豆の健康効果を挙げると,疲労回復,整腸作用,便通促進,滋養強壮,コレステロールの代謝を促す,免疫力アップ効果,活性酸素の働きを抑え体の老化やがんを防ぐ,肌や皮膚を若々しく保つ,などがマスコミや一般書籍等で多数紹介されているが,納豆の如何なる成分が効果を発揮するのか等の科学的分析報告はあまりなく,ナットウキナーゼ以外には科学的解析は殆どされていない3)。我々は,納豆抽出成分を生化学的に分離し,培養がん細胞,単純ヘルペスⅠ型ウィルス,および肺炎双球菌に対する影響を解析した。

環境有害因子に対する吸引型プロポリスおよびヒノキオイルによる健康維持効果に関する研究

具 然和

要 旨
 現在国民の寿命が伸び,産業の発展に伴い便利さが追求されている。しかし,その反面公害が発生し,病気の種類も増加しているため人体に及ぼす影響は無視できず,自然と調和のとれた住宅環境を設定できるかどうかが重要である。そこで,免疫効果に関係する血球細胞に着目することで,天然素材(プロポリスおよびヒノキオイル)の人体に対する影響について検討を行った。
 本研究では雄のICRマウスを用いて,コントロール群,水吸引群(以下sham control群),プロポリス吸引群,ヒノキオイル吸引群,プロポリス+ヒノキオイル併用吸引群に分け,血球細胞(白血球,赤血球,血小板,リンパ球,単球,顆粒球)に対する天然素材(プロポリスおよびヒノキオイル)の健康維持効果(免疫効果)について検討した。全体的な白血球数については,sham control群とプロポリス+ヒノキオイル併用吸引群を比較すると,吸引7日後において白血球数の増加が見られた。また,単独吸引においても白血球数の増加が見られた。リンパ球数については,sham control群とプロポリス+ヒノキオイル併用吸引群を比較すると,吸引7日後から吸引15日後において血球数の変化が見られた。単球数については,sham control群とプロポリス+ヒノキオイル併用吸引群を比較すると,吸引7日後において単球数の増加が見られた。顆粒球数については,sham control群とプロポリス+ヒノキオイル併用吸引群を比較すると,吸引3日後において顆粒球数の増加が見られた。赤血球数においては,各群とも顕著な変化は見られなかった。血小板数においては,各群とも顕著な変化は見られなかった。活性酸素については,sham control群とプロポリス+ヒノキオイル吸引群を比較すると,プロポリス+ヒノキオイル併用吸引群において活性酸素の割合の減少が見られた。従って,本研究では,sham control群とプロポリス+ヒノキオイル併用吸引群を併用吸引させることにより,血球細胞に対する免疫効果が見られた。また,sham control群とプロポリス+ヒノキオイル併用吸引群を併用吸引させることにより,好酸化作用があることが見られた。しかし,単独吸引では,免疫効果,抗酸化作用は見られなかった。

生鮮食品の機能性表示対応のシステム作り
ー温州みかん・β-クリプトキサンチンを例としてー

矢野 昌充

 過去20〜30年に及ぶ機能性成分研究の高まりにより,我が国の農水産物に豊かな健康増進機能があることが明らかになった。DHAやEPAの青魚,カテキンの茶,リコペンのトマト,β-クリプトキサンチンの温州みかん,プロシアニジンのリンゴ,イソフラボンの大豆製品など枚挙にいとまがない。これらの健康増進機能を国民が熟知することにより,消費が大幅に増えれば,国民の健康増進の観点から喜ばしいが,健康増進機能が明らかになったおかげでその農水産物消費が飛躍的に伸びたとの話は聞かれない。農水産物の販売現場で,機能性表示が行われないためかもしれない。
 ここに来て,状況が変わった。安倍内閣の規制改革推進会議が新たな機能性表示食品制度を提言し,2015年4月に実現したからである。提言では,健康を維持して長生きしたいという国民のニーズに応え,併せて世界に先駆け「健康長寿社会」を実現するため機能性表示を現状の特定保健用食品・栄養機能食品から農水産物を含む一般食品にまで拡大するとしている。機能性表示食品として消費者庁に届出し,受理・登録されれば農水産物であっても販売現場での機能性表示が可能になった。とは言っても,農水産物が対象となる「生鮮食品」タイプの機能性表示食品では,他のタイプ「サプリメント」や「加工食品」とは異なり,事業者は機能性表示に取り組んだ経験は乏しく関心もそれほど高くはないので消費者庁への届出のハードルは高そうである(実際,2015年度末までに消費者庁に受理された300余りの商品の中に「生鮮食品」はわずか2商品しかない)。農水産物の機能性表示商品を一朝一夕に増やすのは難しそうである。
 温州みかんでは温州みかんの代表的カロテノイドであるβ-クリプトキサンチンの機能性研究が盛んに行われてきた。そして健康増進効果の十分なエビデンスが蓄積した時期が機能性表示食品制度の新設・施行の時期とぴたりと重なった。そこで,生産者団体・行政・研究機関の関係者が協力しあい,温州みかん・β-クリプトキサンチンで機能性表示食品を創成する試みが行われ,「生鮮食品」タイプの機能性表示食品としての第1号を誕生させた。本項では,その間の経緯を紹介し,他の農水産物での取り組みの参考に供したい。

野山の花 — 身近な山野草の食効・薬効 —

クズ Pueraria lobata Ohwi(マメ科 Leguminosae)

白瀧 義明

夏から秋にかけて野山を歩いていると,紫~紫紅色の蝶形花をつけた大型のつる性草本を見かけます。全株に粗毛があり,茎は長くのびて他物にまきつき10m以上にもなります。本植物が漢方薬「葛根湯」の構成生薬である「葛根」の基原植物となるクズです。
 クズは日本各地,朝鮮半島,中国の山野に普通に見られるつる性の多年生草本で北米にも帰化しています。葉は互生し長柄があり,3出複葉で小葉は長さ10~17cmのひし形ないしだ円形で,時に浅く3裂しています。夏の暑い日中,良く,葉が反り返っていますが,「クズの裏見返し」といわれ,強烈な太陽の光を避けているようです。

デンマーク通信

デンマークのホットドッグ

Naoko Ryde Nishioka

 デンマークのファーストフード,といえば,マクドナルドのハンバーガーや,ピザのお持ち帰りなども人気のカテゴリーですが,まず欠かせないのが,ホットドッグではないでしょうか。観光でにぎわう繁華街や,空港,ガソリンスタンド併設のコンビニなど,いたるところでホットドッグを見かけます。サッカーの試合や,イベント時の屋台にもホットドッグはよく登場する食べ物で,多くのデンマーク人に親しみのある軽食といえるでしょう。街中には,ホットドッグワゴン,と呼ばれる,いわばホットドッグの屋台をよく見かけます。屋台なので,営業終了時には,店がしまわれ,ワゴンごとその場からいなくなってしまいます。コペンハーゲンの繁華街に行くと,週末には夜中まで営業しているホットドッグワゴンもあり,夕飯後や飲み会の後,ちょっと小腹が空いたな,と思う人たちで賑わっています。日本で飲み会の後にラーメンを一杯という感じで,ちょっとしょっぱいものが欲しくなったら,ホットドッグを食べるという感じなのかもしれません。

ILS コラム

L-カルニチンの老齢ラットによる脳機能改善効果に関する研究

ILS株式会社

 L-カルニチン誘導体であるアセチルL-カルニチンは脳内に移行してアセチルコリンの産生を促し,老化による認知力や記憶力低下および精神的・肉体的疲労などの高齢者の脳機能改善効果を有する事が明らかになっており,欧米では「ブレインフード」としてサプリメント等に使用されています。しかし,日本においては認可されていないため,使用不可能です。そこで,前駆体である「L-カルニチン」の摂取で同効果を得られるかを確認するため,神経科学的実験で検証しました。

地球温暖化防止法,食料増産法
Methods to protect global warming, Food production increase way

尾崎 庄一郎

Abstract
Plants contain N and P. Supply of N and P as absorbable form is essential. Elimination process of nitrogen oxide in power station flue gas should be stopped. Elimination of phosphoric acid and urea, and ammonium salt in drainage should be stopped. By the supply of sufficient N and P, enough growth of plant and enough carbon dioxide assimilation is performed. Then increased production of food and elimination of carbon dioxide and cooldown of earth will be expected.


要旨
 植物は窒素N,リンPを含む化合物を含むので,植物の成長にはNとPが必須である。物質が燃焼すると窒素酸化物NOxが生成するが,NOxは公害ガスとして嫌悪され除去の処置がとられている。しかし生物の成長に必要な肥料,食料として大歓迎して食物の生産に役だてるべきである。リンを含む食物を食べた動物はリン酸を排出する。リン酸を除去する排水処理がされているが,リン酸は生物の成長に必要な肥料,食料として大歓迎して生物の生産に役だてるべきである。排ガスの脱硝処理,排水の処理を廃止し,植物に十分な窒素,リンを供給して植物の生長と同化作用を盛んにして二酸化炭素と熱の吸収を盛んにして,地球の温暖化防止と食料の増産をはかりたい。

ワムシへの免疫賦活剤と抗酸化剤の強化でヒラメ種苗の生残率,変態速度,体型異常を改善出来る

酒本 秀一,澤山 英太郎

市販のクロレラで一次培養したシオミズツボワムシ(以下ワムシと略記)に海産魚の必須脂肪酸であるエイコサペンタエン酸(EPA)とドコサヘキサエン酸(DHA)を強化し,ヒラメの種苗生産を行った結果を前報1, 2)で説明した。詳細は前報を参照して欲しいが,要点のみを記しておく。
 EPAの強化には3種類のナンノクロロプシス(ナンノ)を用いた。一つはまる阿水産の露天池で培養したナンノ(露天ナンノ)をそのまま用い,他の二つは他所の露天池で培養したナンノを回収,濃縮して使用時まで4℃で冷蔵保存した物(冷蔵ナンノ)と−20℃で冷凍保存した物(冷凍ナンノ)であった。冷蔵ナンノと冷凍ナンノは同一メーカーの市販品である。DHAの強化にはシゾキトリウム主体の市販強化剤を用いた。
 ヒラメ種苗生産時の餌料体系はワムシ→アルテミア孵化幼生→配合飼料の極一般的な体系で,3試験区の違いはワムシのEPA強化に用いたナンノが違うだけであった。
 孵化後7,10,14,20,23,33および50日目に魚の成長,変態ステージの組成比および体型を調査し,以下の結果を得た。

本格的なプロの味を探求した驚くべきヒット食品 

−『本格炒め炒飯』株式会社ニチレイフーズ−

田形 睆作

 もうずいぶん前のことですが,日本一長いといわれる路線バスに乗って旅をしました。初夏のある日,橿原市八木駅から5時間余りのバス旅が辿り着いた場所は奈良県の最南端,吉野郡十津川村。
 まさに秘境という言葉がぴったりな,辺りの風景は深い山々に囲まれ,初夏だというのに空気はひんやりとし,夜は肌寒いくらいでした。十津川村の面積は琵琶湖とほぼ同じ日本一大きい村として知られています。村の90%が山岳地で,もちろん電車は走っていません。

アイスクリームの常識を変えた「驚くべきヒット商品」−ロッテ『雪見だいふく』− 

田形 睆作

 ニチレイグループは創業60周年の2005年(平成17年)度より,持ち株会社と5つの基幹事業会社(現在は4つ)からなる持ち株会社に移行した。株式会社ニチレイフーズはその中で加工食品事業を担当する。ニチレイグループは2015年,創立70周年を迎えた。その間,冷凍食品のパイオニアとして数多くの商品を開発・発売してきた。商品開発の基本理念は生活者に喜んでいただける商品づくり,サービスの提供に努めることであり,ものづくりへの想いは強い企業である。
 今回の『本格炒め炒飯』はまさしく,従来の炒飯とは異なり本当に喜んでいただける炒飯とは何かを追求し完成させた商品である。発売は2001年3月であり,15年になる。売上は14年連続No1である。このたび,広報グループの責任者に取材をお願いした。

国際的コミュニケーション能力の重要性(2)
―外向き志向への切り替え―
Importance of international communication capability
―How to acquire the outward-oriented attitude―

大石 隆介,坂上 宏

Abstract
Japan is confronting with economic deflation and inward-oriented attitude of its citizen. In order to keep leadership in the Asian world, our nation has to provide new strategy by which turns our attitude to be outward-oriented.

日本はいまデフレで経済成長が止まっているのに対して,中国のGDP成長率は依然として増加しております。日本が技術移転した新幹線網整備は,中国国内の移動を活発化し,生産性を向上させ,GDPそして軍事費を増加させました。日本はアメリカとの協力関係を継続する必要があり,日本独自で軍事力を高めることは難しいでしょう。中国の防衛予算(すでに10兆円超)は,日本の防衛予算(5兆円程度)の倍の規模であり,5年後には,日本の5〜10倍になろうとしております1)。