New Food Industry 2021年 63巻 4月号
原著
糖質吸収抑制サプリメント“TCGP”の食後血糖値上昇抑制効果に関する基礎的研究
本藤 和彦(HONDOU Kazuhiko),白鳥 悟嗣(SHIRATORI Satoshi),郷間 宏史(GOHMA Hiroshi),馬場 亜沙美(BABA Asami),吉田 雄介(YOSHIDA Yusuke)
A basic study investigating the inhibitory effect of anti-carbohydrate absorption supplement ‘TCGP’ on the elevation of postprandial blood glucose levels
Authors: Kazuhiko Hondou 1*, Satoshi Shiratori 2, Hiroshi Gohma 2, Asami Baba 3, Yusuke Yoshida 4
Baba, Yusuke Yoshida
*Corresponding author: Kazuhiko Hondou 1
Affiliated institutions:
1 Yagumo Kousan Co., Ltd. [5F F&T Bldg., 2-19-6 Shimo-meguro, Meguro-ku, Tokyo, 153-0064, Japan.]
2 Shiratori Pharmaceutical Co., Ltd. [6-11-24 Thudanuma, Narashino-shi, Chiba, 275-0016, Japan]
3 ORTHOMEDICO Inc. [2F Sumitomo Fudosan Korakuen Bldg., 1-4-1, Koishikawa, Bunkyo-ku, Tokyo, 112-0002, Japan.]
4 SakuLab Science, Inc. [202 Konan Bldg., 2-38-34, Maruyamadai, Konan-ku, Yokohama-shi, Kanagawa, 233-0013, Japan]
Abstract
Objective: This study aimed to evaluate the inhibitory effect of ‘TCGP’ on glucose absorption using a human small intestinal epithelial cell model.
Methods: TCGP was used as a carbohydrate absorption inhibitor and strawberry jam MDY was used as a carbohydrate. Caco-2 cells cultured in a monolayer were used as a human small intestinal epithelial model, and the amount of glucose permeation following the addition of strawberry jam MDY was evaluated with and without pretreatment of 3% TCGP. After treatment with TCGP and/or strawberry jam MDY, the cells were incubated at 37°C at 5% CO2. The concentration of permeating glucose was measured after a 0 to 12-hour reaction.
Results: The glucose permeation of strawberry jam MDY-treated cells that underwent TCGP-pretreatment was significantly lower than that of strawberry jam MDY-treated cells without TCGP-pretreatment. Specifically, glucose permeability decreased by 38.5%, 18.0% and 33.9% after a reaction of 0.5, 1 and 3 hours, respectively.
Conclusions: The results of this study showed that in a human small intestinal epithelial model, the addition of 3% TCGP inhibited cell permeability of glucose in strawberry jam MDY, 0.5 hours after treatment. This suggested that TCGP has a delayed effect on glucose absorption. This delay in glucose absorption in vivo may alleviate blood glucose spikes by suppressing the rapid increase of blood glucose levels following ingestion.
抄録
目的:本研究では,ヒト小腸上皮モデルを用いて「糖質吸収抑制サプリメント“TCGP”」の糖吸収抑制効果を検証した。
方法:試験物質には,糖質吸収抑制剤として「糖質吸収抑制サプリメント“TCGP”」(以下,TCGPとする。)を,糖質として「イチゴジャムMDY」を準備した。ヒト小腸上皮モデルには上層ウェルに単層培養したCaco-2細胞を用い,3%TCGPの前処理の有無によるイチゴジャムMDY添加後のグルコースの透過量を評価した。試験物質処理後は37°C, 5% CO2の条件下でインキュベートし,0〜12時間反応した後に下層ウェルに透過したグルコース濃度を測定した。
結果:TCGPを前処理したイチゴジャムMDY処理区は,TCGP未処理のイチゴジャムMDY処理区に比べて,統計学的有意差をもってグルコース透過量が減少した。特に反応0.5,1,3時間後のグルコース透過率はそれぞれ38.5%,18.0%,33.9%減少した。
結論:本研究の結果より,ヒト小腸上皮モデル試験において3%TCGP前処理により,イチゴジャムMDY添加直後の0.5時間からグルコースの細胞透過を抑制することが確認され,TCGPは糖吸収遅延作用を示すことが示唆された。生体における糖吸収遅延作用は,摂取後の急激な血糖値上昇を抑えることで血糖値スパイクを緩和することが期待できる。
シリーズ
健康食品の有効性・安全性評価におけるヒト試験の現状と課題
— 前後比較試験と生鮮食品の機能性評価 —
Current Status and Issues of Clinical Trials for Efficacy and Safety Evaluation of Health Foods
―Before-after trial and evaluation of health function of agricultural products―
鈴木 直子(SUZUKI Naoko),田中 瑞穂(TANAKA Mizuho),野田 和彦(NODA Kazuhiko),柿沼 俊光(KAKINUMA Toshihiro),波多野 絵梨(HATANO Eri),馬場 亜沙美(BABA Asami),山本 和雄(YAMAMOTO Kazuo)
前後比較試験(Before-after trial)は,第2回から第5回まで紹介してきたランダム化比較試験やクロスオーバー試験と同じく,食品のヒト試験によく用いられる試験デザインの1つである。今回は,前後比較試験について概要と試験計画の注意点を紹介する。また,プラセボの作製が難しい生鮮食品の機能性評価について,機能性表示食品制度に即して検討する。
総説
フレンチレストランのフルコースの流れに即した光環境の提案
小林 茂雄(KOBAYASHI Shigeo),奥村 紗樹子 (OKUMURA Sakiko),加賀谷 史央(KAGAYA Fumio),小川 幸一 (OGAWA Koichi)
Proposal of lighting environment corresponding to the flow of full course at a French restaurant
Authors: Shigeo Kobayashi 1*, Sakiko Okumura 2, Fumio Kagawa 3, Koichi Ogawa 3
* Correspondence author: Shigeo Kobayashi 1
Affiliated institutions:
1 Tokyo City University, Department of Architecture
2 MHS Planners, Architects & Engineers Ltd.
3 KKTechnologies Co.,Ltd.
Abstract
At the newly established restaurant, which offers course meals composed of multiple dishes, the lighting environment suitable for each dish and behavior was examined. An evaluation experiment was conducted by subjects under the conditions of changing the table illuminance, the surrounding floor illuminance, and the color temperature. Based on the results, new lighting control procedure according to the type of food and time was proposed. It was considered effective not only to reproduce colors suitable for individual dishes, but also to intentionally reduce the illuminance or change the color temperature in consideration of the order before and after the dish. By setting the lighting environment according to the passage of time, it would be possible to support conversational behaviors related to meals and increase expectations by notifying the timing of the next dish.
要旨
複数の料理がフルコースで提供される新設フレンチレストランを対象として,個別の料理とその場での行動に適した光環境を検討した。テーブル面照度,周辺床面照度,色温度を変えた条件で評価実験を行った。実験結果を踏まえて,料理の種別や時間帯に応じた光環境の制御方法を提案した。それにより,料理の種別に合致した色再現を行うだけでなく,前後の料理を考慮して,あえて照度を落としたり色温度を変えたりすることが効果的であると考えられた。時間経過に対応した光環境を設定することで,食事にまつわる会話行動を支援したり,次の料理のタイミングを知らせて期待感を高めたりすることができると考えられた。
製品解説
葛由来乳酸菌(スキンバリア乳酸菌TM/イムノライズ乳酸菌TM)の皮膚の保湿・バリア機能促進作用および免疫賦活作用
Effect of lactic acid bacteria isolated from Pueraria lobate on improvement of skin moisturizing / barrier function and immunostimulatory effect.
竹田 翔伍 (TAKEDA Shogo)
2019年末から始まった新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染拡大は,2021年に入った現在でも完全な収束には至らず,新たな生活様式への順応が求められている。その中でも,感染リスク低減のためのマスク着用率や自身の免疫力向上への関心度はCOVID-19の影響によって以前より増加したと言える。マスクの着用については,感染防止対策としての重要性が全国的に広がった一方で,マスクの常用を原因として肌荒れやシワ,たるみが悪化したという声も多く取り上げられるようになった。このような背景からスキンケアの重要性もより高まってきたと言える。免疫機能の強化については,食品成分の中にも免疫賦活1-3) や抗インフルエンザ作用4-6) を有するものが,直接的な機能は謳えないものの市場に出回りつつあり,プラズマ乳酸菌含有飲料が免疫賦活7, 8) を表示した唯一の機能性表示食品として上市され,業界の注目を浴びている。そこで本稿では,乳酸菌の中で,当社が販売を始めた株式会社井上天極堂の葛由来乳酸菌について,当社が見出した皮膚の保湿・バリア機能改善作用と免疫賦活作用について紹介する。尚,当社ではこの葛由来乳酸菌について,スキンケア素材としての販売名称を「スキンバリア乳酸菌TM」,免疫賦活素材としての販売名称を「イムノライズ乳酸菌TM」として販売している。
大豆発酵粉末「酵豆粉®」の特長とその利用
柳澤 颯太 (YANAGISAWA Sota)
IFeatures and uses of fermented soybean powder "KOUZUKO®"
Author: Sota Yanagisawa
Affiliated institution:
Ina Food Industry Co., Ltd. R&D Department
[5074, Nishiharuchika, Ina-shi, Nagano, 399-4498, Japan]
Abstract
We developed a salt-free fermented soybean powder named KOUZUKO. Except for the amount of salt, the characteristics of this powder are similar to MISO: traditional Japanese seasoning produced by fermented soybean paste. It has a beneficial effect on foods, such as cutting down on salt, offering taste and flavor enhancement, and is odor-masking. Taking advantage of these special properties; it can be used for miso-soup, bread, cheese, and dessert. Moreover, we found that ingesting the powder led to immune modulation induced Th1-type immune responses, which provided the potential to relieve allergic symptoms. We also confirmed the anti-obesity effect of the powder on mice and humans. To prevent lifestyle disease, we recommend the product to people in need of low-salt diets, as well as tasty dishes.
味噌は単に調味料としてのみならず,古くから日本人の健康食として利用されてきた。味噌は江戸時代に庶民に普及し,「医者に金を払うよりも,みそ屋に払え」「みそ汁一杯三里の力」などの諺から見てとれるように,当時は貴重だった塩分やたんぱく質などの栄養源として重宝された。現代では癌の発生抑制,コレステロール低下作用,抗酸化作用などの効能が報告されており,わが国の伝統的な発酵大豆食品として欠かせない調味料になっている。また,2013年に和食が世界無形文化遺産に登録されたことも後押しとなり,味噌の輸出量は順調に増え,海外でも広く受け入れられるようになった。一方で味噌の国内消費量は年々減少しており,米の消費減と共に今後も減り続けていくと予測されている。その要因のひとつには食の多様化により味噌汁を飲む機会が減っていることが挙げられる。また,高血圧などの生活習慣病を危惧し,塩分を多く含む味噌を控えようとする減塩志向の高まりも無視できないであろう。厚生労働省の「日本人の食事摂取基準2020年版」によると,1日の塩分摂取量の基準は,男性7.5g未満,女性6.5g未満であるが,味噌汁1杯の塩分量は約1.2-1.5gで摂取基準の約2割に相当する。さらに,2018年の「国民健康・栄養調査」によると,平均食塩摂取量は,男性11.0g,女性9.3gで摂取量基準を大幅に上回っている。そこで,味噌メーカー各社は味噌の消費拡大につなげるため,従来の味噌より塩分含量を15%以上減らした減塩味噌(低塩味噌)を製品化し,消費者の減塩志向に応えている。しかし,減塩味噌は塩分が10%以下になると日持ちなどの安定性が低下するため,大幅に減塩した商品は少ないといった現状である。腐敗を防ぐ方法として,米の原料割合を増やして生成する糖を増やすことで味噌の水分活性を低下させる,仕込み時にエタノールを添加して雑菌の増殖を防ぐ,食塩の一部を塩化カリウム等の塩で代替するなどが報告されているが,コストや異味の発生などの課題がある。そこで当社は,上記の課題を解決すべく,味噌メーカーである宮坂醸造株式会社と共同で,食塩を添加せずとも腐敗することのない大豆発酵物の製造方法を確立し,粉末タイプの大豆発酵粉末「酵豆粉®」の製品化に至った。本稿では,「酵豆粉®」の栄養成分,食品用途の具体例,生理機能について以下に詳述する。
製菓・製パンのフードロス低減に寄与する加工澱粉の役割
東川 浩(HIGASHIKAWA Hiroshi )
「フードロス」とは,本来食べられるのに捨てられてしまう食品をいい,食品生産のため多量のエネルギーが消費され,特に水分の多い食品は,廃棄の際に運搬・焼却によって余分なCO2を排出にも悪影響するため,環境にも負荷を与えてしまう。日本の食品廃棄物は年間2,550万トンと言われており,その中で本来食べられるのに捨てられる食品「フードロス」の量は年間約612万トン(売れ残り,規格外品,返品,食べ残し,直接廃棄)になっている(平成29年度推計値)。そのうち事業系が約328万トン,家庭系が約284万トンであり,国民一人当たりのフードロスは,1日約132 g(茶碗一杯のご飯量に相当)に及び,年間では約48 kg(年間一人当たりの米消費量,約54 kgに近い)までとなる。事業系フードロス328万トンの中で,127万トンが外食産業,121万トンが食品製造業,64万トンが食品小売業,16万トンが食品卸売業である。2000年には食品リサイクル法が成立し,2030年までに事業系フードロスを半減する目標が設定された。2019年には食品ロス削減推進法が施行となり,事業者はフードロス削減に積極的に取り組む責務が発生した。フードロスの把握し見直しを図る,規格外や未利用の農林水産物の有効活用,納品期限3分の1ルール)の緩和,賞味期限表示の大括り化,賞味期限の延長,値引き・ポイント付加等による売り切り,小盛りメニュー導入,持ち帰り対応,取り組み内容の積極的開示等々,事業者は従来とは異なる行動・役割が要求されるようになっている。本稿では,製菓・製パン用途において,加工澱粉の応用によるフードロスの低減に貢献できる可能性について考える。
連載解説
新解説 グルテンフリー食品中の擬似穀物の利用1 —アマランス—
瀬口 正晴 (SEGUCHI Masaharu),竹内 美貴 (TAKEUCHI Miki), 中村 智英子 (NAKAMURA Chieko)
本論文「新解説 グルテンフリー食品中の擬似穀物の利用 1 ーアマランスー」は“Gluten-Free Cereal Products and Beverages”(Edited by E. K. Arendt and F. D. Bello)2008 by Academic Press(ELSEVIER)の第8章Oat products and their current status in the celiac diet を翻訳紹介するものである。
アマランス,キノアは,コロンブス以前のラテンアメリカ文化の主要な作物であった。しかしスペインが南米征服後,これらの作物の消費と栽培は制限され,そのあと小さなスケールで僅かに続いた。両作物は良い栄養的性質を示すことがわかったので,関心が再び盛り上がった。キノア生産は,2006年にボリビアで25,329トン,エクアドルで652トン,ペルーで32,590トンであった(FAOSTAT, 2006)。アマランスとキノアの栽培は比較的低い所に留まっている—アマランスはFAO統計リストにその生産データに関する報告がなく—しかしながら人の栄養のためにアマランスは大きく商業的栽培は行なわれている。南米諸国以外,USA,中国,ヨーロッパで生産している。
連載
野山の花 — 身近な山野草の食効・薬効 —
ウワミズザクラPadus grayana (Maxim.) C.K. Schneid.
(Prunus grayana Maxim.)(バラ科 Rosaceae)
白瀧 義明(SHIRATAKI Yoshiaki)
4月,木々が芽吹き,山々が萌黄色に染まる頃,山歩きをすると多くの枝に真っ白いブラシのような花を付けた高さ約10 〜15 mの木を見かけます。これがウワミズザクラです。本植物は別名をハハカ(波波迦),コンゴウザクラといい,北海道(石狩平野以南),本州,四国,九州(熊本県南部まで),中国中部に分布し,山野でよく見られる落葉高木です。日照と小川沿いなどのやや湿った環境を好み,若い枝は紫褐色で古い樹皮は褐紫色,横に長い多数の皮目があり,葉は新しく出た枝に互生し,有柄で長楕円形,長さ6〜9 cm,幅3〜5 cmで先が急に細くなり,縁には鋸歯があり,腺点は葉身基部にあります。葉や花,折った枝などにはcoumarinのような強い香りがし,4〜5月,長さ10 cmほどの白い総状花序を枝いっぱいにつけます。
コーヒー博士のワールドニュース
翻訳:COVID患者の匂いと味の障害とは
岡 希太郎
風邪のような熱が下がらない,だるい,咳が出る,1週間も待ってようやく受けたPCR検査は陽性だったが,病院が決まらずに自宅待機となり,そして取り返しがつかない結末を迎える・・・。Nature誌の1月号に,感染初期症状の嗅覚味覚障害に注目して,異常を感じた人の申し出に速やかに応じる医療体制の実現を提案しています。下記はその記事の翻訳です。別途に「コーヒーの香りが消えたら感染を疑う」との論文が3つも出ており,PCR検査に加えて,より早期に感染を知る手段になるようです(原著は省略)。
COVID患者の匂いと味の障害:研究者が知ってること知らないこと
研究者はコロナウイルスの感覚障害がどれほど長引くかどう治療すべきかを研究している。
NATURE NEWS EXPLAINER (doi: https://doi.org/10.1038/d41586-021-00055-6) 14 JANUARY 2021
ミカエル マーシャル(著) 岡 希太郎(訳)
結論から先に言ってしまいますと,風邪のような症状の人がPCR検査で陽性と判定されて入院しました。入院した病院で「朝食にコーヒーをつけますか?」と聞かれて,「つけてください」と答えたCOVID-19患者は,「いりません」と答えた患者より早めに退院したというお話です1)。SARS-CoV-2ウイルスが中国の武漢で見つかって,1年以上が経ちました。こういう論文がもっと早く出ても良さそうですが,治療薬やワクチン開発で混乱状態の病院で,「COVID-19患者とコーヒーの関係」など研究する余裕はないと思います。そんな環境でよくぞ出してくれたと感謝しつつ読みました。しかし,この研究の結論は「コーヒーの効き目を観る」ためではなくて,「パンデミック下での臨床試験では,交絡因子を見落とすリスクがある」ことを,コーヒーの効き目の取り違いで説明する内容になっています。そうは言われても,どうしても合点が行かないことは,「こんなに回りくどい論文を何故書いたのだろう?」という疑問です。最初はやはり「コーヒーが効いている」と思ったのではないでしょうか?論文の英文表題「Why Methodology Is Important: Coffee as a Candidate Treatment for COVID-19 ?」・・・日本語なら「方法論が大切な理由:コーヒーは COVID-19の治療に使えるか?」。論文の結論は,「コーヒーがCOVID19に効いたとは言えない」となっているのです。一体どういうことなのでしょうか?
特集 COVID-19禍の「多様性の再考」Reconsidering the "diversity" of COVID-19 era.
COVID-19禍の「多様性の再考」序文に代えて
坂上 宏(SAKAGAMI Hiroshi)
コロナ禍になって一年以上が経過した。2020年12月から相次いで新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の変異株が出現し,性質の変化や流行への影響が懸念されている。スパイク(ウイルス表面にある突起状のタンパク質)の受容体結合部位(RBD)に変異が入り,感染性や免疫回避などの性質が変化している可能性がある1)。緊急事態宣言発令後,一次感染者数の減少傾向が続いたが,最近は鈍化している。この生活がどれ位の期間続くか誰も分からない。嗅覚ニューロンや味細胞には,SARS-CoV-2が細胞内に侵入する入口となるアンジオテンシン変換酵素2(ACE)を表面に発現していない。しかし,ACE受容体を有する周囲の支持細胞が感染により傷害されると,嗅覚や味覚がなくなってしまう。大半の患者は回復するが,半年経っても回復しない患者は,社会的引きこもりや栄養不良になったりする2)。家族の死亡,失業,隔離などに伴う強い感情的苦痛とストレスに何か月も苛まされる3)。
COVID-19パンデミック対策:日中米の違い
COVID-19 control and prevention: what are the differences among Japan, China and America
肖 黎(Li Xiao)
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が世界中で拡大している中,各国は様々な感染予防対策を講じている。本文は日本,中国,米国の対策を比較して,その相違点について個人の視点から説明する。
Japan’s Gender Inequality and the COVID-19 Pandemic
Ryusuke Oishi
The spread of the novel coronavirus (COVID-19) has had a tremendous impact on the lives of people and economies of countries worldwide, including Japan. The COVID-19 pandemic has made more obvious an underlying gender disparity that is characteristic of Japanese culture. In many cases in Japan, women are more disadvantaged than men in terms of their work environments. This is likely attributable to the notions concerning the proper division of work roles between men and women that persist in the Japanese consciousness. This study briefly examines how Japan’s cultural gender disparity has been made apparent through the impact of the COVID-19 pandemic and considers potential measures to address it.
Continuity of undergraduate health sciences education during the COVID-19 pandemic
Norma Margarita Montiel Bastida and PhD. Gauddy L. Manzanares-Leal
The COVID-19 pandemic raises multiple analyses. The most studied ones are aimed at reviewing how we could stop the spread of the infection in the shortest possible time. This is understandable because without finding this mechanism it will be impossible to resume essential activities and it will be necessary to continue with social distancing measures. Others evaluate the economic impact and, the need to return to the jobs that sustain nations. Of course, there are analyses directed at health. Interestingly, the pandemic has presented us with great challenges to the analysis of the work and attitudes we had before it. We have changed the way we analyze our lives, now including a pathogen and not just that which is classically inherent in human activity.
Diversity and current challenges of COVID-19
Rene Garcia-Contreras
Almost a year has passed away from the pandemic of COVID-19 was declared in Mexico, a late night in March we were notified by the news channel that schools would be closed until a later date. The year will take place on the next March 17th, 2020. At first the coronavirus didn't really catch my attention. Many people believe that we will return to the normality in a couple of week later after quarantine. Our life has change more than we think.During the first wave of the COVID-19 in Mexico, about from March to August the fatalities has increased significantly quickly. Desperate to control the pandemic the government, the public health officials prohibited public gatherings and closed schools, churches and other institutions. However, the strategies are not enough to stopped, until now, the SARS-CoV-2 cases and the fatalities are increasing exponentially. Recently, a slightly reduced of the number of cases but still the in Mexico is the third country around the world with major number of the fatalities. They even placed restrictions on funeral services: Many communities prohibited anyone other than adult members of the immediate family to attend, and the bodies of the deceased were routinely barred from being taken into churches or chapels.
Communication ways that will be developed.
Alejandro Mena Acra
It is almost a year since the COVID-19 pandemic quarantine started worldwide and it has definitely affected the way we communicate, bringing a critical impact on our daily communication skills and daily life; even though it has been demonstrated that communication has always been the key to all healthy relationships, during the mandatory quarantine, many individuals are working from home with little to no face-to-face interactions, except with the persons they live with, that are their families, creating bad communication bonds.
Social problems in pandemic time:the case of Mexico.
David Bautista-Martinez
It is kind of incredible how time goes by. It has been more than a year now that the pandemic started and we are all still learning how to deal with new variations of the virus, to prevent getting infected, to get vaccinated, and so on. Anyway, it has been a difficult time for everyone, we have learnt new ways to stay safe and most people are now more self-conscious about the importance of good health practices to overcome any unpleasant situation like this.
富士山との対話:足柄から道の駅「ふじおやま」へ
坂上 宏(SAKAGAMI Hiroshi)
協力者:小山町役場(鈴木 新一(SUZUKI Shin-ichi))2, 小山町観光協会3, 道の駅ふじおやま
I walked up to “Fujioyama” from Ashigara station to escape from the hectic daily life. There is almost no traffic around here, and you can quietly look back at yourself. You can also admire the blessings of nature such as spring water and hot springs created by Mt. Fuji, and the buildings designed by Mr. Shogo Kuma that are in harmony with nature. I want to think about more deeply how I can contribute to society. Rest is a weapon.
毎日の慌ただしい生活から逃れるようにして,「ふじおやま」への徒歩旅行に出た。この辺りは,人の往来がほとんどなく,静かに自分自身を見つめ直すことができる。湧き水や温泉など富士山が生み出す自然の恵みや,隈 省吾氏設計の自然と融和した建築群を嘆賞することができる。自分自身はどのようにして社会に貢献できるかをじっくりと考えたい。休息は武器である。