New Food Industry 2016年2月号

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New Food Industry 2016年 2月号

希少糖含有シロップの特性と利用 ― 砂糖併用による生理機能と食品への応用 ― 

木村 友紀

 糖質は,砂糖やでん粉,これらを原料にして作られるぶどう糖などのように,エネルギーとして主に利用され,脳や身体に必須の栄養素である。近年の健康需要の拡大により,これら糖本来の機能に加えて生体機能を調節する機能性糖質が注目されている。
 希少糖は,和三盆などの糖で有名な香川県で産官学連携によって新たに開発され,生活習慣病を克服する様々な生理機能が認められている。特に,希少糖の中でもプシコースによる糖代謝および脂質代謝の改善効果が多く報告されている。
 本稿では,甘味料の現状を踏まえて,生活習慣病に対して様々な生理機能が報告されている希少糖について解説し,続いてメタボリックシンドローム対策にも注目される“希少糖含有シロップ” (商品名: 「レアシュガースウィート」 (Rare Sugar Sweet; RSS))の特性と利用について紹介する。

白癬菌(水虫菌)に対する粉末化バイオイオナースの抗真菌効果について

窪田 倭,高塚 正,和田 雅年,松澤 晧三郎,森 勲,山地 信行

 白癬菌による感染者(白癬)は表在真菌症患者全体の約80%を占め1),我が国の人口の20%以上が感染していると推定されている2)。白癬菌は高温多湿の環境,例えば厨房やプール,スポーツセンター,公衆浴場などの施設の更衣室やシャワー室などを好み,皮膚の落屑を介して人から人へと感染する。白癬菌は皮膚に付着後12時間以上経つと表皮の角質層,毛髪や爪に侵入・発育して感染を引き起こす2)。一旦感染すると早期には皮膚の角質層に限局するために症状は乾燥した落屑,紅斑(発赤),鱗屑など比較的軽度にとどまり,自然治癒する可能性はほとんどない。また,生命にかかわるほどの病気ではないので放置しているのが現状である。
 国内で医療用に使用されている白癬菌に対する外用薬は抗生物質を除けば5系統17剤があり,その局所療法が第一選択とされている3)。しかしながら,白癬菌は角質層に存在しているため,これらの外用薬が到達しにくいこと,さらに感染予防をも考慮すると一から三か月間の長期間使用しなければならない4)。それ故に症状が一時的に軽くなった時点で治療薬の使用をやめてしまう例が多く,そのため見かけ上の治癒と再発を何年も繰り返しているのが現状である。さらに最も難治性である爪白癬や角質増殖型足白癬に対しては経口薬が使用されているが,肝機能障害などの副作用のため,長期間内服使用ができない例が多い。したがって白癬患者数が減少しない原因とされている。
 著者らは幅広い抗菌スペクトルを持ち,かつ人体に無害で環境に易しいクエン酸を基体とした消毒剤を開発し5),一般病原細菌のみならずノロウイルスや高病原性鳥インフルエンザウイルスに対しても不活化作用があり,さらに全身に影響する歯周病菌に対しても殺菌作用があることを報告してきた6-8)。今回,粉末化バイオイオナースの白癬菌(水虫菌)に対する殺菌および発育抑制効果を検討した結果,良好な結果を得たので報告する。

各種テンペが有する効能成分 ― ビタミンK2,ポリアミンおよびフィブリン溶解活性について ―

須見 洋行

要旨
 各種テンペの効能成分を測定したところ,国内の5社の製品についてはビタミンK2はほとんど検出されなかった。一方,インドネシア産のテンペXには多量のビタミンK2が検出された(約511 μg/100g)。また,ポリアミンは4.64~11.60 mg/100g含まれており,含有量が多いとされる納豆の値(5.43±2.70 mg/100g)を超えるものがあった。さらに,テンペX発酵物には納豆と同等のフィブリン溶解(テンペキナーゼ)活性が確認された。

食事・おやつの与え方と食習慣から幼児の食育を考える

山田 さつき,山川 正信

 我が国の食生活は,近年の食の欧米化,核家族化,女性の社会進出の増加,食品工業及び流通の発達,外食産業の隆盛などにより大きく変化した1)。そのような中,調理の手間のかからない中食の利用が増え,手軽に食べることができるファストフードやスナック菓子などが広く利用されている。これに関連して,野菜の摂取不足,塩分や脂肪の過剰摂取に起因する生活習慣病など多くの健康問題が懸念されている2, 3)。一方,次世代の子どもを出産し育てる20-30歳代の親世代に朝食の欠食ややせの者が多く4),子どもの食の問題としては朝食の欠食,孤食がみられる。朝食の欠食者は幼児期,学童期,思春期へと成長するにつれて増加する傾向がある5, 6)。孤食は,子どもが一人で食べることを初めは寂しく感じていたはずであるが,成長するにつれて煩わしいことを言われないで一人で好きに食べる食事を好むようになり,家族とのコミュニケーションをとる機会,食の大切さや礼儀作法を知る機会が減少し,食に対する関心も低くなる要因になっていると思われる。
 幼児期は,食習慣が形成される重要な時期であり,学童期においては食行動の基礎が形成される時期である7)。これらの時期に形成された食習慣は,成人期の食行動に影響を及ぼすため,適正な食習慣を早期に獲得することは後年の疾病予防や健康増進につながる。一般に子どもの食事は主に母親が担っている場合が多く,母親の食意識や食行動などが幼児期,学童期の子どもの食習慣に反映される。これに関して,母親と子どもの食意識や食行動に関する報告8-16)は多くみられる。この中には,母親が幼児の食事で最も悩んでいる問題である子どもの食嗜好,すなわち食素材や献立に対する「好き嫌い」と母親の食行動との関連についての報告が含まれている。また,食物繊維の摂取量が多い幼児ほど咬合力が強く,幼児の食事作りで「手作りを心がけていた」,「薄味を心がけていた」,「市販食品に必ず手を加えていた」と回答した母親の幼児は,食物繊維の摂取量が有意に多いという報告17)もある。幼児期より噛みごたえのある食品を摂取することは,顎や歯の発達そして唾液の分泌を促す。さらに,食べ物のさまざまな味を体験することにより味覚や嗅覚を発達させることが,好き嫌いをなくすためには重要な役割を果たすと考えられる。その他に母親が悩んでいる問題としては,「食べムラ」「小食」「食べるのが遅い」などの食習慣があるが,それらとの関連性を研究した報告はあまりみられない。胃の小さい幼児期では,おやつや食事の時刻が不規則であると,当然のことながら食欲がない時に食事が提供されても食べないことになる。また,食事と食事の間に食べる補食としてのおやつの量も定まっていないと昼食,夕食の摂取量に影響を及ぼすと推察される。そこで本研究では,食事やおやつを規則的に与えることが,幼児の食習慣に与える影響について述べる。

知っておきたい日本の食文化 その六 和食の未来を考える

橋本 直樹

 2013年,和食は「自然を尊重する日本人の心を表現した食文化であり,日本民族が世代を超えて受け継いできた伝統的な食習慣である」と評価されて世界無形文化遺産に登録された。世界無形文化遺産とは,ユネスコの無形文化遺産保護条約に基づいて「人類が共有して保護するべき顕著な普遍的価値がある」と認められた無形文化のことである。これまで 世界無形文化遺産に登録された日本の無形文化は能楽,歌舞伎など22件あるが,食文化として登録されたのは和食が初めてであり,世界でもフランスの美食料理,スペイン,イタリアなどの地中海料理,メキシコの伝統料理,トルコのケシケキ(宗教的な麦粥料理)に次いで五番目の登録である。

酒造原料米のタンパク質と酒造適性との関係

増村 威宏,大橋 善之,藤原 久志,若井 芳則

 清酒製造には,原料となる米,麹,清酒酵母が必要であり,それぞれが清酒の味や香りを決めるために重要な役割を担うと考えられている。麹菌は原料米に含まれるデンプンを糖化する役割を担っており,麹造りには麹菌を十分繁殖させるため,心白を有する大粒の米が適していると云われてきた。清酒製造者は,麹造りに適した米のことを酒米あるいは酒造好適米と呼んでいる。清酒酵母は,麹菌がデンプンを分解した糖をエタノールへ変換する役割を担うと共に,香り成分も生成する。吟醸酒などは果実の様な香りが漂う清酒であり,香り成分は清酒の魅力の一つになっている。本稿では,清酒製造に関わる米のタンパク質に着目し,タンパク質と酒造適性との関係を考察することにした。
 清酒製造に用いる原料米は,加工工程により麹米,掛米と呼ばれている。大吟醸酒などの高級酒では,麹米だけでなく,掛米にも酒造好適米を用いている場合が多い。「山田錦」100%の清酒とは,原料米全てに「山田錦」を用いたことを表している。近年各地域で多様な酒造好適米品種が育成され,地域ブランド清酒の原料米として利用され始めている。

バクテリアセルロースゲル(ナタデココ)の医療・化粧品分野への展開に関する研究

沼田 ゆかり

 バクテリアセルロース(Bacterial Cellulose, BCもしくはバイオセルロース)は微生物によって培地と大気の界面に約99 wt%が水,約1 wt%がセルロース繊維のヒドロゲルの状態で産生される。BCゲルはフィリピン発祥の伝統食品であり,日本では1990年代に食物繊維が豊富なデザートとしてブームになった「ナタデココ」として一般的によく知られている。BCの用途はヒドロゲルでの食品がもっとも有名で,ナタデココ入りヨーグルトや食感を楽しむナタデココ入り清涼飲料水が商品として市販されている。食品として利用する際の形状はサイコロ状に裁断,またはゲルを形成するセルロース繊維の網目構造を分解しスラリー状にすることが多い。一方,柔軟性や生体適合性,透明性,保湿性に優れている1-3)ことから,シート状に産生させ図1に示すように皮膚にはる用途に利用することができ,医療用素材として注目され研究開発の報告が多くみられる4, 5)。また,日本では化粧品分野においてパック用のフェイスマスクの基材として用いられている。
 筆者らはこれまで,BCゲルを機能性材料として応用することを目標に研究開発を行っており,前回の論説6)では“乾燥しないBCゲル”や“乾燥しないBCゲルの圧縮に対する改善”について報告を行った。本稿では新たに最近報告7, 8)したBCゲルの医療や化粧品分野での応用に関する研究内容を紹介する。

ベジタリアン栄養学 歴史の潮流と科学的評価
(第4節 健康的なベジタリアン食への提言) 16章 ベジタリアン・フードガイドの進展

ジョアン・サバテ(Joan Sabate),訳:山路 明俊

 フードガイドは,異なる種類の食品や量を選択する為の概念的な枠組みです。フードガイドはまた,時代と文化的な流れの範囲内において,最適な食事パターンを定義する革新的な試みとして考えられるかも知れません。フードガイドは,最新の知見と,2歳以上の健常人に対する栄養学的な最適の食事を提供し,食事群,サービングサイズやサービングの推奨範囲を含めた食事勧告をわかりやすい図で示しています。科学に基いたフードガイドは,様々な文化的な影響と食品の利用効率を含め,実験やヒトの研究,バランスの研究,疫学研究,食事摂取調査,栄養状態報告や食品成分のデータベースから得られるデータに基いています。フードガイドは,健康的な食品の選択の為の最新の知見を示しているばかりでなく,社会に対する柔軟性と関連性を持っています。フードガイドはまた,最適な健康への道筋,寿命の最大化,文化的嗜好,経済状態,公正な輸出入の実施,環境問題,土地と水源の有効利用,遺伝子組換え食品と動物の人道的な管理等の幅広い問題を反映しています1-5)。

組織の活性化と人材の育成 Improving the working environment and nurturing human resources :
細胞モデルを通して見る企業の価値の創出

大泉 高明

今も昔も,洋の東西を問わず組織の活性化は人類のテーマであったし,現在もそうであり,おそらく未来も続く永遠のテーマだろう。人が二人以上集まり,共通の目標のもとに活動するとき,そこに組織が誕生する。組織とは大きくは国家であり,小さくは家庭である。霊長類である人間は生物進化の過程で,群れを成してほかの生物との競争に勝って,現在の人類の繁栄をみている。人は原則的に群れ,つまり組織に属することを運命づけられている。一匹狼で生きていけるのは,特殊な技能を持った人間か,芸術家,作家などである。しかし,これも大きく見ると組織とは無縁ではいられない。組織の構成員一人一人は,独立した人間であり,個性も価値観も氏も素性も異なる尊厳を持った個である。この個性も価値観も異なる個が,構成員として組織に属し,一つの価値観と目標のもとに活動しなければならないことに,組織活性化の根本的な難しさが存在する。

有害生物管理のあるべき姿

尾野 一雄

 有害生物管理は,ここ20年で大きく変わってきている。薬剤を使用して発生や生息を抑える時代,モニタリングして無差別な薬剤の使用を控える時代,モニタリングの結果をから効果的な対策を導き出すIPM管理の時代と移り変わってきた。そして今,有害生物管理に関して更に,ステップアップしなければならない時代に来ていると感じる。
 その理由は,2015年初めごろの昆虫類などの異物混入事故である。この事故により,特に大手企業ではクレームのひとつであった有害生物の混入が,企業の存続をも脅かす問題へと格上げされたと感じる。しかしながら,現状の有害生物管理の技術では昆虫類の混入を100%防止することはできない。また,工場内での生息をゼロにすることもできない。
 今回は,更にステップアップした有害生物管理を考えるにあたり,現状の問題点と理想的な管理について考えていきたい。

「LC/MSによる農薬等の一斉試験法Ⅱ(畜水産物)」について

一般財団法人 食品分析開発センター SUNATEC

 食品中の残留農薬分析は,ポジティブリスト制度の施行による規制対象農薬等の大幅な増加により,同一手法で多種の農薬等を分析可能な多成分一斉分析法が主流となった。ポジティブリスト制度に対応するためには,規格基準への適合性が判断可能な信頼性を有する一斉分析法が必要となる。国内においては厚生労働省より,農産物及び畜水産物を対象とした農薬等の一斉試験法が通知されており,測定対象農薬等の物性に合わせて複数の試験法が示されている1)。2015年2月には,新たな通知一斉試験法として畜水産物を対象とした「LC/MSによる農薬等の一斉試験法Ⅱ(畜水産物)」が通知された2)。今回の豆知識は本試験法の概要について紹介する。

酒たちの来た道 酒造りの文明史⑤

古賀 邦正

前回までに,果実の酒ワインと穀物の酒ビールのそれぞれがその誕生から古代ローマ時代までどのような変遷をたどってきたかについて見てきた。華やかな文明を謳歌したギリシア・ローマではワインが圧倒的な地位を確保した。ブドウの産地と品質の関わりも含めた,その蘊蓄に関するこだわりは目を見張るものがあり,ワインの基本的な品質や製造法はローマ時代までにほぼ定まったと考えられる。ブドウ栽培の適・不適はあるにせよ,周辺との関わりでいうならばローマの影響を強く受けた地域(ガリア地域)にはワイン文化が浸透したが,ローマに反発した地域(ゲルマーニア)には浸透せず穀物の酒ビールが愛飲され,ワイン・ビールの棲み分けもこの時代に形成されたと言っていいだろう。西ローマ帝国の滅亡(476年)から東ローマ帝国の滅亡(1453年)までのおおよそ1000年間がヨーロッパの中世とされるが,今回は中世ヨーロッパの変遷とワイン造り・ビール造りの関わり,キリスト教世界が酒造りに果たした役割,さらにはイスラーム世界の変遷と酒との関わりについて時代を追って学んでゆくこととしたい。宜しくおつきあい下さい。

健康食品のエビデンス ハトムギ

濱舘 直史

 ハトムギと聞くと「ハトムギ,玄米,月見草…。」というフレーズが最初に思い浮かびます。これは美容効果をイメージしたお茶のテレビCMで流れるフレーズですが,ハトムギはこのようにハトムギ茶として,とても身近なものかと思います。ハトムギ茶は麦茶と同じように香ばしい香りがして,植物分類上では,ハトムギと大麦は同じイネ科の植物ですので麦茶と同じようなものと思われますが,ジュズダマ属とオオムギ属という違う属に分類されています。ハトムギは大麦よりもトウモロコシに近いと考えられています。ハトムギは日本国内でも東北から九州まで広く生産されていますが,その他,タイ,中国,ベトナムなどから輸入されています。その中でもハトムギ茶に使用されるハトムギはタイ産のものが比較的多いと考えられます。ハトムギ茶は殻の付いたまま煎って利用されますが,ハトムギの殻の中にある白い子実はヨクイニンと呼ばれ,古く漢方薬として利用されており,日本でも医薬品として使用されています。このことからも,中国産のハトムギは漢方薬のヨクイニンとしての利用が多いと考えられます。また,雑穀としてお米と混ぜるなど食用としても利用されています。最近では,サプリメントや化粧品としての利用も増えてきました。


野山の花 身近な山野草の食効・薬効ー
セツブンソウ Shibateranthis pinnatifida (Maxim.) Satake & Okuyama(キンポウゲ科 Ranunculaceae)

白瀧 義明

 セツブンソウ(節分草)は関東では,2月下旬,その名のとおり,冬から春の季節の分かれ目の頃に可憐な花を咲かせます。本植物は関東以西の石灰岩地帯の樹林内に群生する日本特産の植物で,高さは花の咲くもので8~15 cmほど,白く花弁のように見えるのはがく片で,普通5枚あります。内側の黄色く先がY字状に2裂しているものが花弁の名残りで,10個程あり,裂片の先は蜜腺化しています。雄しべは多数,葯は青色,雌しべは数本あり,ややくすんだ桃色をしています。根際から生える葉は長い柄のある五角形で,3つに裂けたものが2つに裂け,更に羽状に細かく裂けています。花の咲いた後にはそう果(熟すと乾燥する小型の堅い果実。裂開せず,普通,中には種子が1つ入っている)をつけ,地中には球形の塊茎があります。他の草木が芽を出さない早春に花を咲かせ,他の草が大きく伸びる初夏には,地上部は枯れてしまい,カタクリと同じようにスプリング・エフェメラル(spring ephemeral)とよばれる春植物の一つです。本植物は,いわゆる双子葉植物ですが,実生の1年目は広楕円形の子葉を1枚しか出さないという変りものです。2年目以降の個体は1月末近くに,塊茎から茎を伸ばし,茎頂に複雑に裂けた総苞葉をつけますが,総苞葉に柄はなく,茎を囲んだ状態で花茎は総苞葉を抜け出るようにつきます。

中国の食材 食効・薬効ー
女性のコスメティクス 棗(なつめ)

生 宏

冬期に入り,女性にとって,「冷え」は大敵だろう。何より体を中から温めてあげることは最も重要な対策である。ナツメはこの辛い時期の女性の味方だと思う。棗(ナツメ)中国語では,红枣(hóng zǎo),または大枣(dà zǎo)と言う。英語では「jujube」 または 「Chinese date」と呼ばれる。和名は夏に入って芽が出ること(夏芽)に由来する。

伝える心・伝えたいもの — 月 桃 —

宮尾 茂雄

 2015年3月,30数年ぶりに石垣島を訪れた。子供たちがまだ小学生の頃,春休みを利用してマングローブとイリオモテヤマネコの島,西表島を訪れたときに石垣島に1泊して以来のことだ。ちょうどその頃,西表島はサトウキビの刈り取りの最盛期で,西表糖業(株)では24時間体制で黒糖を製造していた。工場長さんのご好意で稼動中の工場見学をさせていただいた懐かしい思い出がある1)。いつか,サトウキビの収穫期の石垣島を訪ねたいと思っていたところ,機会に恵まれ,気温10℃の東京から気温20℃の石垣島にやって来た。植物の抗菌成分に興味がある私としては,以前から気になっていた月桃(ゲットウ)2〜4)とその葉で包んだ「月桃餅」に会えるのも楽しみの一つであった。