New Food Industry 2025年 67巻 2月号

多糖の食品への応用 -増粘剤多糖類および乳酸菌由来多糖の利用について-
Application of polysaccharides in Foods - Use of Polysaccharide Thickeners and Polysaccharides produced by Lactic Acid Bacteria-

西村 順子(NISHIMURA Junko)


食品添加物の増粘剤は食品の粘性の調整に使用され,食品工業業界において増粘多糖類は増粘剤,ゲル化剤,および安定剤として区別されて,多くの食品に頻用されている1)。多糖には多くのヒドロキシ基(水酸基,-OH)が存在し,水分子と水素結合をして水和することで粘性を示すようになる。粘性は使用する多糖類の分子量や結合様式と密接な関係があり,構造(直鎖状または分岐があるか)や荷電(どのような酸性基を含むか),pHや温度などの影響を受ける2)。塩によっても粘性が変化し,ナトリウム,カリウム,マグネシウム,カルシウムなどの添加は濃度依存的に粘性を増加させ,同じ化合物でもどのような塩を加えるかで粘性が異なる2)。二価の陽イオンとなるカルシウムなどを添加した場合には,隣接する鎖の間に架橋が形成されて,ゲル化が起こる2)。
 増粘多糖類に使用される多糖は各々短所と長所があるため,単体で使用するよりも併用・混合して使う方がより効果的に粘性を上げることができる。例えば,キサンタンガムは,ローカストビーンガムやグアーガムなどと併用することで相乗的な増粘効果が生み出され,ドレッシングやたれ類,レトルト食品等の「とろみ」として使用される1)。
 増粘多糖類を構成している多糖には,構成糖が中性糖のみから構成されている中性多糖と,カルボキシ基やリン酸基,硫酸基などの酸性基を含む酸性多糖があり,代表的なものとして,グアーゴム,イヌリン,ペクチン,カラギーナン,カルボシルメチルセルロース(CMC: Carboxymethyl Cellulose),アラビアゴムなどが挙げられる。例に挙げた多糖の構成糖や結合している官能基から分類すると,グアーゴムとイヌリンは中性多糖,ペクチン,カラギーナン,CMC,アラビアゴムは酸性多糖に該当する。

総 説 ホットフラッシュの測定と解析
Measurement and analysis of Hot flush.

馬場 亜沙美(BABA Asami), 鈴木 直子(SUZUKI Naoko), 野田 和彦(NODA Kazuhiko), 波多野 絵梨(HATANO Eri), 髙橋 徳行(TAKAHASHI Noriyuki), 新林 史悠(SHINBAYASHI Fumiharu), 板橋 怜央(ITABASHI Reo), 柿沼 俊光(KAKINUMA Toshihiro), 山本 和雄(YAMAMOTO Kazuo)

更年期障害は,閉経前後のホルモンバランスの変動による自律神経機能の低下に伴い現れることが特徴である。自律神経機能の低下は血管運動の調節を乱し,それよって引き起こされる顔や上半身への突然の数秒から数分程度の発汗や熱感覚は一般に「ホットフラッシュ(ほてり)」と呼ばれ,更年期障害の代表的な自覚症状である1, 2)。ホットフラッシュは,生活の質を低下させるだけでなく1),心血管疾患や糖尿病のリスク増加にも関連している3, 4)。
 ホットフラッシュの軽減対策の一つに栄養介入が挙げられる。例えば,全粒穀物,果物,野菜を豊富に含む食事は腸内細菌叢の変化を介してホットフラッシュの症状を軽減させることが示唆されている5)。日本で平成27年4月より新たに創設された機能性表示食品制度では,その制度の範囲における栄養成分および表示であれば,届出することができる。したがって,制度としてはホットフラッシュ症状を緩和する表示も可能ではあるが,未だホットフラッシュ症状を対象とした表示は存在しない。要因はさまざまあるが,一つは日本人においてホットフラッシュ症状を評価するコンセンサスの得られたツールがないことが考えられる。ホットフラッシュの頻度や重症度は人種によって異なり6),日本人向けに開発されたツールは未だない。  そこで本稿では,今後日本人向けのホットフラッシュを測定するツールが開発されることを期待し,海外で使用されているホットフラッシュの測定ツールや解析手法について紹介する。

シリーズ 世界の健康食品のガイドライン・ガイダンスの紹介 第14回
―欧州食品安全機関 (EFSA).
食欲と体重・体脂肪のコントロールに関する機能性評価―

馬場 亜沙美 (BABA Asami),鈴木 直子 (SUZUKI Naoko),野田 和彦 (NODA Kazuhiko),波多野 絵梨 (HATANO Eri),髙橋 徳行 (TAKAHASHI Noriyuki) ,新林 史悠(SHINBAYASHI Fumiharu),板橋 怜央 (ITABASHI Reo),柿沼 俊光 (KAKINUMA Toshihiro),山本 和雄 (YAMAMOTO Kazuo)


Introduction to Guidelines or Guidance for Health Food Products in the World: European Food Safety Authority (EFSA) series —Functional Assessment of appetite ratings and weight management—

Authors: Asami Baba1)*, Naoko Suzuki1), Kazuhiko Noda1), Eri Hatano1), Noriyuki Takahashi1), Fumiharu Shinbayashi1), Reo Itabashi1), Toshihiro Kakinuma1), Kazuo Yamamoto1)
*Correspondence author: Asami Baba
Affiliated institution: 1) ORTHOMEDICO Inc. [2F Sumitomo Fudosan Korakuen Bldg., 1-4-1 Koishikawa, Bunkyo-ku, Tokyo, 112-0002, Japan.]

前回(2024 Vol.66 No.11 掲載,『シリーズ 世界の健康食品のガイドライン・ガイダンスの紹介―欧州食品安全機関(EFSA). 正常な便通の維持および栄養素の消化・吸収・利用に関する機能性評価―』)に引き続き,欧州食品安全機関(European Food Safety Authority: EFSA)の発行するガイダンス(以下,EFSAガイダンス)について紹介する。今回は,EFSAガイダンスの『Guidance on the scientific requirements for health claims related to appetite ratings, weight management, and blood glucose concentrations 1)』の「3. Appetite ratings」に記載されている,食欲に関する機能性評価および,「4. Weight management」に記載されている,体重・体脂肪のコントロールに関する機能性評価についてまとめた。

解説 五葉松松かさ煎じ液の瞬間的HIV不活化作用と抗老化作用
Rapid HIV Inactivation and Anti-aging Activity of Pine Cone Extract

坂上 宏(SAKAGAMI Hiroshi),越川 拓郎(KOSHIKAWA Takuro),浅井 大輔(ASAI Daisuke),竹村 弘(TAKEMURA Hiromu) 2,金本 大成(KANAMOTO Taisei)


Authors: Hiroshi Sakagami 1*, Takuro Koshikawa 2, Daisuke Asai 3, Hiromu Takemura 2, Taisei Kanamoto 3
* Corresponding author: Hiroshi Sakagami 1
Affiliated institutions:
1 Meikai University Research Institute of Odontology (M-RIO) [1-1 Keyakidai, Sakado, Saitama 350-0283, Japan]
2 St. Marianna University School of Medicine
3 Showa Pharmaceutical University
Key Words: Pine cone extract, rapid inactivation of HIV, anti-aging activity
Abstract
  Focusing on the folklore that pine cone extract of Pinus Parviflora. Sieb. et Zucc. (PCE) is effective against gastrointestinal cancer, we have started the research aiming at identifying the active principles. We have previously reported that pine cone lignin carbohydrate complex (LCC) displayed antitumor, antibacterial, antiparasitic, and priming effects on endogenous TNF production induced by Lactobacillus casei in vivo, and induced differentiation of human leukemia cells into maturing macrophages, growth stimulation of splenocytes, promoted iodination of polymorphonuclear leukocytes, and displayed broad antiviral spectrum. However, little has been reported about the effects of unfractionated PCE, which is used in the folklore. In this study, we have discovered that PCE instantly inactivates HIV and displays anti-aging activity in vitro.


要旨
 五葉松松かさ煎じ液(PCE)が消化器系がんに有効であるという民間伝承に着目し,その原因物質を追求する研究を始めた。我々は,これまでに,松かさリグニン配糖体(LCC)が,in vivoでは抗腫瘍,抗菌,抗寄生虫,乳酸菌による内在性TNF誘導のプライミング効果を,in vitroでは,ヒト白血病細胞のマクロファージへの分化誘導,脾臓細胞の幼若化,多形核白血球のヨード化の促進,そして抗ウイルス作用を示すことを報告した。しかしながら,民間伝承で使用されている未分画のPCEの作用についてはほとんど報告されていなかった。今回,新たに,PCEが,瞬間的にウイルスを不活化すること,そして,試験管内老化を遅延させることを新たに見出した。

秋田県における保健機能食品開発:県内企業の素材を機能性食品開発へ

畠 恵司(HATA Keishi),須藤あさみ (SUTO Asami),児玉 雅(KODAMA Masa),戸松 さやか(TOMATSU Sayaka)


 保健機能食品(特定保健用食品,栄養機能食品および機能性表示食品)は,国が定めた安全性や有効性に関する基準に従えば,その食品が有する機能性をパッケージに表示できる制度である。一方,栄養強調表示は,一般用加工食品および一般用生鮮食品を対象にした制度で,欠乏や過剰摂取により健康の保持増進に影響を与える栄養成分について,量が多いことを強調する旨,栄養成分の量や熱量が少ないことを強調する旨や,無添加の旨を商品に記載できる。いずれにしても,その食品が有する機能性や栄養成分の量が明示されているため,消費者にとっては自身が必要な栄養素や機能性成分補給の目安として,食品事業者においては,自社製品の差別化あるいは高付加価値化の手段として役立てられる。 
 秋田県総合食品研究センターでは,県内企業における機能性食品の開発支援を行っており,秋田県における保健機能食品や栄養強調表示食品の現状について報告してきた1, 2)。本稿では,県内企業が開発した食品素材に含まれる栄養成分値を測定し,栄養強調表示食品への可能性について検討した。  

連載 LONG BEAN (長ササゲ)

瀬口 正晴(SEGUCHI Masaharu), 楠瀬 千春(KUSUNOSE Chiharu)


 アジアには,その生産性で生産者にとり,その見た目でシェフにとり,その風味と柔らかな歯ごたえで食通にとり,名高い特別な野菜がある。東南アジアのトップ10に入る野菜で,特に中国南部と台湾で栽培されている。しかし,この報道はこの野菜を正当に評価していない。また,フィリピンでは最も広く栽培されているマメ科の植物で,「貧者の肉」として知られている。また,インドネシア,タイ,ベトナム,バングラデシュ,インドなどでもよく知られている。
 ここ数十年で,この人気の豆はアジアをはるかに越えて愛好家を獲得し始めている。実際,この豆に対する評価は世界中に高まっている。すでに多くの国で,東洋を代表する野菜とみなされている。例えば,ヨーロッパでは広く栽培されている。そしてアメリカでも,中華料理店,タイ料理店,フィリピン料理店,ベトナム料理店,インド料理店向けに大規模な生産が始まっている。今ではアメリカのアジアン・マーケットや,特産品売り場のあるスーパーマーケットでは一年中見かけるようになった。それでも需要は増え続けている。たとえば,カリフォルニアの生産者は十分な量を生産できないようで,輸入業者がメキシコやカリブ海諸国から追加で輸入し,ロサンゼルスやサンフランシスコなどの需要に応えている。
 この特別な食材は,珍しいマメ科の植物のさやである。鉛筆のように細く,長さが1メートルもある。英語ではしばしばヤードロング・ビーンと呼ばれ,緑色から淡緑色のさやは 柔らかく,筋がなく,ジューシーで甘い。一般的には,スライスして茹で,いんげん豆のように少量のバターを添えて食べる。蒸したり炒めたりしても,歯切れのよい食感と風味が保たれる。多くの愛好家は,フランス豆に似ていると言う。マッシュルームのよ うな味を感じる人もいる。アスパラガスを思わせるという人もいるが,これは「アスパラガス豆」という別名にも反映されている。しかし,この豆が美味しいことは誰もが認めるところである。

連載 乳および乳製品の素晴らしさ 第14回
新しい潮流である代替乳のサイエンス
「牛乳の代替としての植物性ミルクの現状と将来性」

齋藤 忠夫(SAITO Tadao)


 代替乳とは,アーモンドミルクや豆乳など,牛乳は一切使わず,植物由来(プラントベース)の原料のみを使った飲料を指します。牛乳の代替品という意味で「代替乳」と呼ばれますが,牛乳が動物性食品であるのに対して「植物性ミルク(プラントベースミルク)」とも呼ばれます。乳代替品とは,牛乳,チーズ,ヨーグルト,バターなどの従来の乳製品の代わり(代替品)として使用される製品を指しています。植物ベースの代替乳製品は,ビーガンミルクに代表されるように健康的で持続的で動物福祉に優しい代替品として,その製造と消費は世界的レベルで急増しています。世界の乳製品代替市場の規模は,2022年に251億9000万米ドルと評価され,2030年までに698億4000万米ドルに達するだろうと予測されています(Fortune Business Insights)。
 これらの乳製品代替品の市場は,SDGsの視点からだけではなく「乳糖不耐」の消費者による影響も大きいとされます。一般消費者の間では,乳糖を含まない製品が従来の乳製品に代わる健康的な代替品であるという考え方が高まっているようです。乳糖不耐は,日本人を含む全世界人口の3分の2が該当し,牛乳乳製品の摂取後におなかの不調を訴える症状を指します。また,牛乳タンパク質にアレルギーを示す人にも,植物性ミルクは代替乳として受け入れられています。
 しかし,植物ミルクは牛乳と比べると,まずは官能特性の問題が指摘されます。いわゆる美味しさや食感や香りに欠点があります。また,一部の植物ミルクでは栄養素の偏りがあり,多量栄養素と微量栄養素の両方が非常に少ないものもあります。例えば重要なビタミンの一つであるビタミンB12は,オリジナルの植物性ミルクには含まれていません。従って,栄養素含有バランスの視点からは植物性ミルクは従来の牛乳と競合することは難しい点があります。さらに,豆乳では牛乳とほぼ同量のタンパク質が含まれていますが,最も人気のあるアーモンドミルクでは8オンス(240mL)あたりわずか1gのタンパク質しか含まれていません。
 その様な背景があるものの,植物性ミルクは「ビーガニズム」が主流になりつつあるため,今後数年間で従来の牛乳よりも大きな市場占有率(シェア)と高い成長率を獲得するとの予想もあります。
 今回は,植物ミルクの世界の市場規模や製品をみて,日本における将来性について考えてみたいと思います。

セサミン(続)

 New Food Industry編集部


本稿は,本誌2024年2月号に掲載した「セサミン」の続編である。
要約
 セサミンは,ゴマに含まれるリグナン化合物で,人間の食事に含まれるリグナンの2大栄養源の1つである(もう1つは亜麻)。セサミンは,抗酸化作用や抗炎症作用(健康効果をうたう場合),あるいはエストロゲン受容体調節作用や脂肪燃焼作用(アテルト患者や減量希望者を対象とする場合)をもたらす栄養補助食品として仕向けられる。 セサミンにはいくつかの機序があり,総合的に見ると,脂肪酸代謝調節物質としてまとめることができる。この酵素を阻害すると,エイコサペンタエン酸(EPA,2つの魚油脂肪酸のうちの1つ)とアラキドン酸の両方のレベルが低下し,このメカニズムは経口摂取後に関連すると思われる。もう1つの主なメカニズムは,ビタミンEの代謝における速度制限段階であるトコフェロール-ω-ヒドロキシル化として知られるプロセスを阻害することである。この酵素を阻害することにより,セサミンは体内のビタミンEを相対的に増加させるが,特にγサブセット(γ-トコフェロールおよびγ-トコトリエノール)のビタミンEを増加させ,このメカニズムも経口摂取後に活性化することが確認されている。
 他にも有望と思われるメカニズム(パーキンソン病予防,骨量増加促進)がいくつかあるが,エストロゲン受容体の調節,肝臓からの脂肪燃焼,抗酸化反応要素(ARE)の活性化など,ほとんどのメカニズムはヒトでは確認されておらず,そのメカニズムが起こらないと疑う理由がある; これには,経口サプリメントでは濃度が高すぎて問題にならないか,脂肪燃焼の場合はラットだけのプロセスのようであることが含まれる。
 結局のところ,セサミンは,γ-トコフェロールとγ-トコトリエノールの分解を防ぐことによって,γ-トコフェロールとγ-トコトリエノールの代謝を増強する可能性を持つという,かなり興味深い役割を果たしている。これらのビタミンEビタミンのレベルを上げることは,それ自体多くの治療効果があり,サプリメントとして購入するにはかなり高価であるため,セサミンは安価な回避策,あるいはビタミンEを「カット」するために使用される何かである可能性がある。

Essay
The Effect of Climate Change on Dental Health.


Author: Alejandro Mena Acra Autonomus University of the State of Mexico (UAEM)


  According to NASA climate change is a long-term change in the average weather patterns that have come to define earth’s local, regional and global climates. These changes have a broad range of observed effects that are synonymous with the term. 1)
 Present day climate change includes global warming and its wider effects on earth's climate. Climate change in a broader sense also includes previous long-term changes to earth's climate. 2)
 The current rise in global temperatures is driven by human activities, especially fossil fuel burning since the Industrial Revolution. Fossil fuel use, deforestation, and some agricultural and industrial practices release greenhouse gases. These gases absorb some of the heat that the earth radiates after it warms from sunlight, warming the lower atmosphere. Carbon dioxide, the primary greenhouse gas driving global warming, has grown by about 50% and is at levels not seen for millions of years. 3) Climate change has an increasingly large impact on the environment, it threatens people with increased flooding, extreme heat, increased food and water scarcity, more disease, and economic loss. Human migration and conflict can also be a result.
 The World Health Organization (WHO) calls climate change one of the biggest threats to global health in the 21st century. While much of the focus has been on its impact on the environment, agriculture, and general health, a lesser known but equally significant consequence is the effect of climate change on oral health. As the climate continues to change, it will influence how we care for our teeth, gums, and overall oral hygiene. 4)

和訳 気候変動が歯の健康に及ぼす影響
 NASAによると,気候変動とは,局所的,地域的,全地球的な気候を定義するようになった気象パターンの長期的な変化を指している。これらの変化には,次に示すような,この用語と同義語となるような,広範囲にわたり観察された影響もある1)。
 現在の気候変動には,地球温暖化とそれが地球の気候に及ぼす広範な影響が含まれる。より広い意味での気候変動には,地球の気候に対する過去の長期的な変化も含まれる2)。  地球気温の上昇は,人間の活動,特に産業革命以降の化石燃料の燃焼によって引き起こされている。化石燃料の使用,森林伐採,農業や工業の一部は,温室効果ガスを放出する。これらのガスは,地球が太陽光によって暖まった後に放射する熱の一部を吸収し,大気下部を暖める。地球温暖化を促進する主要な温室効果ガスである二酸化炭素は,約50%増加し,数百万年見られなかったレベルにある3)。
 気候変動が環境に与える影響はますます大きくなっており,洪水の増加,猛暑,食糧や水不足の増加,病気の増加,経済的損失などで人々を脅かしている。人々の移動や紛争もまた,その結果もたらされる可能性がある。

世界のメディカルハーブ No.29 
ローズマリー

渡辺 肇子(WATANABE Hatsuko)


記憶力と集中力を高める若返りの「海のしずく」

 ローズマリーはスペイン,ポルトガルから南,モロッコ,チュニジアに至る地中海沿岸が原産ですが,今では野生化したものがヨーロッパや米国の温帯地域で広く見られます。もともと海岸沿いに生育する低木で,学名のrosmarinusは“海のしずく” を意味します。高さ80~150cmほどで,まっすぐ上に伸びた柄が外向きに広がり,マツに似た針の形の葉と露ほどの淡いオーシャンブルーの華奢な花をつけます。観賞用としての人気が高く,耐寒性,半耐寒性の園芸種なども作られ,世界中で栽培されています。中には真っ白な花をつけるホワイトローズマリーという珍しい種類もあります。
 なお学名については,長らくRosmarinus officinalis(マンネンロウ属)として知られてきましたが,この数年でDNAなどの分析によりSalvia(アキギリ属)を正式なものとする見解が受容されています。

コラム

リーダーのあるべき姿 織田信長
衆議院選挙や織田信長から見る多角的に物事を見る大切さ

坂上 亮


 昨年十月に総選挙があり野党が躍進し与党は大きく議席を減らすこととなった。その際多くのメディアが自民党の不記載議員に裏金のマークを付けて注目していた事、その他の政党で同じような不記載のあった候補や選挙スタイルに問題のあった候補の事は殆ど言及がなされていなかった事を覚えているだろうか。もちろん金にだらしのない議員について、それを改めさせる必要はあるだろう。だが、それだけで選挙の当落を考えて良いのだろうか。今回の選挙は『裏金』というキーワードに必要以上に注目が集まりその他の生活に影響する大切な事柄が周知されず偏った情報が蔓延してしまったと私は考えている。

New year's essays 新春随想

Experiences in dental education during COVID-19 Can we respond to a new pandemic?

PhD. Norma Margarita Montiel Bastida
and MS. Sara Gabriela Maria Eugenia del Real Sanchez

[Faculty of Dentistry of the Autonomous University of the State of Mexico.]

 In January 2020, the WHO declared an international health emergency due to the appearance of a new disease called COVID-19 caused by the SARS-CoV-2 virus. By March of the same year its status changed to Pandemic and life changed drastically for everyone in different areas both politically, economically, socially and educationally, but mainly in health. 1, 5 We were forced to make changes that we would not have even imagined before, a forced and prolonged isolation, during which personal contact became the bare minimum, both with family and with other people. We went from interpersonal contact to virtual contact, due to prevention or fear of being infected by an emerging virus, an unknown and deadly disease of rapid growth and dissemination against which we were defenseless and unprotected, without specific medications or vaccines.

New year's essays 新春随想

Towards the Future:Some Reflections on the Research Prospects and social overview

Ángel David Paulino-González

[Dental Science, National Autonomous University of Mexico.]

  2023 will be remembered as the year when the WHO declared the end of the COVID-19 health emergency; however, the world and humanity have been transformed forever. We understand that we must now coexist with this new illness and draw lessons to take home regarding our vulnerability. It is crucial to strengthen necessary aspects in anticipation of potential new pandemics, particularly given the worsening environmental conditions. The risk of bacteria or viruses impacting our health is heightened, as phenomena such as melting ice and deforestation lead to interactions with species to which we would not typically be exposed. The variety of events in various countries around the world leads us to reflect on the near future of humanity, especially when we have witnessed the political, social, environmental, and economic problems that have recently hit. It is increasingly common to read about torrential rains, earthquakes, food shortages and wars that often increase the difference in equitable access for each person to the conditions of human dignity.