New Food Industry 2006年9月号

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New Food Industry 2006年 9月号

ザクロ由来の紫外線(UV)ケア美容食品素材 〜ザクロエラグ酸〜

有井 雅幸

ザクロ(石榴,PomegranatePunica granatum L.)はイラン,アフガニスタン近辺(昔のペルシャ)を原産地とするザクロ科ザクロ属の落葉性果樹であり,もっとも古くから栽培された果樹の一つである。ヨーロッパにはギリシャ時代,中国には3 世紀終わりごろ,日本へは平安期以前に渡来している。日本には薬用の目的で渡来したもので,樹皮や根皮にはアルカロイドが含まれていて駆虫薬として用いられていた。ザクロの果実は甘酸っぱく,生食するほか,果実酒や清涼飲料に利用されているが,古代から「女性の健康」によいフルーツとして愛用されてきた。

シルクロードの長寿食カンカの機能について

村岡 修

カンカ(学名:カンカニクジュヨウ,Cistanche tubulosa (Schrenk) R. Wight, 写真1) )は,紅柳(タマリクス) の根部に寄生する植物で,漢方調剤用の医薬品ニクジュヨウ (Cistanche Salsa G. Beck) と同じハマウツボ科ニクジュヨウ属に属する。中国新彊ウイグル自治区タクラマカン砂漠やパキスタンに分布し,腎を補い,精を益する,延年する等の効能が知られ,インポテンツ,不妊症,アルツハイマー病の治療に用いられている。

乳酸菌エンテロコッカス・フェカリス FK−23の補完代替医療的効果

林 篤志、近藤 正敏、元永 知恵、嶋田 貴志

エンテロコッカス・フェカリス FK-23 (Enterococcus faecalis FK-23,以下FK-23菌)は,健康な人間の腸内から分離された乳酸菌である。エンテロコッカスはその直訳とおり「腸球菌」とよばれ球形で,この仲間の多くは動物の腸内に見られる。フェカリスと呼ばれる種類はその代表格である。FK-23菌は,エンテロコッカス・フェカリスの中で特に,生理活性機能が高い株として選抜した株である。

小麦発酵抽出物の自然免疫調節作用

河内 知恵、稲川 裕之、山口 高俊、高松 智、永井 史郎、杣 源一郎

健康食品市場は世界的に延びている業界であるが,日本においても既に1兆円を越えており引き続き大きな伸びが期待されている。しかし,中身を十分に理解していない新規参入者も多く,また,取り扱われている素材も玉石混淆であり,必ずしも秩序ある業界とはいえない現状がある。その結果,効果が期待できないものが数多く市場でのさばっており,また品質面でのトラブルも数多い。本稿で紹介するLPSpおよびこれを商業目的のために素材化した小麦醗酵抽出物は,いくつかの困難な壁をクリアーしてきた15年の研究努力の結晶であり,安全で本当に有効な免疫賦活素材として多くの研究仲間や企業の方々の協力を得て開発したものである。

機能性食品に用いられるカプセルの利用  高吸収性ソフトカプセル製剤技術

杉田 喜子

一般的な機能性食品のカプセル化技術は,懸濁技術によって油と機能性食品素材を均一な状態に保ち製剤安定化させてソフトカプセル剤としている。当社では,機能性原料をより効率的に機能させると共に摂取する量を少なくしても今までの効果を維持することで,消費者の負担を軽減するような製剤化技術を開発した。

ユニバーサルデザインフードを取り巻く現状

藤崎 享、木内 幹

世界に類を見ない少子・高齢化の社会の到来に向けて我が国はとまどいながらも種々の問題に試行錯誤しつつ対応しているのが現実である。高齢者向けの食品もその一つで,身体的変化に伴う一般成人とは異なる高齢者に食事を提供する必要から新しい見地からのきめ細やかな食品の提供が求められ,産官学の分野で研究,開発,製造等に参画する団体,企業,研究者が増えつつある。

疲労回復用特定保健用食品に関する一考察

鈴木 良雄,近澤 淳,末木 一夫,若林 茂,木全 基樹,矢野 宏之,大島 良恵,根本 淳, 小林 敏也,藤田 孝,岩田 敏夫,松岡 良彰,武山 雅英,橋本 将男

日本において疲労は国民的な関心事である。厚生省(現:厚生労働省)特別研究班の調査(愛知県豊川保健所所管内の2市4町25.6千人より15-65歳群の男女4000名を無作為抽出)によれば,調査対象となった地域住民の59.1%が疲労を自覚しており,そのうち34.4%が作業能率の低下を認めている 1)。また同時期に行われた総務庁の調査(全国から3000名を無作為抽出)においても,「肉体的な疲労」を「感じる」とする者の割合が64.5%,「精神的な疲労,ストレス」を「感じる」とする者の割合が54.6%である2)。

FDA食品行政の話(2) HACCPの概念

石居 昭夫

HACCPはHazard Analysis and Critical Control Point(危険分析と臨海管理点)の略称で,一般に食品の安全性に関する重要な基準の一つと考えられています。FDAはHACCPを“hassip”と呼んでいるようですが,日本では,数年前ある食品の安全性が問題になったとき,報道各社はハサップといい,一方,業界はハシップまたはハセップとそれぞれ勝手に発音していました。

薬膳の知恵 (4)

荒 勝俊

古代から中国では,食物による病気予防や健康維持といった「食養(食療)」と呼ばれる医療哲学を基本に健康指導が行われてきた。食養に用いられる食材は,その食材が収穫された季節や地域,自然環境の違いにより性質が大きく変化する。また,食材にはすべて性味(酸,甘,辛,苦,鹹)と食性(温,熱,涼,寒,平)がある事を述べてきたが,こうした食材の特性をよく理解し,適切に組み合わせる事で病気を予防することが可能になる。

エッセイ 伝える心・伝えたいもの −甘草−

宮尾 茂雄

中央線の塩山駅前にある「甘草屋敷」(重要文化財旧高野家住宅)を訪れたのは,5月の連休中であった。屋敷の前庭広場には大きな鯉のぼりが五月晴れの空いっぱいに泳いでいた(写真1)。母屋の前の甘草園では東北甘草(ウラルカンゾウ:Glycyrrhiza uralensis)とこれをもとにバイオ増殖した株がちょうど芽を出し始めていた。甘草は,ヨーロッパ南部からアフガニスタン,中国西部,東北部から内陸部などに広範に分布するマメ科カンゾウ属の多年生草本であり,スペインカンゾウ,ロシアカンゾウ,ウラルカンゾウなどに分類されている。なお,日本の山野に自生しているカンゾウ(萱草)は,甘草とは別種で,ユリ科ワスレグサ属の多年生草本に属し,ワスレグサの別名を持っている。

中国食品通信 【今後,発展が見込まれる中国“健康食品”業界】

馬 桂 華

中国保健食品(日本のいわゆる“健康食品”)は“十一五”(国民経済と社会発展に関する第11回5ヵ年計画)の期間において発展することが期待されている。一般国民の栄養を推進するための行動方針が,国民経済と社会発展に関する第11回5ヵ年計画の要綱に書き入れられたことが報じられた。本計画は,中国政府が国民の栄養状態を改善し,全人民の健康水準を高めるという構想となっている。中国保健協会の理事長である張鳳楼氏は,中国の保健食品業界が既に無秩序な競争状態を抜け出しつつあり,“十一五”計画において,保健食品業界は,科学化,規格化の方向に進展していくであろうと語っている。