New Food Industry 2020年 8月号

ヘルスフードアカデミックサロン ミニシンポジウム
~機能性表示QOL時代に向けて~

 

開会の挨拶

座長:矢澤 一良
 

機能性表示食品におけるQOLとは?

柿野 賢一
 

消費者目線から考えるQOL表示の可能性

西沢 邦浩
 

臨床現場で求められるQOL評価

窪田 倭
 

臨床医学に基づくQOL評価の重要性 

森下 竜一
 

パネルディスカッション

矢澤 一良,柿野 賢一,西沢 邦浩,窪田 倭,森下 竜一
 
 

製品解説

でん粉由来の機能性素材の特性と食品への応用

木村 友紀(KIMURA Tomoki)
 
 食が多様化する近年,でん粉は,食品あるいは加工食品業界において,栄養源(炭水化物)としてだけでなく,食味性や加工性の向上のために加工でん粉やでん粉分解物としても利用されている。加工でん粉とは,でん粉に,でん粉粒の膨潤抑制効果や糊化後の老化抑制効果等といった種々の機能を付与するために,物理的,化学的,酵素的に処理したでん粉のことである。一方,でん粉分解物は,でん粉を酸や酵素で加水分解したものであり,分解の程度によって甘味度,粘度,溶解性等に対して種々の性質を持つ。
 特定保健用食品(トクホ)制度や機能性表示食品制度の普及に伴い,生活習慣病や肥満等の予防・改善のために,でん粉を原料とした様々な機能性素材が開発され,幅広い食品に利用されている。これらの機能性素材は,分子量の大きさの違いから,用途が異なる。例えば,高分子量(多糖類)で不溶性のレジスタントスターチは,ベーカリーや麺等に配合しやすい。一方,高分子量でありながら水溶性かつ低粘性の難消化性デキストリンや,低分子量(単糖類)の希少糖含有シロップや希少糖は,飲料等に配合しやすい。
 当社では,これらの分子量の異なる4種類の機能性素材を取り扱っており,多種多様な食品での商品設計が可能である。本稿では,当社のでん粉由来の機能性素材の生理機能および食品への用途について紹介していく。

 
 

第30回日本老年歯科医学会学術大会に参加して

~フレイルに対する対処法

田村 暢章(TAMURA Nobuaki),坂上 宏(SAKAGAMI Hiroshi),松田 玲於奈(MATSUDA Reona),竹島 浩(TAKESHIMA Hiroshi)
  
Participating in the 30th Annual Meeting of the Japanese Society of Gerodontology
Author: Nobuaki Tamura 1,  Hiroshi Sakagami 2, Reona Matsuda 1 and Hiroshi Takeshima 1
*Corresponding author: Nobuaki Tamura 1
1Meikai University School of Dentistry. Department of Diagnostic and Therapeutic Sciences, and
2Meikai University Research Institute of Odontology (M-RIO) (1-1 Keyakidai, Sakado, Saitama 350-0283, Japan.)
 
Key Words: Frail, Sarcopenia, Japanese Society of Gerodontology, Frail prevention lunch box
 
Abstract
The physical condition of elderly people just before requiring nursing care is called "frail". This word is derived from "Frailty" in English. Since frail is reversible, it is necessary for the surrounding family members and people to be alerted and take some nterventions for the elderly to restore the healthy state. In order to prevent frail, multi-professional cooperations (medical care, nursing care, elfare and mutual assistance) are necessary. We are working from various perspectives such as education, medical care, and research so that we can satisfy the needs of the elderly. Frail prevention lunch boxes were given out as free samples at the 30th Annual Meeting of the Japanese Society of Gerodontology.
 
要 約
 要介護状態に至る前段階として位置づけられる身体の状態を「フレイル」という。この言葉は英語の「Frailty」に由来する。フレイルは可逆的な状態であるため,家族や周囲の人がいち早く気づき,健康な状態に戻すための何らかの介入が必要となる。フレイルを予防するためには,多職種連携(医療・介護・福祉・相互扶助)が必要である。われわれはこうした高齢者のニーズに応えられるよう,教育・医療・研究など多面的に取り組んでいる。今回出席した第30回日本老年歯科学会学術集会では,フレイル弁当が試供された。
 
 
 

新解説 グルテンフリー製品へのsorghum(モロコシ)と maize(トウモロコシ)の利用(2)

瀬口 正晴 (SEGUCHI Masaharu),竹内 美貴 (TAKEUCHI Miki),中村 智英子 (NAKAMURA Chieko)
 
Sorghum,maizeは,数千年間ヒトの食料として用いられてきた。伝統的食品へ多用されるなどして,発酵,未発酵の平たなパン,かゆ,米状食品,タコシェル,トリテーラ等がある(Serna-Saldivar and Rooney, 1995; Rooney and Serna-Saldivar, 2003)。トリテーラの様な幾つかの例外のほかは,これらは一般の西欧料理ではない。これらの製品は全てが小麦以外でつくられるため,セリアック病の人々には安全でありセリアック患者の特別のマーケットを満たしている。
 
 

Chinese Medicinal Food

Quantification of antitumor, antiviral and neuroprotective activity of twenty Kampo preparations

Haixia Shi 1, Kunihiko Fukuchi 2, Daisuke Asai 3, Shigemi Terakubo 3, Hiromu Takemura 3 and Hiroshi Sakagami 4*
 *Corresponding author
1 Department of Traditional Chinese Medicine, Shanghai Ninth People's Hospital, Shanghai Jiatong University School of Medicine, Shanghai, 201900, P.R. China
2 Showa University Graduate School of Health Sciences, 1-5-8 Hatanodai, Shinagawa-ku, Tokyo 142-8555, Japan 
3 Department of Microbiology, St. Marianna University School of Medicine
4 Meikai University Research Institute of Odontology (M-RIO)
 
Abstract
Twenty kampo preparations were evaluated for their anticancer, anti-human immunodeficiency virus (HIV), anti-herpes simplex virus (HSV) and neuroprotective activity.   Their antitumor and anti-HIV activity was much weak as compared with positive controls. Four preparations shows apparent anti-HSV activity, while seven preparations showed potent protection against cisplatin and amyloid-β-induced neurotoxicxity (demonstrated in differentiated PC12 cell model).  Interestingy, all these active preparations contained licorice extract.
 
 

コーヒー博士のワールドニュース

健康な動脈が新型コロナ合併症から子供を護る

David Cyranoski著/岡 希太郎 訳
 
 新型コロナウイルス(SARS-CoV-2,同義語:COVID-19)が現われて,科学者たちは,重篤な副作用を合併する子供の数が成人よりはるかに少ない理由を知ろうと懸命に努力しています。そして今のところ,答えは「子供の健康な血管」にあるとの可能性が高まってきました。SARS-CoV-2の全感染者の中で,子供の感染者はごく一部でしかありません。ジョージア州アトランタにある米国疾病対策センターによると,大規模調査の結果,米国人口の22%に当たる17歳以下の子供のうち,COVID-19の子供は2%未満であることがわかりました。そして,その2,572人の子供のうち,わずか5.7%(146人)が入院し,3人(0.1%)が死亡したのです。
 子供がCOVID-19にならない理由を説明する仮説が提案されています。その中には,COVID-19に対して成人よりも強い初期免疫応答(自然免疫)がある可能性,あるいは近い過去に同類のコロナウイルスに感染して多少の免疫を獲得している可能性が含まれています。その一方で,成人と子供の違いが血管の状態にあるのではないかと考える研究者が増えてきました。
 COVID-19の症状が深刻化した成人では,しばしば血液が凝固して,心臓発作や脳卒中を引き起こします。スイスのチューリッヒ大学病院の心臓病専門医であるフランク・ルシツカ氏は,通常は凝固を妨げる滑らかな内皮が機能不全に陥っているようだと語っています。本来,血栓は外傷による出血を止めるためにできるのですが,内皮が損傷を受けていると,外傷がなくても血栓ができることがあるのです。ルシツカ氏らは,COVID-19が全身に分布している内皮細胞に感染することを発見しました。3人のうち2人が死亡したCOVID-19患者の研究で,ルシツカ氏らは,COVID-19が患者の内皮に感染し,炎症と凝固を引き起こしていたことを発見しました。この研究は小規模だったため,更なる調査が行われた結果,内皮で起こる問題は,成人患者が重症化し,致命的な状態に至るほとんどの場合に関与していることがわかったのです。
 ロンドンのユニバーシティカレッジ病院の血液専門医であるマルセル・レヴィ氏は,この理論によれば,糖尿病や高血圧など,内皮を危険に曝している患者の場合に,COVID-19が重症化する高いリスクを説明できると話しています。
  
 

デンマーク通信

デンマークの夏,コロナ状況下では

Naoko Ryde Nishioka
 
 デンマークは6月末の夏至の頃,夏のピークを迎えます。この頃はちょうど学校が学年末を終え,夏休みに入る時期で,卒業生が卒業帽子をかぶってお祝いムードがそこら中に溢れる時期でもあります。卒業生といっても,基本的には高校の卒業生が盛大にお祝いを行うのが通例で,その他の卒業生(中学や大学など)はお祝いの対象にはあまりなりません。デンマーク人にとって,高校卒業は人生のハイライトといってもいいほど,大切なお祝いなのです。高校卒業生は19歳前後が多く(高校入学前にギャップイヤーをとる人も多いので,生徒の年も1,2歳の差がある),若者が,これから大人への世界へ入っていく素敵な時期なのでしょう。高校の卒業生は,クラスメートからのサインがたくさん書かれた帽子をそれぞれかぶり,学校の友達とバーにいってパーティーをしたり,家族や友人を呼んでガーデンパーティーをしたりと,6月下旬はお祝いムードいっぱいになります。
 コロナウィルスで閉鎖していた社会も,今年はこの時期に間に合わせるように,徐々に閉鎖が解除されました。高校では,生徒全員とその両親全員が体育館に集まるような式典は行われなかったものの,高校卒業生の個人のパーティは,通常より少ない人数で行ったりと,工夫をしてそれぞれの形で行われたようです。高校卒業は人生のハイライト,と多くのデンマーク人が思っていることなので,社会の閉鎖が解除されて,高校卒業生がお祝いをできたことを多くの人がほっとした気持ちで見守っていたかもしれません。
 
 

 — 身近な山野草の食効・薬効 —

イワタバコConandron ramondioides Siebold et Zucc.
(イワタバコ科: Gesneriaceae)

白瀧 義明(SHIRATAKI Yoshiaki)
 
 夏の暑い日,涼を求め,滝つぼ付近で涼んでいると,岸壁一面に紫色の花をつけたまるでタバコの葉そっくりの植物がびっしり生えているのを見かけます。イワタバコはイワタバコ科イワタバコ属に分類される多年草で,福島県から関東以南の本州,四国,九州,沖縄,および台湾などの山の中,日光があまり当たらない湿った岩壁などに生育します。花は淡紅色〜紅紫色もしくは白色で山野草としても栽培されます。若葉が食用になることからイワヂシャ(岩萵苣),イワナ(岩菜)ともよばれ,地下には,塊状の根茎があり,葉は,長さ5〜20cm,柔らかくて水っぽく光沢があります。6〜8月,花茎を伸ばし,直径2cm位の花(5裂した合弁花)を多数,咲かせます。花つきは非常によいのですが,1輪の寿命は3〜4日しかありません。冬になると,葉のつけ根に根茎と来年の葉が塊状になったものを残して枯れてしまいます。産地によって早咲きや遅咲きがあり,うまく栽培すると次々に咲いてくれて結構楽しめます。
 
 
 
 

随 想 水清ければ魚住まず 水清めれば地球温暖化,国地方衰退

 
尾崎 庄一郎 (OZAKI Shoichiro)
Abstract
Much NOx is produced when fossil is burned. Many governments set up the law to eliminate NOx by the reason NOx is pollution gas and not good for health. And also Drainage NP are eliminated. Some other many governments are welcoming NOx as fertilizer for plant and encouraged the use of NOx and drainageNP for plankton growth and getting many fish .I could find the data that how much NOx is eliminated at 10 countries. The country who do not do NOx elimination is getting many fish fixing much CO2 and electricity price is low and producing many product and increasing GDP. The country who do NOx elimination is decreasing fish production and increasing CO2 emission and electricity price is high and grain and fish production is declining and GDP growth rate is low. At those country who use NOx and NP in drainage effectively electricity price is low and getting much food and GDP growth rate is high and fixing CO2 is complete.Therefore NOx elimination and Drainage NP elimination should be stopped for the production of grain and fish and for the protection of global warming for getting good life.
 
要 旨
 現在,地球温暖化が進んでいる。その原因は先進7カ国がNOxと排水中のNPを汚染物質として除去しているためであることがわかった。CO2同化反応が妨げられ農水産物の生産が減少しGDPの増加が弱まり国の繁栄が衰退している。結局,先進国がCO2の同化反応を妨げCO2を増加させ地球温暖化を促進していることになる。NOx、 NPの排除をおこなっていない開発途上国はNOx、 NPをプランクトン,植物の成長,魚,穀物の生産に使用している。CO2同化反応が促進され,穀物,魚など食物が増産されDGPの増加率が高く,人口が増えて国が繁栄している。NOx,排水のNPの除去をやめて同化反応を盛んにすることが,食料の増産,DGPの増加,国の繁栄をもたらし,地球温暖化を防ぐ最良法である。