New Food Industry 2006年12月号

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New Food Industry 2006年 12月号

フェルラ酸の機能性

石井 浩子

フェルラ酸は,以前は,工業的には,高価な合成品が少量流通しているのみであった。しかし,1991年に弊社と和歌山県工業技術センターとの共同研究により,植物の中でも特に含有量の高い米糠から大量に生産する方法を開発した3)。それ以降,フェルラ酸の機能性および利用に関する研究が加速し,抗酸化作用をはじめとする様々な機能性が報告されている。

メタボリックシンドロームの予防に寄与する茯茶(中国湖南省後醗酵茶)の紹介

長谷川 秀夫

茯茶(フーチャ)は,中国湖南省益陽県でのみ製造され,中国の西北辺境に分布している遊牧民に供給されている後醗酵茶のことである。彼らにとって茯茶は元気の基で,1日たりとも飲まないでいると,頭痛が起き,食欲がなくなり,体がだるくなるという。そのため,この地域では,「寧可三日無糧,不可一日無茶(三日食べ物がなくても,お茶は一日も欠かすことができない)」と言われている。

マイタケ中の神経栄養物質リゾホスファチジルエタノールアミンについて

関口 昭博、仁科 淳良

我々は,農林産物やその廃棄物中の有用成分の探索を行ってきた1,2)。マイタケは昭和50年に栽培法が確立し,その後,主に新潟県,群馬県等で生産されている。マイタケ子実体は種々の料理に使用することができ,美味であるため,生産されたもののほとんどが,カット後に特に加工せずに包装した生鮮食品の状態で販売されている。一方,別のキノコであるアガリクス,霊芝等は生鮮食品ではなく抽出物が大きな市場を形成している。

リポキシゲナーゼとグループAアセチルサポニンを欠失した大豆品種「きぬさやか」の可能性

湯本 節三

大豆には特有な青臭みやえぐ味等の不快味に関与する成分が含まれており,大豆の食品利用範囲を狭める要因の一つになっている。また,豆乳では,他の大豆食品よりも青臭みやえぐ味等の不快味を感じやすく,このことが嗜好性を大きく低下させている。そのため,実需者から,青臭みやえぐ味の原因となる成分を低減した品種の開発が強く要望されてきた。

ラクトフェリンの生理機能とその応用

久原 徹哉

現在報告されているラクトフェリン(以降,特に記してある場合以外は全てウシラクトフェリンを示す)の生理機能は大別して,○鉄代謝,吸収調節作用 ○抗菌,抗ウイルス活性 ○免疫調節作用 ○抗酸化作用 ○腸管絨毛細胞増殖促進活性 ○ビフィズス菌増殖促進活性 ○骨量増加作用 ○経口摂取による生体防御作用が挙げられる。

湿り空気による殺菌

内山 満

殺菌という病院で使われているオートクレーブという語が浮かぶ。類似語として,抗菌・殺菌・滅菌があるが,数字としての差異を有する。同じ温度であっても,乾き空気と湿り空気では細菌対する効果の差異は大変大きい。1998年,大手家電系列の研究所で筆者の考案の実験が行われた。

コラゲタイトの可能性

伊東 芳則

鱗は水産加工現場で大量に発生し,生の鱗は微生物の棲家としては理想的な環境であり,蝿が卵を産み付け1日で孵化するくらいであり,非衛生でもある。また,ミール業者からも扱い難い原料として嫌われものであった。しかし,文献を漁り,自社でも成分分析を行ったりして,後述のような有用成分の塊であることがわかったのである。この鱗を主要成分のコラーゲンとハイドロキシアパタイトからコラゲタイトと命名し健康補助食品として製品化して販売してきたものである。

FDA行政の話 (4)遺伝子工学食品への対応

石居 昭夫

米国では,バイオテクノロジーの進歩にともなって,新しい特性をもつ品種の穀物,果実,野菜などの農作物が開発されるようになりました。バイオテクノロジーは,ビールや酒など微生物を利用してつくられる発酵食品から遺伝子操作による農作物の品種開発や人の病気の治療など高度の技術に至るまで,生きた有機体を使用するすべての製品に対して適用される幅広い技術を意味しています。

薬膳の知恵 (7)

荒 勝俊

人体は有機的に統一された整体(整体観念)であり,体内の臓器が体表部の五官や手足の筋肉や骨などと緊密に関係している事が古代中国の戦国時代(紀元前 400年頃)から秦漢時代に理論的に体系づけられ,「蔵象学説」という臓腑生理学説へと発展した。蔵象学説とは古代の解剖知識から発展して,様々な症状や体表の変化(人体生理,病理現象)の観察を通して,人体各臓腑の生理機能や病理変化に関する相互関係を研究する独特の理論体系である。

中国食品通信・日本のポジティブリスト制に対応

馬 桂 華

タンポポは中国の衛生部(日本の厚生労働省に相当)では,薬食として扱われている。タンポポには,食中毒や腫脹を軽減する効力や解熱の効力のあることが「本草綱目」に記載されている。また,歴史的な医学専門書として有名な「神農本草経」や「唐本草」においても,タンポポの医学的な有効性が高く評価されている。また,民間療法においても,タンポポが流行性感冒,脳膜炎,肝臓および胆のうに関係する病気や瘡毒の治療に利用されていることが知られている。

紅茶異差

室井 正博

紅茶とは茶葉を完全発酵させたものを言うが、市場にある紅茶はすべてが完全発酵されたものか疑問である。茶葉を完全発酵させるためには、酸化酵素を活性化させ酸素に触れさせることで酸化発酵させるが、発酵工程前に茶葉に熱が加わると酸化酵素の働きが鈍くなり、熟成した発酵ができない。